読んだ本とか、漫画とか、映画とか、色々
ここは夢が生まれる場所。
大正十一年、丸の内に誕生した国際社交場・東京會舘。〈建物の記憶〉が今、蘇る。
激動の時代を生きた人々を描く。
直木賞作家の傑作長編小説!(帯より)
海外ヴァイオリニストのコンサート、戦中での結婚式、GHQに占領されている最中のバーでの出来事、という東京會舘が生まれ、震災で崩れ落ち、再び再建されるも戦争が、など東京會舘という場所と時代の出来事が描かれる。
その場所を愛し、あるいは大切な思い出を持った人たち。生きているなあって感じがします。東京會舘のような場所って、生きていく上で誰しもみんな持っているんじゃないかなあ、という気がします。特に「しあわせな味の記憶」の章は、家族の光景が見えてうっかり涙腺が緩んだ……。
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ある事情で26歳のOL・浅見桐子が身を寄せることになった先は、美人顔の年下幼なじみ・佐倉井真也のもと。そこはアロワナの水槽が鎮座する魚マニアの部屋だった!
しかし真也は、桐子が食卓に出した「食べる魚」は苦手と物申し、桐子は好き嫌いを克服させる事に!
一緒に出かけた水族館、熱帯魚ショップ、展望台。突然始まった同居は、食卓をともに囲むたびに二人の距離を縮めていく。東京での日々を通じて、地元では知らなかった互いの一面を知り——。
アクアリウムと料理が結ぶ、年の差幼なじみの恋物語。(裏表紙より)
「おいしいベランダ。」シリーズのスピンオフ。まもりにかつて恋して玉砕した佐倉井くんが、実はその後恋をしたらしいというのは本編でちらりと触れられていましたが、その恋のお話です。
視点は女性側、幼馴染で年上の「桐姉」こと桐子。とある事情で会社を辞めて東京にきたはいいものの、住んでいた部屋が火災の被害を受けて行き場をなくし、佐倉井くんのところに転がり込むことになってしまったという……家がなくなるとか、家(生活)が脅かされるとか、暮らすって大変だなあと思ってしまった冒頭でした。
アクアリウムという部分が強調されるのかと思いきや、メシウマ小説なのは変わらず、桐子が美味しそうなご飯を作る作る。夜中に読んでいたのですごくはらへりーでした。
年上がヒロインだからか、恋愛も落ち着いていて、でも仕事とか過去の恋とかは結構痛くて、本編シリーズとはまた違った味わいがあってとても面白かったです。
ペシャワール城塞に入城したパルス王太子アルスラーンの元に、シンドゥラ軍襲来の報が届く。王子ラジェンドラ率いる大軍は五万。対する軍師ナルサスは、巧みな計略を用い、たった五百の騎兵で王子を捕虜にしてしまう。王子と同盟を結んだアルスラーンは、シンドゥラのもう一人の王子ガーデーヴィとの対決へと向かうが……。超絶人気シリーズ第三弾! 解説:森福 都(裏表紙より)
ペシャワールからシンドゥラへ。シンドゥラの兄弟の跡目争いに介入した後、アルスラーンが王都奪還に乗り出すまでのお話。悪びれないラジェンドラが腹たつなあー笑 と思いつつも、生真面目なジャスワントが愛おしいシンドゥラ編です。
これリアルタイムで読んでたら引きが狂おしすぎて大変だったろうなーという諸々。アルスラーンとヒルメスの本当の出自は? とか。あとはバックボーンがわからないギーヴやファランギースも何か秘密を持ってそうな気がするし!
辛くも死地を脱出したアルスラーン王子ら一行は、味方の兵力が集結する国境城塞へと向かう。追っ手をかわすため三組にわかれた彼らに、ルシタニア軍、そして銀仮面の男とその配下が襲いかかる。過酷な逃避行の先に待つ運命は? さらに、パルス王国の存立を揺るがしかねない王家の血の秘密が明かされようとする……。超絶スペクタクル・ロマン第二弾! 解説:柳 広司(裏表紙より)
カシャーン城塞へ向かうところから、ペシャワールで銀仮面卿が襲ってくるまで。
こうして改めて物語を追って行っていると、アルスラーンの出自にはもう一つ何かありそうだなあ(※本編はアニメで見たところまでしか知りません)と思う。アルフリードの対してそっけないナルサスはこの先どうなるのか……と思ったり、王妃タハミーネは何者なのかとか、暗躍している魔導士たちのこととか、早く続きが知りたい!
猛勇なる騎士軍団を誇り、不敗の国王が君臨するパルス王国。蛮族ルシタニアとの戦いでも、その勝利を疑う者はなかった。だが、味方の裏切りから、軍団は一日にして崩壊。王国は滅亡してしまう。からくも生き残った王太子アルスラーンは、勇者ダリューンや軍師ナルサスらとともに故国奪還を目指すが……。壮大な歴史ファンタジー・シリーズ第一弾! 解説:上橋菜穂子
「アルスラーン戦記」はアニメと漫画を履修。原作を読むのは初めてなんですが、読んでみてそのわかりやすさもさることながら、アニメと漫画はすごくうまく作ってあるんだなあと感じました。アニメは、視点が散り散りになっている群像劇をアルスラーンにまとめる感じとか、あとこの一巻ではあまり性格や雰囲気が掴みにくい彼の印象を描いているところとか。
ともかく原作は、「これから始まるぞ!」という感じ。ここからアルスラーンの戦いが始まっていくんだなあ、きっと最終巻まで読み終わったらずいぶん遠くまで来たなあなんて思うんだろうなあ……という、波乱の運命の幕開けでした。
第二次世界大戦によりオルガ女学院が閉鎖されてから4年。大学進学したシャーロットは英国からインドへ想いを募らせていた。行方不明のカーリーとの再会を求める彼女に、美しき王子ル・パオンは驚くべき提案をする。「インドに行きたいなら僕と婚約すればいい」。少女小説の最高峰、待望のシリーズ第三弾。(裏表紙より)
学園という箱庭から出て飛び立つ時を待つ少女が、再び運命の地に赴く。彼に再び会うために。ほんっともう大好き! なシリーズ三巻。テーブルを囲んでみんなでクッキーを食べる、ただその幸せなシーンをもう一度取り戻したいとシャーロットが望んでいるところに、世界情勢が重なって涙が出そうになります。少女時代という取り戻せないものと、個人の力ではどうにもならない世界というもの、けれどどうしても譲れない願いというものがあって。
カーリーは登場しないのかなあと思ったら、そこかー!!! シャーロットがちゃんと台詞にしてましたが、お約束を守ってくれてありがとう! という気持ちです。
続刊楽しみに待っています。
湖畔の村に彼女が帰ってきた。東京に出て芸能界で成功した由貴美。ロックフェスの夜に彼女と出会った高校生・広海はその謎めいた魅力に囚われ、恋に落ちた。だが、ある夜、彼女は言う、自分はこの村に復讐するために帰ってきたのだと。村の秘密と美しい女の嘘が引き起こす悲劇。あまりに脆く切ない、恋の物語。解説・千街晶之
ミステリーかと思ったらとんだホラー&サスペンスだったよ! 新年一冊目がこれか!(※読書記録の記事は予約投稿しています) と思った一冊。閉鎖的な集落に戻ってきた女が、村長の息子である広海と出会う。彼女が告げるのはこの村への復讐。村ぐるみで隠されていたとある不正を暴こうというのだ。
男と女の話かと思いきや、後半になるにつれて『ムラ』という巨大なものがふたりを飲み込んでいくのにぐらぐらしました。由貴美と広海に対して「一緒になったらどうかな」は怖すぎた。ひいってなった。そうして広海の選択は、というラストまで息を詰めて読みました。
栗坂まもりは、イケメンだけれどベランダ菜園オタクの亜潟葉二の恋人でお隣さん。
夏を前にベランダ菜園の失敗から散財したまもりは、バイト先の閉店も重なって金欠の大ピンチ。運良く古書店のバイトに採用された! と喜んでいたら、同僚は昨年まもりを好きだと告白していた佐倉井くん……!?
さらには葉二が偶然、二人が一緒に働いている姿を目にしてしまう。「佐倉井も一緒に働いてるのな。なんで隠すわけ」と言い出した葉二と、まもりはケンカになってしまい――?(裏表紙より)
シリーズ第4巻。親の襲来を経て順調にお付き合いを続けるふたり。夏はふたりで遊びに行こう! というところから、亜潟さんの仕事に大きな動き?
和やかに、ちょっと言い合いしたりすれ違ったりしつつも、楽しそうに一緒にいるので終盤の展開にははらはらしたんですが、よかったあ。そういう考え方めっちゃ好きです。そういう風に私も言える大人になりたいなと思いました。
あとがきの感じだと、佐倉井くんのスピンオフが出そう? 年上彼女と年下彼氏の話ってどんなのかなあ。ぜひ読みたい。
火事から父を助けようとした瞬間、異世界の島・ログレスにトリップしてしまった女子高生の織葉。人食い薔薇に襲われたのを救ってくれたのは、氷のように冷たい美貌の騎士・ギンレイ。元の世界に戻るため、人食い薔薇を退治する薔薇騎士団に入った織葉だが、ギンレイは冷たい言葉ばかり投げかけてきて――。「強くなるわ。守るって、決めたの」強がりな少女と孤高の騎士が世界を救う――異世界トリップファンタジー、開幕!(裏表紙より)
とても懐かしい気配に満ちた、「現実を変えたい」と願う少女が異世界に召喚され、薔薇を狩る者の一人として、頼り甲斐のある仲間たちと戦いながら、自分を助けてくれた訳ありの最強の騎士への思いをほのかに育てつつ、世界の秘密に触れようとするファンタジー。1巻目で、話がまったく終わっていませんが、この一人称の感じとかキャラクター、設定、世界観が本当に自分の中二心をびんびんに揺らしてくれて、悔しい……好き……! って思いました。またイラストが綺麗なんだなあ。
世界観がアーサー王伝説を下敷きにしていることもあって(キャメロットとかマーリンとか……)楽しかったんですが、ギンレイの正体にはおおっと思いました。
小学校の頃やってきた転校生、その母親の秘密「仁志野町の泥棒」。年齢と立場、恋愛と結婚に言いようのない苛立ちを覚えていたある日、不審火が起こる「石蕗南地区の放火」。かつて付き合った男との思い出を回想しながら旅をしている「美弥谷団地の逃亡者」。恩師が殺されたことを聞いた彼女の元にかつて付き合っていた男から電話がかかってくる「芹葉大学の夢と殺人」。やっと欲しかった子どもを授かったものの育児に疲弊していく「君本家の誘拐」。五つの短編集。
まさに「鍵のない夢」というか、答えが見つからないまま、行き場を失ったり、自分の立っているところがわからなくなったり、どうにもならなくなってしまっている人たちの話だったなと思いました。どの話もいたたまれない読了感なんですけど、辛かったのは「芹葉大学の夢と殺人」でした。
口ばかりで、社会を知らないまま、「嘘がつけない」という言葉を武器に夢を見ている大学生が出てくるのですが、この男がもう……もう……。その言動のいちいちがもぞっとしていたたまれない。
同時に「石蕗南地区の放火」ももぞもぞもぞーっとしました。結婚の気配もないまま三十六歳になった女性が主人公。なんとなくデートらしきものに出かけた年上の男性がいるものの……という話で、このふたり、それぞれのこじらせ感が胸を掻きむしってしまうくらいしんどい。これ「マウントとりたい」って話なんですよね。ああー。
後味がとても悪いんですが、この身をよじってしまう居心地の悪さがたまらないなあとも思いました。