読んだ本とか、漫画とか、映画とか、色々
《歪み》の穴から現れた異形により、世界が滅びに瀕していた神世の時代。世界を救うため、神世の巫女は自らの身体そのものに《歪み》の穴を封じる儀式を創り上げた。以来、《門》となった巫女は代々王と契り、次代の巫女となる娘を授かることを宿命づけられることになった。やがて時が過ぎ——。三十七代目の巫女・雪は、閉ざされた花園の塔で、自身と王との婚約を知らされる。だが、雪には密かに恋慕う相手がいた…。(裏表紙より)
刊行当時、読んだ方々が「すごくいい」と言っていたので気になっていたものの手に取れずにいましたが、この度『大人だって読みたい!少女小説ガイド』に掲載されていたのを読んで、今度こそと読みました。
箱庭のような世界で育まれる優しくも切ない恋に浸っていたら、終盤の怒涛の展開、そしてあっという間にすべての扉が開かれていく感が凄まじくて、とても面白かった。うわー! って言ってたらうわーうわーうわー!!!? みたいな。途中の「おや?」という引っ掛かりをフックにして畳み掛けるラストで、ハッピーエンドにつながって感無量でした。
箱庭で育ち、王に嫁いで娘を産むことをさだめられた巫女の娘たち。雪は役目を知りながら、自らの暴走を唯一止めることのできる《鍵》に恋い慕う青年を選ぶ。婚姻の日が近付くなか、止まっていた恋が少しずつ動き出してしまい……という、閉ざされた空間で悲恋の予感を覚えながら進行するお話です。
しかしこのお話、考えてみるとすごく怖いんだよなあ。もしかしてずっとぐるぐる回っているのかな、とか、永遠にこの箱庭はそのままなんだろうな、みたいな予感がずっとあって、虚しく寂しい終わりだったらどうしようと思っていたんですよね。名前の秘密がわかったとき、そういう風にして閉じてあったのか、と納得したのでした。
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