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図書館の魔女(下)
「ことば」を身につけゆくキリヒトと、「ことば」を操る図書館の魔女・マツリカ。二人だけの秘密が、互いの距離を近付けていく。だが、一方で、周囲の強国との緊張関係は高まるばかり。発言力を持つがゆえに、一ノ谷と図書館は国内外から牽制され、マツリカを狙う刺客まで遣わされる。迫る危険と渦巻く陰謀に、彼らはどう立ち向かうのか。(帯より)

拍手!! 41字×18行×800ページの下巻。長かった。でもちゃんと終わったー……!
下巻の内容は、マツリカが片腕の自由つまり声を奪われ、一の谷とニザマとアルデシュという三つの強国が戦争回避のために動く、大きな巻。
図書館の魔女の本領発揮で、知謀知略を尽くすマツリカがかっこいい。世界観の創り込みと文章と展開のせいでそうとは感じ取れないようになっていますが、マツリカが最強過ぎる。だからこそ、腕が使えなくなってキリヒトに縋るシーンは苦しく悲しく、そして可愛らしかったりするのです。
そうなんです、大人たちの陰謀が渦巻いている中で、マツリカとキリヒトの可愛らしさ!! 少年少女!! ところどころこいつらかわいいな!? というところがあったのですが、最後に大サービスしてくれて笑み崩れました。でも最後だから切ないんだ……。演出が憎すぎて、でも少年少女いい……と胸がきゅうっとなった。
すべてのことが終わったわけではなく、ここから始まる物語です。キリヒトという少年がマツリカに出会ったことで己の未来を決めていこうとするところは、マツリカが狂ったような世界に相対しなければならないと感じ決意を固めていくところも合わせて、王道なボーイミーツガールかも……と思いました。二人がまだ若いというのがいい。これからどんな困難があっても、二人が繋がっていようとする清々しさが感じられる。
マツリカ自身は何も変わっていないように見えて、最後の最後で涙を見せてくれた。キリヒトは、出会うべきものと出会い、そして旅立った。いつか帰ってくるという自分自身の望みを抱いて。丁寧に描かれていた上巻の、図書館、高い塔に至る道を今度は出て行く方向に辿って行くところが、素晴らしかった。山深いところから、今度は海に出て行く、その変化が展望となって感じられて、すごかった。
いい本でした。面白かったー!!
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