読んだ本とか、漫画とか、映画とか、色々

パソコンの受信ボックスには毎日、たくさんの迷惑メールが送りつけられる。おそらく私と同じように日々せっせと迷惑メールの削除をしてから仕事を始める人も多いのではないだろうか。2012年度は全メール数の約6〜7割が迷惑メールという驚くべき数字になっている。そこで今回は、みんな興味はあるけれども、その見られない先の世界には何が待っているのか、「多くの人が行ってみたいけれども行けない世界」をあえて覗いてみた。
本書はその記録である。「はじめに」より(カバー折り返しより)
2013年11月の本なので、登場する迷惑メールは一昔前感がありますが、昔もいまも迷惑メールってほとんど根本は変わっていないんだなあと思いました。結局出会い系かっていう。
そうした迷惑メールを種類別に紹介しつつ、相手側とコンタクトを取れる場合はちょっとメールしてみたり電話してみたりと、メールの内容を眺めるだけではない内容。ただテレビ番組のようにさらに踏み込んで、というのはなく問い詰めたりやりこめたりっていうのはないです。
ただ最後に、迷惑メール被害者の相談に乗るっていう悪徳業者の紹介があったのはおおっと思いました。こういう詐欺もあるんだなあ。
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妖精にとりつかれ、半妖精になってしまった人間の男子——<アーダ>。そんなアーダに血や涙を与えて契約し、主従関係を結ぶ「妖精使い」。犬耳としっぽのファボ、六枚羽を持つセルカを使役する妖精使いのクレアは、濡れ衣を着せられて今はお尋ね者。そんな時、家族を失わせた憎き仇である王家の跡継ぎエンテ王と、彼に従うアーダ・ロロにさらわれてしまい——!? クレアの口づけを奪うのは誰? 王宮ファンタジーラブロマンス☆(裏表紙より)
世間知らずだけれど純粋で心優しいお嬢様クレアが、アーダであるセルカとファボに守られながら、取り潰しになった家と家族の名誉を取り戻したいと願いながら、女王国初めての男王となったエンテ王と彼に付き従うアーダ・ロロとともに女王国の革命に立ち会う物語。
全体的にゆるふわなのは、主人公であるクレアがまったく状況を把握できていないからかなあ。相手の反応について何か思ったり考えたりするだけで、女王国に起こっている混乱や妖精使いとアーダの秘密についてあんまり深刻に捉えることができないような書き方になってしまっている気がしました。守られるだけっていうのはやっぱりちょっとなあ。

栗坂まもりは、イケメンだけどベランダ菜園マニアの亜潟葉二とお隣さんで恋人どうし。
マンション改装も終わった冬。張り切って新たにスミレをベランダ菜園にお迎えしたまもり。バレンタインにこの花を活躍させる計画でわくわくする一方、友人の湊と周の間には不協和音が!
……湊ちゃん、わたしに何かできることはないかな? 友人のために心を砕くまもり。
一方で、見守る葉二には仕事の転機が訪れ——?
ベランダ菜園に2つの恋の嵐が巻き起こる、大人気シリーズ6巻!(裏表紙より)
友人や周囲の環境が少しずつ変わる第6巻。まもりの成人式と、友人の湊ちゃんが破局の危機です。最後の最後で亜潟さんも新しい道を選んでしまう……? という内容もあり、続きが気になりすぎる。
少しずつ外に向かい始めたまもりは、再び迎えた亜潟さんとの進路を上手く決めていくことができる……気がする! 待つよとか行くよとか言える大人になっていってると思う!

苛烈な暴君か、有能な君主か。中国最初の皇帝の生涯は謎に満ちている。出生の秘密、即位の背景、暗殺の経緯、帝国統一の実像、焚書坑儒の実態、遺言の真相──。七〇年代以降に発見された驚くべき新史料群に拠り、『史記』が描く従来の像を離れ、可能な限り同時代の視点から人間・始皇帝の足跡をたどる画期的な一書。(カバー折り返しより)
始皇帝研究をまとめたもの、でいいのかな。中国の歴史にあまり詳しくないので、もうちょっと入門的なものを読んでからこれを手にした方がよかったかもしれない。
読んでいて思ったのは、記述が様々で、まだまだ明らかになっていないことが多いのだなあということ。統治者の威光を表現する、あるいは貶めるために、文書が大きな役割を果たしているという印象が強い国だなあということでした。

これは、世界を拓く物語——。
長年に亘る戦で荒廃した世界。そこでは語り継がれる終末神話があった。「この世の命数が尽きる時、『邪神』が現れ、世界は終焉の時を迎える。しかし、創造神は一人娘をこの地に遣わし、その『救世主』は五人の『守護者』と共に人々を新世界に導く——」と。終末の到来を予感した少女・ノト。かつて『守護者』の責務から逃げた彼女は、王と、国と、神と、そして運命と斬り結ぶことを決断する!!(カバー折り返しより)
滅亡と再生の異世界ファンタジー、だけではなくてSF要素も含む。情動を持たない娘、ノトは、終末神話に語られる五人の守護者の一人『真実』であった義兄ホリディが死んだことで、彼の預言を知り、彼の意思を継いで守護者を集めて邪神と戦うことを決意する。
ノトは果たして救世主、それとも邪神? 預言の通りになれば仲間の守護者たちがみんな死んでしまうのは本当なのか? 笑うことも怒ることも泣くこともないノトがひたすらに自分のすべきことをやりながら、仲間たちを失いたくない、一緒にいたいという思いを育て、運命に立ち向かう。
ノトの淡々とした語り口と立ち回りの上手さで、ストーリーは王道、問題ごとも基本的にはすんなり片付く軽い読み心地なのですが、最後に登場する「生きていることは素晴らしいのか?」という問いやテーマはとても多崎さんらしいなあと思いました。途端にノトが不器用で、本当は弱いただ人でしかなかったことがわかってぶわっときました。いいファンタジーでした。

少年が開いた扉は、何故だかアクセサリー店へと繋がっていた。来た道を思い出せない少年の前に現れたのは、無神経で無愛想、おまけに生活能力ゼロの店主。その傍らには、喋る狼が!? 訪れる客も、風変りな者ばかり。店主に店の所在地を訊ねても、飄飄とした的外れな答えしか得られない。「迷子、おまえがどこから来たのか当ててやろう」……すべてが不合理な中、奇妙なゲームが始まった!(裏表紙より)
おそらく現代日本から来たと思われる少年が、複数の異世界の国から訪問者を受け入れる謎めいたアクセサリー店で自らの帰る場所を探す話。なんですが全然話が終わっていないので、いろんな世界のいろんな人の事情を楽しむ一冊となっています。
巨人の国からやってきた人物の依頼、追われているという人物の依頼、機械の国からやってきた依頼、物作りを生業とする少女の依頼、などなど、文化や仕事が全然異なる世界からの訪問者たちが「アクセサリーを作ってほしい」と依頼し、それに不思議な店主シオンが答える。ページ数が多ければライト文芸にカテゴライズされそうな作品。
話が始まっているようで始まっていないし終わってもいないので、少々消化不良です。メイは帰ることができたのかなあ。

優しい同級生として有名だったナベちゃんが結婚するが、その嫁がヤバイらしいという噂が流れてくる「ナベちゃんと嫁」。国民的アイドルグループの一人となった教え子が母校を訪ねてくるという。かつて彼の弟の担任だった佐藤は……「パッとしない子」。成人式の写真に写っている彼女の着物にまつわる不思議と、完璧な子育てと母と子どもの話「ママ・はは」。時の人となったかつての同級生に取材を申し込んだ早穂だが……「早穂とゆかり」。四つの短編集。
あわよくば誰かと恋人関係になりたかったかつての同級生の男子、その彼が結婚するという。その嫁は少々普通ではない。連絡手段を限定しようとしたり女友達を排除しようとしたりする嫁だというのだ。
国民的アイドルになった教え子のことを「パッとしない子だった」と周囲に話していた教師。
いじめではないと言いながら相手のことを面白おかしくいじっていたライターの早穂。
彼女たちは当事者にはどのように思われていたのか。胸がきりきりするような「噛み合わない」人たちの四つのお話。もう痛くて痛くて……。
「自分の側からは見えない」という噛み合わなさを描いた作品群ばかりで、視点人物のほとんどが「私は正しい」と主張してくる痛々しさもそうだし、子どもの頃のあやまちをあやまちとも思っていない現在と、時が経ても癒えない当事者の傷のこととか、読んでいて辛かった。