読んだ本とか、漫画とか、映画とか、色々

その朝、ヤン・ウェンリー家を訪れたのは、半ダースほどのダークスーツの男たちだった。来訪の目的は、ヤンの身柄の拘留。容疑は反平和活動防止法違反。それが、かつては彼を英雄としてたたえた同盟政府のふるまいだった。権力を信奉するものたちにとっては、帝国・同盟にかかわらず、ヤンは認めがたい存在であったのだ。連行される夫を見つめていたフレデリカは、すぐさまシェーンコップへと連絡をいれる。数多くの軍功をあげた「薔薇の騎士」連隊が、ヤン救出のため叛乱の狼煙をあげた——。(裏表紙より)
二ヶ月しか保たなかった、ヤンとフレデリカの平和な新婚生活。ついに同盟を離反することになったヤンたち。一方、地球教を探るユリアン。そんな感じで、新しい戦いを感じさせる準備巻だったかなと思います。好かれているヤンがやっぱり好きだ……。そして、どんどんラインハルトは孤独になっていく。
PR

宇宙暦799年——ついに銀河帝国の玉座へとのぼりつめたラインハルトだが、いまだ宇宙には平穏は訪れていなかった。即位の後、キュンメル男爵邸において彼を襲った刺客。それは〈地球教団〉がたくらんだ陰謀だった。ラインハルトは首謀者への制裁を決意する。一方、軍を退いたヤン・ウェンリーは、かつての副官フレデリカとの結婚をはたしていた。しかし、軍事的英雄であるヤンの存在を、帝国は危険視していた。そんななか、地球へと旅立つユリアン……。歴史の歯車が再び動きだそうとしていた。(裏表紙より)
地球という場所の歴史が導入の飛翔篇。表紙のフレデリカのウェディングドレス姿がとっても可愛い。
帝国の支配を受けることになった同盟ではヤンは退役してフレデリカと結婚、一方、新しく帝政を敷くラインハルト。ちょっと一息つく巻でもありましたが、それでも速攻で命を狙われるラインハルトにちょっとどきっとしました。
最後にちらりと出たロイエンタールの周りの話に、乙女ゲージがぎゅーんと上がりました。自分の命を狙った女性を家に連れ込んで無理矢理物にした挙げ句、なんだかどっちも惹かれているっぽい雰囲気がまじ少女小説。たまらん。この二人どうなるのかなー。

自由惑星同盟の期待を背負い、首都ハイネセンを離れたヤン・ウェンリーは、敵の補給路を断つべく、ゲリラ戦を展開。強大な軍事力を誇る帝国軍にも、遠く離れた敵地での物資調達というアキレス腱があったのだ。神出鬼没の同盟軍に翻弄され、苛立ちを募らせる帝国軍の提督たち——業をにやしたラインハルトは、自らが戦場の前線において、ヤンを誘い出すための囮になることを決意する。壮大な構想と緻密な計算のもとに張りめぐらされた巨大な罠。帝国と同盟、互いの存亡をかけた戦いが、ついに幕を開ける!!(裏表紙より)
こんなに早くヤンとラインハルトが戦うとは思わなかった!
そして、ヤンとフレデリカはおめでとう! 死亡フラグを立てるからどうしようかと思いましたが、無事に戦いが終わってよかったです。しかし大丈夫かこの夫婦。なんだか家事が心もとないような……。
同盟と帝国、二人の天才が邂逅したところは胸が熱くなりました。まったく違うタイプの二人で、歳の差以上にラインハルトは偉そうだし、ヤンの方が丁寧ですが、お互いがお互いの深いところを理解している雰囲気が、なんだかにやにやするような、そわそわするような、ちょっと嬉しい空気を作り出していた会見だったと思います。

貴官の判断によって最善と信ずる行動をとられたし——首都ハイネセンから届いたその訓令文に対して、ヤンがとった行動とは「イゼルローン要塞の放棄」だった。フェザーン自治領を帝国軍に占拠された今、自由惑星同盟の存在は風前のともしびであり、すべての命運はヤン・ウェンリーの双肩に託されることになったのだ。帝国軍の忠誠を一身に集める存在、ラインハルトを倒すこと。それが同盟に残された唯一の勝機であると考えたヤンは、ラインハルトに決戦を挑むため、イゼルローン要塞をあとにするが……!?(裏表紙より)
イゼルローン要塞の放棄、からの、ラインハルトとヤンの前哨戦、という感じ。これから戦いが始まるのか、という中で、なんだか何人かに死亡フラグが見える気がするんですが……! これでいきなりヤンが死んで、ユリアンに代替わりしたらどうしよう! とか。キルヒアイスの件ですっかりトラウマです……。
ところで、ヤンが仕掛けていった数年がかりの罠っていったいなんなのかな。気になる。

銀河帝国皇帝の亡命を受けいれた自由惑星同盟。しかし、すべてはラインハルトの思惑の内であった。わずかな交渉をも拒否する苛烈な宣戦布告——その裏には、中立だったはずのフェザーン自治領と帝国の盟約があったのだ。再び最前線となったイゼルローン要塞に迫るロイエンタールの猛攻。ミッターマイヤー率いる艦隊によるフェザーンの制圧。ヤンがいだいていた危惧は、ことごとく現実のものとなっていった。フェザーン回廊を経由しての同盟領侵攻作戦、『神々の黄昏』がついに幕を開ける!!(裏表紙より)
またまた、帝国パート。同盟パートでは、ユリアンの現在について。
うおおお、ユリアンあぶねー!! 仕掛けていく(ヤン陣営の面子としての仕事していく)から、狙われないかとひやひやしてる。あと、ロイエンタールが死ぬんじゃないかと思ってびくびくしました。

亡命していた門閥貴族派の残党が、帝都オーディンに舞い戻ってきている——ラインハルトの元にもたらされたその報告の裏には、「黒狐」とも呼ばれるフェザーン自治領主ルビンスキーのある策謀が隠されていた。フェザーンと手を組むことに同意したラインハルトは、潜入した貴族たちによる、幼帝の誘拐と同盟領への亡命を黙視。一方の同盟最高評議会は、これになんら疑問を抱かず、政治的なプロパガンダとして利用することに終始する。そして、ラインハルトによる苛烈な宣戦布告が自由惑星同盟にとどいた……。(裏表紙より)
帝国パートがメイン。今度こそ自由惑星同盟攻略を目指すラインハルトは、ついに皇帝を追い出す(と書くと身もふたもないが)ことに成功し、自由惑星同盟はまんまとその策謀に乗ってしまう。一方、ヤンはその思惑を察知しつつも、ユリアンを手放す事態に陥って。
ラインハルト陣営は、舞台か! ってくらいきらきらーっと華やかなんですが、私が好きなのはヤン陣営です。あの生活能力がない人が、いやだいやだって言いながら活躍するのが好き。

幼いころ、記憶をなくして森でさまよっていたところを、王子サミュエルに拾われた少女リル。サミュエルは、そんな彼女を猫として飼い始め、溺愛するようになる。森の奥深く、訪れる者のほとんどいない離宮で、いつしかふたりは互いの身体に溺れるようになるのだが……。リルの過去を知る者の出現で、優しかった王子の様子が豹変し——!?(裏表紙より)
ソーニャ文庫って執着系TLレーベルでしたっけ。それにふさわしい、ダークでエロで、可愛くって可哀想な話でした。こういうエロは好きだ。
女の子を猫として飼う王子様。猫のふりをする女の子。二人だけの閉じられた世界に、国が戦争で負けるであろうという終わりと、女の子の過去を知る者が来訪する。最後まで夢見がちに狂っている、可愛くって可哀想な二人。執着系の名に違わぬ物語で、単純に愛され系じゃなかったのが面白かったです。

査問会に出頭を命じられたヤン。その隙をつくようにして、イゼルローン要塞の目前に、巨大な人工球体が出現した。それはラインハルトが跳躍によって送り込んできた帝国軍要塞ガイエスブルクだった。要塞対要塞——壮絶な戦闘は、互いの主砲による攻撃の応酬からはじまった。司令官ヤンの不在を隠し、防御に徹する同盟軍に、ケンプ率いる帝国軍は容赦なく襲いかかる。そして皮肉なことに、帝国軍侵攻の知らせは、査問会の中止をもたらした。解放されたヤンは、帝国軍を撃退すべく、急ぎ戦地へと向かうが……。(裏表紙より)
同盟国パート。この巻ではラインハルトはほぼお休み。ここで話はいったん終わった風で、次なる大きな事件に繋がっていく様子。
ユリアンの才能が後世になんらかの功績を残すらしいことと、結局君たちどうなのという、ヤンとフレデリカが実は周りにもそう思われているらしいことが、癒しでした。結局結婚するのかなーどっちがプロポーズするのかなーということを期待しつつ、続きを読む。

2012年。アフガン帰りの軍医ジョー・ワトソンは、困窮の挙げ句、ルームシェアの相手に変わった女性を紹介される。美しく、乗馬服に身を包み、人口心臓を抱えた薬付けの身体に、家はコンピューターの家政婦が管理している。彼女の名はシャーリー・ホームズ。世界唯一の顧問探偵だった。
感想書いたと思ったのに書いてなかった……というわけで、八月の読書だったと思いますが、九月に突っ込みます。高殿さんが同人誌で百合ホームズを書くと聞いて、すっごく読みたかったのに同人誌を手に入れる機会を逸したので、単行本化はすごく嬉しい! そして、高殿さんらしい、女子のどろっとした感じもありつつの、ライトミステリーで楽しかったー!!
出てくる女性陣の影の、みにくいところよ。そしてそれを感じてなお、ジョーとシャーリーの友情のきらめきが! ちらっと出てくるそれぞれの裏事情の、ただものではない感も楽しく、続きが読みたい! と思いました。
でもこれ、事件の結末がちょっとデリケートなところに触れているので、だめな人はだめかもしれない。私は高殿さんらしくてすごく好きです! 百合やるんだったら、ここも触れないとだめだと思う。
あと装丁がすごく好きです! 綺麗な赤で、手触りもよくて、金が綺麗で、帯も可愛い。女子のためのホームズ・パスティーシュという感じでした。

伝説の天才アニメ監督王子千晴が、9年ぶりに挑む『運命戦線リデルライト』。プロデューサー有科香屋子が渾身の願いを込めて口説いた作品だ。同じクールには、期待の新人監督・斎藤瞳と人気プロデューサー行城理が組む『サウンドバック 奏の石』もオンエアされる。
ネットで話題のアニメーター、舞台探訪で観光の活性化を期待する公務員……。誰かの熱意が、各人の思惑が、次から次へと謎を呼び、新たな事件を起こす!
ああ、だから物語(アニメ)はやめられない!
anan連載小説、待望の書籍化。(帯より)
辻村節炸裂! な、ものづくりをする人たちの話。『スロウハイツの神様』は羨望し、妬み、足掻く人たちの共同生活でしたが、『ハケンアニメ!』は各々すでに仕事を持ってある程度成功も失敗も経験した人たちなので、うまく噛み合ない人間関係に加えて、仕事がうまく回らない胃のきりきりした感じが加わって、大人の仕事小説になっていたな、と思いました。
というわけで、この話は『スロウハイツの神様』の関連でもあります。でも読んでなくても大丈夫です。読んでいたら「ぎゃー」と叫びながらにやにやするだけですから!
アニメ制作に関わる立場も場所も異なる三人の女性をメインにした物語です。一個一個が震えるくらい面白いのはもちろん、「軍隊アリと公務員」での、すべての人たちが集まってくるのが、もう涙が出てくるほど嬉しかった。ものをつくる、人たちの熱さ、愛情は、やっぱり強くて、辻村さんはそのことを信じているのかな、と思ったりした。
すごく面白かったです。