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読んだ本とか、漫画とか、映画とか、色々
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年子でよく似ている「真面目な子」の姉に複雑な感情を抱く妹。弟のアイドルオタクを馬鹿にするバンギャの姉。賢い優等生な娘とそりが合わないでいる母親。教師になるという息子の夢を守ろうとする父親。周囲から浮いている妹に苛立つ姉。帰国子女の孫の学校生活を見守る祖父。赤ん坊という命を中心にした風景。家族の物語を綴る短編集。

「「妹」という祝福」「サイリウム」「私のディアマンテ」「タイムカプセルの八年」「1992年の秋空」「孫と誕生会」「タマシイム・マシンの永遠」を収録。
語り手みんなの感情に共感してしまって、まるで自分に起こった出来事のようだった。そして多分この世界のどこかで同じようなことをしている家族がいるんだろうなと思わせる、リアリティがある短編の数々。とても面白かった。
ぐっときたのが「私のディアマンテ」。娘に馬鹿にされる学のない母親だけれど、大事なことは絶対に間違わなかった、その展開にすごく救われました。それから「孫と誕生会」。こちらも現代の価値観とは違うかもしれないけれど、大事なものの根っこは変わらないというのを教えてくれるもので、とてもよかった。
「タマシイム・マシンの永遠」はすごくタイムリーだったかも。タマシイム・マシンはどうやら『ドラえもん』のひみつ道具のようなのですが、話している内容に、2020年11月時点で上映中の「STAND BY ME ドラえもん 2」の下敷きになった話、のび太とおばあちゃんのエピソードのことが出るんですよね。それだけでなんだかちょっと、読みどきだったのかなと嬉しくなったのでした。
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ノースポール合衆国自治州『キヴィタス』は1億6千万の人口を収容する人工都市だ。アンドロイド管理局に勤める若きエリート、エルガー・オルトンは、帰り道で登録情報のない「野良アンドロイド」の少年を拾う。ワンと名乗った少年型アンドロイドとエルは不思議な共同生活を始めるが、ワンは記憶を失っていた。彼の過去を探るうち、エルは都市の闇に触れてしまい?(Amazonより)

見事なSFだった。女性向けSFという感じで、世界観が硬質的で、エルとワンにやりとりがとても面白くて軽妙。オレンジ文庫でこういうSFが出るんだなー! と嬉しくなりました。
人間としてどこか欠けているエル。機械にしては人臭すぎるワン。この二人が出会い、欠片がはまるようにお互いを必要とするまでの過程が、キヴィタスの闇を覗き込む事件とともに描かれていて、ちょっとずつ二人が歩み寄り、成長していくところがとてもいい。なんというか、とても「生(なま)」を感じた。
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 身分に関係なく有能な人材を登用し、庚国を発展させた前女帝。その反面、血の粛清は親族にまで及び、それは彼女自身の息子にも向けられた……。
 生き残った現皇帝・明宗は傀儡と囁かれ、国は前女帝派と明宗の姉・西安公主派に分かれて権力闘争に明け暮れている。しかし明宗は、国を思う熱い心を秘めていた。
 そんな彼の前に現れた、没落した地方官吏の娘・紅琳。彼女もある野望を胸に、女でありながら身を立てようともがいていた。
 二人が出逢い偽りを共有した時、国は変革への産声をあげる——!(裏表紙より)

女性でありながら宦官に扮し、傀儡皇帝とさげすまされている現皇帝とともに仲間を集め、困難に立ち向かう中華風ファンタジー。
賢く有能な紅琳に対して、皇帝の明宗は優しく真面目なのだけれどちょっとずれた感覚の持ち主。大丈夫かなあこの人……というのを紅琳が個性豊かな仲間たちとともに支えるんですが、この仲間集めの感覚が楽しいですね。中華風王宮だとものすごく難しいけれどこの本の世界観だからなんとかぎりぎり可能になったみたいな感じがします。阿賀とかね、ばれたら本当にやばいと思うんだよね。
仲間が揃ってさあここから! と思ったんですがいかんせんページが足りなかった……もっと敵側をぎゃふんと言わせてほしかったなあ。
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AKB48のグループ総監督だった高橋みなみの、十年間の活動の一部、リーダーであったことをまとめた本。
女子ばかりのグループの中で、自分の立ち位置を見極め、やれることを考えて実行し、周りをよく見て一つの方向に導く。なんてよくできた人なんだろう……と思いました。感情的にならないようにしつつ、周りをちゃんと頼って、自分ができるのはこれだという強い意志がなければ、大勢の人間を引っ張っていくことなんてできないよなあ。すごく興味深く読みました。
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タカラジェンヌの母をもつ一瀬蘭花は自身の美貌に無自覚で、恋もまだ知らなかった。だが、大学のオーケストラに指揮者として迎えられた茂実星近が、彼女の人生を一変させる。茂実との恋愛に溺れる蘭花だったが、やがて彼の裏切りを知る。五年間の激しい恋の衝撃的な終焉。蘭花の友人・留利絵の目からその歳月を見つめたとき、また別の真実が——。男女の、そして女友達の妄執を描き切る長編。(裏表紙より)

登場するいろんな人がどこかの部分で鈍感で、盲目的で、無自覚である、ということを突き詰めるような小説だった。恋は友情よりも重いのか? という命題もそうなんですが、それぞれの都合のいい解釈が読んでいてきつかった。美波の台詞にものすごくどきりとさせられて、どうしてなんだろうと思っていたんですが、蘭花は彼女の言葉に対して鈍感で、留利絵は鋭敏すぎるんだな。完全スルーで都合のいいときにしか聞いていない蘭花に比べて留利絵は都合よく解釈する自分やコンプレックスをすぐに見抜かれるから、とことん美波が嫌いなのか……などと「育ちがいい」=「狭い世界しか知らない」女性たちのアンバランスさがよくわかって、後味が悪いのにやっぱり面白かった。
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ヴィクトリア&アルバート博物館の指輪コレクションから、西欧の指輪史を解説する。
解説といってもかなり図録に近いかと思います。翻訳の文体が固すぎるところと、行揃えというか文字と行の感覚とフォントが読みづらいところが、すごく……。
しかし指輪の写真はすばらしく、古いものは歴史を感じさせたし、あとすごく魔力が宿っているように見えた。こんなん呪術的な意味でつけてたやつやん、みたいな、おどろおどろしさが秘められているように思えました。すごくロマンだった。
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恋人の聡実が眠り続ける病気にかかってしまった。数時間が数日、数週間、数か月、数年と、眠り続ける時間がながくなる。眠りながら老いていく彼女を主人公は見守り続けるのだが――。表題作を含む、著者渾身の短編集(Amazonより)

眠り続ける病を患った彼女のそばにあり続けた彼の話。「眠り姫」。
使用人を人とも思わない所業で暴行された少女は、美しい男と出会う。男はまるで最初から存在していたかのように事実を捻じ曲げる力を持っていて。ダークファンタジー「汝、信心深きものなれば」。
架空の小説の感想文が受賞したのをきっかけに図書館司書の女性と親しくなる「さよなら、アーカイブ」。
すべてが水に飲み込まれた世界で生きる中、リーダーの死をめぐる「水たちがあばれる」。
ヤクザから仕事の下請けをするようになってしまった探偵・真木の三つの事件。「探偵真木」シリーズ。
2004年に富士見ファンタジア文庫で出たのかこれが。仄暗いところを描きつつも、肩の力を抜くような会話の軽妙さとか、一方で息が浅くなるような臨場感とか。切なくて懐かしいような感じとか。いまでいうライト文芸と変わらないような密度の高い短編集で、とてもよかった。
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流した涙がすべて真珠になるという「真珠姫」。海の呪いによって真珠姫となった少女は、処女を失うとその呪いもとけるといわれている。公爵夫人となった漁師の娘セシリアは、すっかり人生を諦めていた。彼女を痛めつけ、真珠の涙を得て喜ぶ夫との生活に、いつまで耐えなければならないのか。そんなセシリアの前に現れたのは――? 真珠姫たちに訪れる運命の恋を描く、大人のためのお伽話。(Amazonより)

涙が真珠になるがゆえに無理やり妻にされたセシリア。何もかも諦めきった彼女のもとに幼い頃ともに遊んだ男の子が成長して現れた「真珠姫の再婚」
公爵令息で宮廷医師のアルフレッドは王妃からとある企みに協力させられそうになっていた。ある日塔に囚われていた真珠姫ローズを診たことで彼女と思いを通わせるようになり。「真珠姫の逃避行」
真珠姫である孤児の少女マチルダは国王の献上品として鳥籠の中で暮らしている。国王ウォーレンが玩具を絶対に泣かせてみせるとマチルダを翻弄するが……「鳥籠の真珠姫」
三つの中短編が収録されています。あとがきによると時代的には「真珠姫の逃避行」→「真珠姫の再婚」→「鳥籠の真珠姫」だそう。
流した涙が真珠になる呪い、けれど処女を失うとその呪いは消滅する、という少々大人向きの設定。そのせいか少女たちの繊細な恋心を描きつつもちょっぴりあやしさもあって、どきどきしました。
しかし高価な真珠を生み出すという体質のせいか、三遍とも不幸な状況に置かれている少女たちばかりだったので、できれば幸せに暮らしているところも見たかったなあ。
きのうの影踏み (幽BOOKS)
消えてほしい人の名前を書き、十円玉とともに賽銭箱に投げる。それを十日間続けると願いが叶うおまじない。とあるホラー作家のもとにきた奇妙なファンレター、その話をしたとこお「私ももらった」という同業者が現れ始める。短い怪談話十三編を収録。

消したい人の名前と十円玉を賽銭箱に十日間投げ込むおまじないについての話「十円参り」。
おかしなファンレターの話をきっかけに次第に作家本人の元にその差出人が迫ってくる「手紙の主」。
恐ろしい夢を描く「丘の上」。
異国的な街で何気なく潰した虫の正体は……?「殺したもの」。
電車で話しかけられたその日から不思議なものが見え始める「スイッチ」。
出産の里帰りをしている語り手の元に仕事仲間が集まる。それをきっかけによく当たるという占い師が近くに住んでいるらしいと耳にする。「私の町の占い師」。
夜泣きする赤子をあやしていたが、それは……「やみあかご」。
まだ言葉も拙い息子が不思議な言葉を口にし始める。「だまだまマーク」。
夜のスーパーで出会った少女。飴をあげた日は丸。声をかけなかった日はバツが残されている。「マルとバツ」。
民俗学の講義をきっかけに友人を連れて秋田に帰省する。友人たちの要望通りナマハゲの訪れを受けるが……「ナマハゲと私」。
そこでは不思議なかくれんぼゲームが行われている。今年はまだだね、と話していたその日、始まったそれは……「タイムリミット」。
噂の元を辿り、発生元を突き止める「噂地図」という遊び。困っているという同級生のために噂地図を作るが「噂地図」。
通学路に立っている女性が持つ悲しい過去。おばさんは悪くないと思う私は「七つのカップ」。
どれもぞわっとするんですが、最後にいい話を持ってくるのがわかってるなあという気がします。上手く言いくるめられた感もあるけれど笑
どれも「私」が語るので怖さが倍増する。辻村さん本人だったら、なんて想像する書き方をしていたりするので、本当のことなのかフィクションなのかわからない怖さが好きな人におすすめです。面白かったです。
なかないでストレイシープ めぐる聖夜と愛の家 (コバルト文庫)
ロンドンから少し離れた田園地帯にあるカントリーハウス、フェアベリー・マナー。若き女主人のセリアは、執事のロドニーを慕っている。けれども身分違いの恋は前途多難だ。クリスマスが近い冬のある日、外出していたロドニーから電報が届いた。それはどう読んでも別れを告げる内容で……? 真意がわからないセリアは、居合わせた子爵家のリーと一緒にロドニーがいる村へ向かったが!?(Amazonより)

恋心を自覚したセリア、そしてロドニー。なのにロドニーは突然電報で別れを告げてきた。セリアとリー、そしてロドニーはとある田舎の屋敷でクリスマスまでを過ごすことになり。
ものすごい展開になったものの、あっそうかこれイギリスだからか! 本場のそういう物件か! と腑に落ちました。急展開に感じたものの、そういう不思議さに納得させられるお国柄と時代を感じて、面白いなあと思いました。
セリアとロドニーはとりあえず覚悟はできた、ここから先に頑張って進んでいこうと心構えができたようでほっとしました。その後の二人のことが気になるけれど素敵なシリーズだったと思います。面白かった。
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Author:月子
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