読んだ本とか、漫画とか、映画とか、色々

二度と、戻ること叶わぬはずの異世界デルフィニア。だがこの国の未曾有の危機が、リィを再びこの大地に呼び寄せた。待ちわびた王妃の降臨。熱狂する人々。覆る劣勢。大勝利の後、凱旋した王妃は首都コーラルに五日間だけ滞在する——。
『紅蓮の夢』で語られなかった短くも濃密な日々が綴られた短篇連作集。(裏表紙より)
別名弁当箱の全集に収録されていた、リィとウォルたちの再会の物語『紅蓮の夢』の裏話的な短編集。
リィに会ったお子様たちの反応を描く「西離宮の灯り」。
アランナがある人から手紙を受け取った「ヴァンツァーの手紙」。
次期ベルミンスター公となるステファンの話、ベノアのジルとアビー夫妻の近況を知れる「リュミエント卿の葛藤」。
コーラルの変化と聖職者たちの苦悩「コーラルの十年」。
タイトル通りの「ジャンペール家の団欒」「ドラ伯爵家の騒動」「サヴォア公爵家の事件」。
他国の王女と美しい彼との出会い「ロッテと薔薇の精」。
愛妾の座に居続けるポーラを実質的な王妃にするための「ポーラの戴冠式」。
彼は何故あのときあそこにやってきたのか?「来世の約束」。
生まれたばかりの赤子を抱えて、王は王妃の肖像を見上げる「新たなる日々」。
「小説BOC」に連載されたものに新しい話を二つ加えたもの。デルフィニアの物語はこれにておしまい、でしょうか。彼らのその後がわかって嬉しくて、楽しく読んだ反面、もしリィたちがここに降り立つときはもう彼らはいない時代なんだろうなという予感もあって寂しい。
とても好きだったのは「ロッテと薔薇の精」とそのエピソードに続く「ポーラの戴冠式」。集大成って感じのシーンで、とてもとても楽しかったです。
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14歳で作家デビューした過去があり、今もなお文学少女気取りの栞子は、世間知らずな真実子の憧れの先輩。二人の関係にやたらイラついてしまう美人で頑張り屋の美里は、栞子の恋人である大学教授に一目惚れされてしまう――。名門女子大を舞台に、プライドを持て余した女性たちの嫉妬心と優越感が行き着く先を描いた、胸に突き刺さる成長小説。(裏表紙より)
未だ文学少女気取りで自分が特別であるというようにしか振る舞えない栞子。入院生活が長かったため世間知らずで己の立ち位置を知らないでいる真実子。上手く立ち回るために努力を重ね、目標に向かって突き進む美里。女子大生という、少女のような大人のような曖昧な年齢の彼女たち。それぞれの視点でものを考えると、見える世界が全然違うことに気付かされて、うわあ……と思う。なのに、めちゃくちゃ面白い。
特に嫌な役としての栞子の描き方がすごい。少しでも努力して、他人より優位に立とうなんて考えなければ、きっと美里のように自立できたはずなのに。だから二人は反発し合うんだろうなあ。結局、彼女は男にちやほやされたいという思いだけでゆっくり転落していく。
そんな彼女をアウトローに感じて憧れていた真実子は、一気にスターダムを駆け上がる。病弱という点はあれど、生まれも育ちも恵まれ、素直な性格から才能すら秘めていた彼女に嫉妬する人も多そうだけれど、そうならないのは人徳なのかなあ。けれど最後、彼女もだいぶと業界に揉まれて、しっかり意見を伝えられるようになっていたのは、爽快でもあり、ちょっと怖くもありました。彼女は自分が強者であると知っているんだな……という。

女子大生の倉橋有里は、結婚式のビデオのダビングをしてほしいと友人の夏美に頼まれた。だがそのことで、偶然手に入れた呪いのビデオを夏美が見てしまう。一方、呪いの家の向かいに引っ越してきた女子高生の高木鈴花は、家に入ったことで両親が犠牲となり自らも呪われてしまう。彼女らと救うべく霊能者の常盤と助手の珠緒は、呪いには呪いをぶつけるという方法を用いようとし……。
どっちが強いか映画で決めようぜ! みたいな若干お祭り感のあるホラー映画。十代でも怪談系が得意なら楽しく見られそう。女の子たちが結構きゃーきゃー叫んで賑やかなので、びっくりさせられるところはあるものの恐怖がにじり寄っている感じはあまりありません。みんなすごくよく動くし。その前の日に「残穢」を見ていたので、ホラーでもこんなにテイストが違うんだなあ、と面白く感じました。
結局人間の浅はかな考えでは、呪いや怨念なんてものを封じることはできないってことでしょうね。

嵐の翌日、デヴィットは息子のビリーを連れ、隣人のブレントに頼まれて街まで車を出した。スーパーで買い物をしていた彼らだったが、何故か店内は停電。やがてサイレンの音が鳴り響き、街は霧に包まれる。霧の中から店内に逃げ込んできた男は、霧の中に何かいると告げ、客たちは全員スーパーに立てこもる。だが外に出るべきだという意見や、店内に残るべきだなどと意見が衝突し……。
後味が悪い。最高。象徴的で好きなタイプの作品だった。
絶体絶命の状況で大勢と立てこもり、息子の命を脅かされる父親。狂信者たちとの争い。外の世界の脅威。果たして父子はサバイブできるのか。「起こってほしくない」ことが起こるのはさすがです。そして人間関係の描き方がえげつない。この状況、絶対不幸な出来事しか起こらないやつー……。
やっぱりラスト15分がすごい。希望を抱いて走り出したにも関わらず、諦めてしまった者は報いを受ける。そんな象徴のようなラストだった。どんな危険も顧みずに突き進む者、あるいは狂信的に信仰する者は、信じるという点でご加護があるんだろうなあ。さすがにエンドロールが流れたときは呆然としましたが、面白かったです……気軽に言えないけれど……。

小説家の私は、怪奇系の雑誌に連載を持っており、読者から届くその手の話を元に作品を作っていた。熱心なファンと手紙を交換する中で、私は背後からさー、さー、と何かが掃くような音が聞こえる部屋があるという話を聞く。それはやがて意外な形で繋がっていき……。
小野不由美さんの『残穢』が原作。映像にするとまた別の怖さがある。暗い部屋って、映像であんまり見たくないなって思ってしまった。怖いから。
原作を読んだときにも思ったんですが、調べ始めると連鎖的に広がっていくの、見えないものの意図を感じてめっちゃ怖い。そうやって導かれていることってたくさんあると思うんですよね。だいたいはいいことなんだけれども、こういう呪いの存在って本当にあると思います。

警視庁の現代犯罪対策本部準備室の警部補・加藤春は、部下の神戸大助の指導に当たることになった。だが神戸は大富豪、捜査でもなんでも金の力で物を言わせるため、警官という仕事に誇りを持っている加藤とそりが合わない。だが仕事をしていくうちにお互いを知るようになって変化が……。
筒井康隆『富豪刑事』を原案に、舞台を現代に、大富豪要素にIT技術等を投入して、今風に仕上げた刑事もの。
いろんな要素がおしゃれで、最初は噛み合わないコンビがお互いを知るようになって絆を深める展開に、個性豊かなサブキャラクターや事件、そして神戸に隠された薄暗い過去、というお約束要素込み込みで、面白かったです。お金の力でなんでもできるけれど人との絆がものを言うところがあるのは、やっぱり好き。
メイン級の登場人物が皆さんとってもいい声なのもよかったなあ。OPもEDもおしゃれだった。

強面だけど心優しいコンビとして国民的人気者の、青春時代の素顔とは?――安アパートで10年間、布団を並べて眠った。二人で舞台に出たら観客も二人だった。トイレには「みー君へ」と書かれた富澤から伊達へのメモが貼られていた。恋人も嫉妬する(!?)長~蜜月!笑いを心底愛し、震災後の東北を支援し続ける二人の、バイタリティの原点。
芸人になるまでの話、芸人になってから、そしてM-1優勝、その後のこと、と二人の視点で当時のことを振り返る内容。
そうやって書いているんでしょうけれど、お互いにお互いを見て感じていることがほとんど相違ないのがすごいなあ。長く一緒にいるからこそ自然と感じ取れるようになるんだろうな。
相手を相方と信じて、怠けつつも、最後にはスターへの道を駆け上がるサクセスストーリーとして読めて、M-1グランプリの描写はすごく興奮した。しのぎを削る場で負けて悔しいと思いながら「頑張れ」と言える人は、徳が高い人だなあ……。そんな風な人間になりたい。

春の卒業式を終え、貴族院の図書館は静けさを取り戻していた。司書を務める教師ソランジュはローゼマインが入学してからの、刺激に満ちた一年間を振り返る。「今年の貴族院は特別な思い出がたくさんあります」本編とは異なる視点で描かれる学園生活。ヴィルフリートやハンネローレ、オルトヴィーンといった一年生の領主候補生たちを中心に、ローゼマインの側近たちや、エーレンフェスト寮の学生、寮監なども登場。貴族院の知られざる毎日が今、鮮やかに蘇る!
本編の二年生を目前に控え、思い出噺に花が咲くビブリア・ファンタジー!
大幅な加筆修正に加えて、書き下ろし短編×10編を含む合計18編を収録した、シリーズ初の番外編!椎名優描き下ろし「四コマ漫画」も収録!(カバー折り返しより)
時期としては貴族院一年生、ローゼマインが全員で最速合格を目指していた頃から、エーレンフェストに呼び戻されている間のこと。
ヴィルフリートがめちゃくちゃ大変だった描写や、オルトヴィーンとの交流のこと。トラウゴットの辞任事件における当人してんの話。ダンケルフェルガー側の動き。アンゲリカの神殿での生活や、ユーディット、ローデリヒたち側近の気持ち。そしてめちゃくちゃみんなが気になったであろう、ハルトムートの婚約に至る経緯の話。
読んでいると先のことを思い返してちょっときつくなる話もありましたが、合間合間に挟まる、どこまでも間の悪いハンネローレの話に癒されました。可愛いなあ。やっぱり本好きということではなかったのね……。優しいなあ、ハンネローレ様は。でもエーレンフェストの本を面白いと感じてもらえたのは本当みたいでよかった。

「その時は――魔女〈ティナーシャ〉を殺すさ」
契約のもと、一年という限られた時間を共に過ごすオスカーとティナーシャ。だが突如二人の前に、ティナーシャのかつての婚約者・ラナクが姿を現す。古き魔法大国の血を継ぐ彼は、新たに国を興すと大陸全土への侵攻を企てて……。その時、オスカーとティナーシャの選んだ道とは――大陸の完全支配をもくろむ巨大魔法と王剣の剣士の、熾烈なる戦争の火蓋が切られる。(裏表紙より)
ティナーシャが過去と決別する第二巻。中盤からはボーナストラック的に、オスカーとティナーシャの平和だけど平穏じゃない日常を描く話が詰まっていて、とってもとってもにこにこして読みました。
トゥルダール関連の話はかなり重くて、ティナーシャがどれだけの苛まれたのか、そしてオスカーが現れたことでちょっとばかり気持ちが安らいだのかを想像するとたまらない。ラナクと戦う彼女は凄まじくかっこよくてぞくぞくしました。ああー好きー。もう民はいないのに縛られたままのその魂たちのために王たらんとするヒロイン大好きー!!!!!
そして短い話の数々。これで付き合ってないんだよな。いやもういっそ早く結婚しろよ!!!? お互いに好き合ってるんじゃんばかばかばかー! 早くしないと絶対に取り返しのつかないことになるよ私知ってる私ならそうするもん!!!!!
なんとなく読むのが怖い気がして、ずっと積んだままだったのですが見事にはまっています。最終巻までちょっと温存しておかないと、心臓がもたない気がする。

中国にかわり技能実習生の最大の供給国となったベトナム。「労働力輸出」を掲げる政府の後押しもあり、日本を目指す農村部の若者たち。多額の借金を背負ってまで来日した彼らの夢は「三〇〇万円貯金する」こと。故郷に錦を飾る者もいれば、悪徳ブローカーの餌食となる者もいる。劣悪な企業から逃げ出す失踪者は後を絶たない。日越の関係機関、実習生、支援団体を取材し、単純労働者の受け入れ先進国・韓国にも飛んだ。国際的な労働力移動の舞台裏を全部書く。(カバー折り返しより)
いかにメディアで流れている外国人労働者に関する報道がごく一部の過激な内容のみで構成されているのか、よくわかる本だった。
単純に労働環境の劣悪さが原因かと思いきや、そのほかに「稼ぎたいのに稼げないから」という理由で仕事を求めて疾走する人たちがいるんだな。そしてそうした失踪者が続出するのは、それらに関わる機関が民間企業だったり手続きの歪みがあったりするせいなんだな……。
日本だけでなく韓国のことも最後の方に触れられていますが、やっぱり外国人労働者は人手不足解消のためなのか。労働環境がひどいところはどの国にもあるし、良いところは良いし。冒頭の著者の、成功した技能実習生に対する思いを読み返して、働くってなんだろうな……と遠い目をしてしまった。