読んだ本とか、漫画とか、映画とか、色々
幼い頃の記憶がない少女ナルは、最近おなじ夢を見る。闇に浮かぶ三つの月、古城に幽閉された自分とよく似た長い髪の少女。あなたはいったい、だれ? 予言にみちびかれ、魔術師や吟遊詩人らが生きる異世界へ旅立ったナルを待っていたのは、伝え語りに隠された真実と未来に託されたはるかな願いだった。〈千年の歌姫〉の宿命をになった少女の、切なくも壮絶な戦いを描いた村山作品の原点。最終章を新たに書下ろし、ついに文庫化。(裏表紙より)
私が「こんな物語を書きたい」と思ったきっかけの一冊、その文庫化です。
ちょっと思い入れが深すぎてなかなか語れないのですが、追加で収録されたナルとハヤミ、そして世界のその後が語られていて、すごくびっくりしました。きっとこういう話になったんだろうという、世界崩壊の瞬間、トオヤの助け、そして沙由里の登場までの本編になるだろうシーンが想像できて、ぐっときました。
ハヤミは良くも悪くも普通の人で、情に厚くて、ナルがそういうことになったら多分壊れてしまうんだろうなあという危うさを持った人だったので世界崩壊までの展開は納得でした。
ナルはきっと自分よりも世界を選んだか、トオヤを信じていたかで邪神に挑んだんじゃないかな。でもそれが沙由里に繋がっているとは思わなくてさぞびっくりしたことだろう。
沙由里自身もナルにそっくりなトオヤが現れて驚いたんじゃないんだろうか。沙由里はきっと呼ばれたんだと思いながら、「いつか帰ってくればいい」と思っていまも旅をしているのかもしれない。そういう、現実を運命的かつ前向きに捉える子だったように思うので、紋章が手元にあるうちは理由があると思って旅をするんだろう。そんな気がする。
ナル・クリスタライアの伝説が垣間見れてよかった。
『はるかな空の東』はいまも私が心から愛する物語です。
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