読んだ本とか、漫画とか、映画とか、色々
新子は九歳。気持がざわざわすると、額の真上のつむじ(マイマイ)が立ち上がる。社会が未来への希望に満ちていた昭和三十年、空想好きでお転婆の新子は、友達と一緒にどこまでも野原を駆けていく。毎日が終わらない冒険だ。けれどもきらめく少女の世界の向こうから、もっと複雑な大人の世界が囁きかけてきて……。誰もが成長期に感じる幸福と不安とを瑞々しく描く、鮮度100%の物語。(裏表紙より)
小さな話が26話収録されています。昭和三十年、山口県の国衙に住む九歳の青木新子が見る時代。戦後からしばらく経ち、人のあり方が少しずつ変わりつつある感じが、大人の事情として描かれていて、もどかしい。みんなが「大人になれば分かる」と言うけれど、それがとても不満を覚える言葉だということを思い出したり、大人になった読み手の自分がそのことの意味を理解できたりして、新子のマイマイがむずむずするように、胸がざわざわする。
やるせないなあと思うのが、新子の言い分を大人たちがちゃんと聞かず、すれ違ったまま罰されるところ。言い分があるんだよ! ちゃんと聞いてよ! と思うけれど、新子は自分の感じたことを伝える語彙をあまり持っていないのだよなあ。九歳かあ、と思いました。
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マシアスを救出しようと王宮を抜け出たジル。しかしそれはジルを捕らえるための罠だった。捕まったジルは意志を操られる薬を飲まされ、知られてはならない秘密を口に…!? ルシードはジルを無事に助け出せるのか!? 犯人の目的とは一体!? そして、愛妾オルプリーヌの本当の目的がわかるとき、事件は意外な方向へ動き出す! 華の王宮は一大事! 恋と野望は終わらない!(裏表紙より)
えらい「!」の多い内容紹介文だなあ……どうでもいいけれども。
前巻より続き愛妾事件、その解決編。どうやらジルの出自には何か大きなものが関わっているようで、たいへん気になります。ジルは頭は冴えているけれど他のところが普通の女の子、それも傷を持った子なので、とてもかわいい。嫉妬だろ、なあそれ嫉妬だろ!! という。
へたれなルシードが、やはり王位簒奪するくらいちゃんと出来る子で、天然タラシであることも実感できて、楽しかった。
まだまだ二人がじれじれしているのですが、ちゃんと進展するよね! と期待を持って続きを読む。
大学の授業開始を一週間後に控えたデービットは、張り紙を見てとある下宿先を訪れる。「子どもと猫と龍が好きな方」。家主のリズ、その娘のルーシーとの生活を始めたデービットは、陶芸家でもあるリズの作品の龍を譲り受け、名前を付けた。その日から、デービットは龍と力を合わせてルーシーのための物語を書くことに。
もっとファンタジーしてるのかと思ったら、現代ファンタジーでした。龍と暮らす生活っていいなあ! 私も龍が欲しい。
思ったよりも会話文が多くて、ルーシーがよく喋るしよく邪魔をするので笑った。十一歳でこれってちょっと落ち着きがないなあ、でもこれが普通かなあと微笑ましく思う。振り回されるデービットがいい人で、ちょっとかわいいな。楽しい同居生活×龍×ファンタジーでした。
個人的に、ガウェインとグウィネヴィアの話をもっと! 本の、後ろの見返しの絵、すごく好きなんですけど!
シリーズのようなので、続きも読んでみたいです。
オススメされた作品でした。面白かったです! ありがとうございました!
両親のいない橘皐月は大学進学を機に、後見人である大伯父の家を訪ねるが、そこには、孫の二ノ宮凌がいるだけだった。皐月は立派な大人になるために自立したいと凌に申し出るものの、「一緒に暮らすのは嫌なのか」と反対されたあげく、強引にキスされてしまう。そして、一人暮らしをしたいなら……と、凌から条件を出される。それは、凌を『幸せ』にするというもので——。ピュア・ラブストーリー♥(裏表紙より)
内容紹介文がすべてである。挿絵かわいいなー!
大きな会社を持っている割に、皐月はあまりに普通の男の子で、挿絵と相まって可愛らしい。頼りなくでも一生懸命で人を思いやれる少年が、「ずっと好きだった」と十歳も年上のはとこに強引に、という、いささか攻めが変態くさい話でした!笑
続きがありそうな終わり方でしたが続きはないのかな。かわいいカップルでした。
たそがれ屋敷には儚げな奥様と二人の娘、二人のお手伝いさんがいる。スゥとルゥルゥの姉妹は、新しくやってきたお手伝いのルチアさんが、自分たちが宝物にしている水色の宝石に似ていると思い、更にルチアさんが光って見えることに気付く。ルチアさんがどうして光っているのか知りたい二人は……。
挿絵がいいなーと思いながら読む。幼い姉妹が光るルチアさんの謎を解きたいと行動する物語で、がっつり分厚いわけではないのですが、暗示的で面白いなあと思って読みました。姉妹と出会うルチアさんの娘・ボビーと、三人がそれぞれに幼い時代を過ぎて新しい世界に一歩踏み出すお話でもある。そして、ここではないどこかに思いを馳せる物語でもある。
ルポ&エッセイ集。日本のネオカルチャー(辻村さん定義で、日本の〈今〉を象徴する、おもしろいもの、かわいいもの、おいしいもの、へんなもの、そんなもの全部)についての取材した内容と、辻村さんのエッセイ、小説や映画の感想、そしてショートショートが収録されています。
辻村さんの、アンソロに収録されていた「七胴落とし」が読みたかったので嬉しかった。
他に収録されているどの話も、全体的にまろやかで優しく、鋭さこそなかったものの、丁寧に大切な「何か」をすくいあげているような印象を受けました。
辻村さんとドラえもん映画の話はすごくよかった。たくさんの思い出と結びついている、少し特別な日々のこと。じわっと自分のことを考えて、私にもそういう記憶があるな、ということがすごく嬉しくなった。
行方不明の父親を捜すため、倉西美波はアルバイトに励んでいる。今回は、「立っているだけで一日二万円」の仕事。でもバイト先での宴会の末、たどり着いた「龍の館」で、またもや殺人事件が勃発! 被害者はなぜ溺死する寸前になるまで助けを求めなかったのか? 『天使が開けた密室』で注目を浴びた著者が放つ、清新な本格ミステリ第二弾。未発表短編「善人だらけの街」を併録。(裏表紙より)
龍の館と呼ばれる、トリックアートなどの趣向を凝らした館で起こる物語。冒頭から鎌倉へ行く話があるから、てっきり鎌倉へ行くのかと思ったら、京都に行ったのでびっくりした。探偵のいない状態が後半になるまで続いたので、一体どうなるんだと思ったけれど、事件が解決されてよかった。でも事件のその後がないのはちょっと残念でした。
しかし、女子高生三人組はいつもえらい目に遭うなあ……。人が死ぬところを見てしまうのは、とても辛い。特に今回は実際に考えるとかなり辛いものがあるのでは、と思いました。
動物がかわいいなあ! 今回はケンゾウがかわいかったです。すがさんが猫好きというシーンがなんだかほんわかしてしまった……。
編集長の仕事にも恋愛にも行き詰った梨央、30歳。ある日、酔った勢いで建設現場の足場に登り、降りられなくなったところをトビ職の徹男に助けられる。徹男に一目ぼれした梨央は、勢いで工務店に飛び込み就職。だがそこは、亭主に逃げられやむなく社長になった郷子がキレる寸前で大混乱中だった。女ふたりの行く末はいかに!?(裏表紙より)
面白かった! 30歳女性と、ずっと専業主婦だったのに工務店の社長をやることになった女性が、それぞれ仕事に向けて何かを見いだしていく話。
文章が小気味よくて好き! 梨央は途中くらいまで恋愛脳なのかなと心配になったけれど、段々と仕事にやりがいを感じていくところはかっこいい。すごくきらきらしてる。
お話もあんまり恋愛しているわけじゃなくて、とことん自分磨きというか、自分がどれだけできるのかを探していくものだったので、そういう自立心の強いところがある女性陣は本当にいい。仕事をすることに付随する人間関係の摩擦や仕事のやりくり、悩みなんかも、彼女たちなりに付き合っていくところとか、爽快! というわけではないのに、しみじみ、いい話だな! と思う。一言で言い表すなら楽しかった、かな。
オススメされた本でした。ありがとうございました!