読んだ本とか、漫画とか、映画とか、色々

仕事一筋だった私が結婚したのは元FBI捜査官。「日本一腕のいい錠前屋を探せ」「デパートでも居酒屋でも、トイレに入る前はFBI式にドア点検せよ」「仕事靴はハイヒールのみ。スカートをはいて自転車に乗るな」。それは彼のトンデモ指令に奔走する、ジェットコースター人生の始まりだった。愛と成長とドタバタの日々を描く国際結婚エッセイ。(裏表紙より)
国際結婚の難しさと、結婚した相手と自分の文化や価値観の違いがわかるなあと思いました。危機管理もすごいですが、プロファイリングがすごい! 人を見る目ってこういうことなのかあと勉強になりました。旦那さんの変わった(って言ってもきちんと裏付けがある)言動がクローズアップされているけれど、自分と家族の身を守るための適切な行動だったというのが後にわかるのが切ない。そういう時代だったし、いまはこんな時代になってしまった。
2012年の文庫版刊行に合わせてのあとがきで、ダーリンとの別れが語られていて、なんだかもう泣き笑いになってしまった。そうかあ、最期までダーリンはダーリンだったんだなあ。

エイを釣ったので発酵させたり、ホタルイカを獲りに行ったり、野草を摘んで料理してみたり。とにかく捕まえて食べる、を繰り返した記録。
「ホンオフェ」「ホタルイカ」「アナジャコ」「マテガイ」「ギンポ」「ヒラツメガニ」「タコ」「野草」「ザザムシ」「スッポン」を食べています。
日本国内で捕まえたものを食べるので、食べているものは想像しうる範囲のもの(だと思う)のですが、捕まえてそれを食べるという行為は面白いなあと気付かされる本でした。
見た目がグロいな……と思わせるものもありますが、こういうものを食べてきた人たちがいるので、面白いなあと思います。かといって食べたいかと言われると、あんまり、としか答えられないのですが。

「図書」誌上での好評連載を中心に編む時評集。一生活者の視点から、ものを言い、日々の雑感を綴る。今というこの時代、日本というこの国に生きることへの本能的な危機意識が、生来の観察者を発言者に変える。二〇一四年から一六年まで、日本がルビコンを渡った決定的時期の覚書として、特別な意味をもつ一冊。(カバー折り返しより)
世相の覚書という感じ。政治など社会の話ばかりですが、その当時のニュースを思い返しながら、こうやって一つ一つ立ち止まって考えたこと自分はあったかなあ、と思うなどしました。読みながらそこはかとない不安や怒りや、どうしてそうなったのだろうという疑いが感じられる気がして、日本はどこに向かうのかなあと不安になった。

花や草木を枯らす呪われた手を持つ撫子。父の死後、知らぬ間に自分が結婚していたことを知る。夫だという花織を訪ねると「――庭と妖精のこと、承ります」という怪しげな看板を掲げ、人里離れた土地に暮らしていた。本業は造園家だが、昔から妖精の呪いに纏わる厄介事を解決しているという……。謎が謎を呼ぶ美しき庭園で、撫子を待っていた衝撃の真実とは――!?
呪いと恋、そして"想い"が紡ぐ——幻想ミステリー(裏表紙より)
内容紹介から日常の謎ものを想像していたら全然そんなことはなく、現代が舞台のばりばりのファンタジーだったのでびっくりしました。東堂さんらしい主人公やヒーローの造形だったなあと思います。少し残酷でひりついた心を持った人たち。
妖精と関わった家系ゆえに、緑を枯らす呪われた手を持つ撫子。同じくとある呪いを受けている花織。戸籍上は夫婦となっているけれど、花織は撫子を拒絶する。緑を枯らしてしまうがゆえに緑や庭を愛する撫子は、それらを愛し愛される花織と関係を築こうとする。
蓮之助周りの事情はちょっとひどいような気もするんですが、これも辻家の血かなあ……と思ってしまった。だからこそ妖精に愛されたし彼らを愛するんだろうと思うと、血や因果は巡るんだろうと思う。

イベント会場で残念な出会いを果たした腐女子JK・朱葉(神絵師)と腐男子先生・桐生(信者)。イケメン生物教師としてのオンの顔と、残念なオタクのオフの顔を使い分けながら朱葉とオタ活に勤しんでいた桐生だったが、世はまさに新学期。図らずも桐生は進級した朱葉の担任になってしまい……!?
「早乙女くんの人生からブロックされたら、すごく、困る!」
朱葉の熱烈なフォロワーも学校に入学し大波乱のオタクラブコメ第2巻!!!!!(裏表紙より)
二巻が出た! 嬉しい!
腐女子で神絵師なJKの朱葉。信者のふだせんと微妙な距離を保ちつつオタクライフを楽しんでいるけれど、生徒と教師という関係性はちくりと胸を刺す。そこにさらに絵師と信者という距離も相まって、ああーもうー! じれじれするー!!!!!
作中ではついに三年生になり、新学期早々チャラ男に目をつけられた朱葉ですが、ふだせん隠れられてないよ! 大丈夫かなあ。
続きが読みたい。ぜひ完結まで出てほしい。

超軍縮時代に突入し、水面下で熾烈な情報戦が繰り広げられる世界。軍隊化する警察組織の中で、戸籍を奪われ死者と同じ扱いを受けながら最前線の戦いを強いられる者たちが、日本にはいた。対スパイ殺人権を持つ特公五係、通称“サクラ”と呼ばれる精鋭集団——その候補生である海棠鋭利は、唯一無二の相棒・御津見珀と共に総理大臣の息子の護衛を命じられる。それは“サクラ”になるための卒業試験であり、同時に国を守る特務でもあった。(裏表紙より)
冒頭の感じから、かつての相棒が助けに来た。お前は俺のメサイアだ、という感じの話を想像していたのですが、本編は二人が相棒になり卒業試験となる任務を受けたものがメイン。お互いのことを相棒だと感じている様子なのはわかったけれど、どちらかというと鋭利の過去の清算についての話なので、二人の離れがたい感じをもっと読みたかった。
重くならず、けれど世界と国と家族について自問自答を繰り返す若者たちのお話で、最後の演説はエンタメらしくて気持ちよかったです。

両親を喪って兄とふたり、道東の小さな町で暮らす少女。演劇の才能を認められ、周囲の期待を集めるが、彼女の心はふるさとへの愛と、夢への思いの間で揺れ動いていた(表題作)。苦難の中で真の生き方を思い求める人びとの姿を、美しい列車の風景を織りこみながら描いた珠玉の短編集。(裏表紙より)
リストラ、夫婦、家族、老い、病など、子育てを終えてそれからという人たちが抱える問題がほとんどで、少し世代は合わないんですが、とても身近な題材を使った短編ばかりで面白く読みました。
読みやすいなあと思ったら、漫画原作にしたものを短編にしてまとめたものだったんですね。コマの切り替えや構図が浮かぶなあと思ったら、そういうことだったか。うまいなあ。
みんなどこか寂しさを感じさせる作品なんですが、「ムシヤシナイ」が好きです。遠距離別居している祖父と孫の距離感って、時々救いになるときがあると思うんですよね。路男の見守りの眼差しがいいなと思いました。

栗坂まもりは、イケメンだけどベランダ菜園マニアの亜潟葉二とお隣さんで恋人どうし。
葉二と出会って2度目の秋。なんと、まもり達のマンションで大規模修繕が行われることに。綺麗になることを素直に喜ぶまもりだが、まさかのベランダ菜園も全部撤去しなきゃダメ……って、無茶ですよね葉二さん!?
さらには、まもりにマンションの部屋を貸してくれているあの人が突然現れて——?
お隣どうしの二人の恋に、ベランダに、波乱の風が吹く大人気シリーズ5巻!(裏表紙より)
亜潟さんの元カノ、建石さんのお話。謎の行動を取る北斗の話。マンション修繕と帰ってきた涼子ちゃんのお話。涼子ちゃんが帰ってきたならまもりはマンションを出ないといけないけれど……? という、二人の距離が変わってしまうのかという第5巻。
第1部完といった感じの、お互いに少しずつ知っていきながら仲良くしていく二人が見られた巻でした。亜潟さんは結構まもりのこと好きだし大事だよなあって微笑ましかった。
まもりと涼子ちゃんの関係がいいな。まもりの素直な慕いっぷりは、ずっと涼子ちゃんの気持ちを少しだけ軽くしていたんじゃないんだろうか。