読んだ本とか、漫画とか、映画とか、色々
時間遡行機“アリスの鏡”が開発された近未来。喪われた美術品を過去から盗み出す泥棒のルフは、至宝インペリアル・イースターエッグを盗み19世紀パリに逃亡した幼馴染・フォースを連れ戻すことに。だが彼女は高級娼婦“椿姫”マリーになりすまし、しかも不治の病を患っていた。頑なに帰還を拒否する彼女が秘めた真意とは!?時の迷宮に惑うタイムループミステリー!!(裏表紙より)
おおお……おおおおおお!! 面白かったー! 面白かったー! すごいー! 映画みたいだったー!
いろいろな要素が素晴らしく絶妙に組み合わさっていると思いました。崩壊後の未来と19世紀のパリ、泥棒と高級娼婦”椿姫”、タイムループと恋、などなど。ただのループものじゃなく、リアリズムというのか、泥棒らしいしたたかさというのか、しっかり地に足をつけて決着をつける、というところが最後まで本当に面白くて、感動もさせてくれて、本当にすごい物語だった!
文章も軽快で、けど足りないとか軽すぎるという感じもなく、ちゃんと語り手であるルフに合わせたものだと感じられたのもすごかったなあ。
すごくすごく面白かった!
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シャロンはラウールとともに、ローランスに戻っていた。それは、ラウールの社交界復帰の噂を生み、権力の行方を囁くことになる。だが、噂を知らないシャロンは、自分に護衛がつくことを不満に思っていた。そんなとき、ラウールがかつて愛した女性の妹・コレットが、恋を叶えるためシャロンに協力を求める。真剣なその想いにシャロンは協力するが、彼女のかわりにコレットがさらわれてしまい!?(カバー折り返しより)
シリーズ3巻目。結婚式のためにローランスに戻ってきたシャロンとラウール。国王陛下に謁見し、先だっての反乱の燻りが二人を襲い……という巻です。
二人の仲がだいぶとまろやかになった感じがしました。シャロンはこうなんだ、ラウールはこうなんだ、というようにお互いがちゃんと認識した感じがします。そして高まる糖度! シャロンの賢さは読んでていて気持ちがいいです。
とっても面白かった! 前シリーズ(ブローデル国物語)は1巻目しか読めていないんですが、ちゃんと読もうっと。
疎遠になっていたラウールの叔母が訪ねてくるという。難癖をつけてシャロンとラウールの結婚をジャマするためだ。そこでシャロンは、叔母に隙を見せないように礼儀作法をコンスタンスから習うことにした。だが、コンスタンスのもとへ向かう途中で、シャロンは強盗に襲われる若者を見つけてしまう。そうして彼女が事件に関わっている頃、叔母は到着し、息子がいなくなったと言い出して…!?(カバー折り返しより)
このシリーズの一巻も、その前段の出会いの話も読んでいるはずなんですが、ほとんど内容を忘れ……しかしこれ一冊でもだいたいわかる、かつ面白かったです!
成金貴族出身のシャロン、若くして隠居生活を送るリアンクール公ラウール。シャロンは破天荒な性格でちっともおしとやかではなく、近くに住む子どもたちと秘密基地を作ったりなどする。けれど、ラウールの叔母と同席したときには、その聡明さを発揮してにこにこと嫌味をかいくぐるという、とってもしたたかで素敵なヒロインです。
ラウールは、こんな甘い性格だったかなあと思ったんですが、もしかしたらシャロンにまつわる騒動に慣れてきてるのかな? もうめろめろじゃないかーと思いました。
ラウールの従弟セドリックにまつわる事件が今回の話。セドリックがぐーんと成長した姿にすかっとしました。
好きなものが多すぎて、ごめんなさい!
作家になる前から、作家になってから、夢中で追いかけてきた小説、漫画、アニメ、音楽、映画、美味しいもの……etc.
すべてが詰まった、読むと元気になれるエッセイ集!
特別収録! 短編 おじいちゃんと、おひさまのかおり(帯より)
『ネオカル日和』よりちょっと経って、『ゼロ、ハチ、ゼロ、ナナ』が直木賞をとって、作品も『島はぼくらと』などが出て時間が経っています。子育ての話や、家族の話が多い印象でした。
私、『ゼロ、ハチ〜』のときにサイン会に行ったことがあるんですけど、そのとき、前に並んでいた男の子が「握手してくれませんか」って聞いていたんですよね。「もちろんです」って辻村さんは答えてて、それを聞いた私も握手してほしいと思って。私の順番が来て、私も声をからからにしながら「握手してもらっていいですか」と聞いたんです。そしたら、にこっと笑って「もちろんです!」と言ってもらえて。そしてぎゅっと私の手を握って「がんばってください」って言ってもらえたっていう幸せな思い出があります。
緊張して、泣きそうに、震えている私が、もしかしたら必死の物語にしがみついて生きている女の子に見えたかもしれなくて、多分、辻村さんはそういう人の味方になりたいんだな、と感じました。エッセイを読むと、ますますその思いが強くなりました。
書物が溢れんばかりに出版されている現在、本当に面白い作品とはどのようなものか。狩人となった筒井康隆が、本の森に分け入り獲物を渉猟して歩く。実験小説あり、古典あり、SFあり、ミステリーあり…。作家の鋭い眼力に照らしだされた豊饒な作品群を、多彩な人物を登場させ、様ざまの文体を駆使して描く書評は文学の新たな悦楽である。(カバー折り返しより)
筒井康隆は「富豪刑事」と「パプリカ」しか読んだことがない……ので、書評の語る人が作品登場人物でもいまいちピンと来ず、書評なのだろうか……? という内容でもあったので、筒井康隆の本ではあるけれど、読書案内にはならない本だと思いました。自分ではちょっと読まない方法で読んでる感じだなーと思いながら読んでました。「これ面白い!」じゃなくて、なんだか別の視点から紹介しているような……。
『ルシードはアジェンセン大公の血を引いていない』その秘密を知ってなお、支持すると言ったはずのリドリスの裏切りに、意気消沈するルシード。一方ジルは、ジョングー=ガーグと共にテジムに捕らえられてしまっていた……。王座奪取へ邁進するルシードに贈られる、リドリスの、メリルローズの、……そしてジルの贈り物。全ての謎が明かされる中、ふたりの運命は!? 王宮ロマン、グランド・フィナーレ!(裏表紙より)
最後までときめきとロマンと歴史が詰まった、とても素晴らしい物語でした!
リドリスの贈り物は……もう分かりきっていたことだけれど、つらい……。大いなる傷と愛、か……。精霊の声を聞こうとしながら、最後に好きなものを食す彼は、一方で存在し続けたかったのだろうな……。生まれついたものが、未来永劫ルシードを脅かし続けるから、退場すると決めたリドリスは、きっと”未来”をあげた。
メリルローズの贈り物は、ルシードの生そのものだったのかもしれない。彼の輝かしい王への道、生きることへの望み、心。”いま”というものを紡いで振り返ったものが過去なのだから、メリルローズは心をあげたのかもしれない。それは多分”過去”なんだろう。
そして、ジルは”いま”をあげたんだろうなあ。一瞬一瞬、色鮮やかに、生きているって実感するもの。幸せだと感じるもの。
初夜の明けた朝は、笑いすぎておなか痛かった。リュリュカの叫びが全読者の心を代表していたと思います。
エピローグのいろいろは、そこもうちょっと詳しく! ってなりながら、その距離感がグランド・フィナーレという感じで心地よく、最後の最後でハッピーエンドなのがさいっこうだと思いました! ここに来て、それが伏線だったかーーーーー!!!!!(ばくしょう)
最高の物語でした。ありがとうございました!
全ての謎を解くために、【墓場】へ向かうジル。一方、シングレオ騎士団でマシアスと再会したルシードは、騎士団と星教会の後ろ盾を手に入れ、一路、パルメニアの主都ローランドを目指していた。パルメニアの王座奪取に向けて、なにもかもが順調に見えたその時——あるまぎれもない真実——が、離れ離れのジルとルシードに明かされる。二人の運命ははたして……? 身代わり王女の王宮ロマン、怒涛のクライマックスへ!(裏表紙より)
あああああそこでその真実かーーー!!! という、思ってもみないところからの攻撃が。いやしかしこの時代の人たちややこしすぎじゃね?
実は最終巻まで読み終わった後、この感想を書いているんですけれども、ジルと旅をしているとき、彼女からルシードの話を聞いて、ジギーはどう思ったんでしょうね……ばくしょう。「ムラムラしますー!」って言われて、動揺しない(ネタバレ)はいないと思うな!
最後のリドリスのあれは、ああ、彼は望み通りに死んでいくんだな……と思いました。
パルメニア王冠を目前についにシングレオ騎士団攻略へ歩を進めたルシード。世界会議の舞台で自分の正体を知る他国王たちに挑むジル。“あの夜”の約束を胸に、それぞれの戦いに乗り出した二人だが、大公夫婦のいないアジェンセンにはオズマニアの脅威が迫り……!? さらに姿を消していたマシアスも再登場! ジルとルシードに協力していた理由もついに明らかに……! 王宮ラブロマン、いよいよ怒涛の最終章へ突入!(裏表紙より)
紹介文に書かれちゃってますけれど、マシアス再登場です。協力していた理由っていうのが、えー? っていうちょっと肩すかしなあれだった(と個人的に感じました)のですが、これもう一回転するんだろうか。
気になるのはシングレオ騎士団のエヴァリオットで、登場した時は「うおおお」と興奮しました。まあその展開にはならないことは、別シリーズで確認済みではあるんですけれども、それでも騎士団を従えてしまうルシードは、本当にカリスマというか人たらしというか……。
オズマニアの父王と王子との戦いもひと段落ついて、いよいよラスボス、メリルローズとの対決が近づいてきたという感じ。双子、という関係性の因縁がすごく浮かんできているので、どういう種明かしになるのかすごく気になる。楽しみです。
アジェンセンを囲む国々の政略が錯綜する中、ついにパルメニアの王冠がルシードの目前に……!? それぞれヴィスタンシア、パルメニア行きの準備に追われるジルとルシードは、野望の達成が同時にふたりの別れを意味するという事実に気づく。もう二度と会えないかもしれない。夫婦でいられる時間は、今宵が最後かもしれない——ようやくお互いへの気持ちに気づいたふたりは……? 恋と野望が渦巻く王宮ロマン、急展開!(裏表紙より)
ご自覚おめでとうございましたごちそうさまでしたー!! 冒頭から結構振りかぶって「自覚」の準備がされていたので、どうなるかと思いましたが、無事に思いを伝え合うことができてよかったよかった。まあ、その後の展開は物語として美味しい……いや、一筋縄ではいかない波乱の予感ですね。そろそろ最終決戦間近ってところでしょうか。
リドリスがすごーくいい人、というか毒舌でありながらすごくルシードに優しいのが、嬉しい反面怖い。彼は最後に何か大掛かりなものを仕掛けてくるんじゃなかろうか。例えば、ジルの出自に関するものと同じような理由とか……。ちょっとずつジル周りの事情も明らかになってきたところで、次。