読んだ本とか、漫画とか、映画とか、色々

タカラジェンヌの母をもつ一瀬蘭花は自身の美貌に無自覚で、恋もまだ知らなかった。だが、大学のオーケストラに指揮者として迎えられた茂実星近が、彼女の人生を一変させる。茂実との恋愛に溺れる蘭花だったが、やがて彼の裏切りを知る。五年間の激しい恋の衝撃的な終焉。蘭花の友人・留利絵の目からその歳月を見つめたとき、また別の真実が——。男女の、そして女友達の妄執を描き切る長編。(裏表紙より)
登場するいろんな人がどこかの部分で鈍感で、盲目的で、無自覚である、ということを突き詰めるような小説だった。恋は友情よりも重いのか? という命題もそうなんですが、それぞれの都合のいい解釈が読んでいてきつかった。美波の台詞にものすごくどきりとさせられて、どうしてなんだろうと思っていたんですが、蘭花は彼女の言葉に対して鈍感で、留利絵は鋭敏すぎるんだな。完全スルーで都合のいいときにしか聞いていない蘭花に比べて留利絵は都合よく解釈する自分やコンプレックスをすぐに見抜かれるから、とことん美波が嫌いなのか……などと「育ちがいい」=「狭い世界しか知らない」女性たちのアンバランスさがよくわかって、後味が悪いのにやっぱり面白かった。
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クールで無愛想、見ているだけで睨んでいるとか怒っているのかと言われてしまう女子高生の橘あきらは、実は恋をしている。相手はバイト先のレストランの店長である近藤正巳、45歳のおじさんだ。もちろん彼の眼中にはないし、周りもおじさんはないという。果たしてこの思いの行く末は?
とても爽やかで素敵な恋のお話だった! クールに見えて情熱的、ひたむきなあきらと、どこにでもいるおじさんだけれど大人としてきちんとしている店長の恋模様もはらはらするんですが、周りの人たちが特にいいなあ。アルバイト仲間に陸上部の友人の個性が、主張しすぎない感じであきらの世界に存在している感じがした。
漫画の実写化だけれど甘すぎない感じでとてもよかったです。

1870年代ロシア。政府高官カレーニンの美貌の妻アンナは、やってきたモスクワで若い将校のヴロンスキーと出会い、恋に落ちる。そのヴロンスキーに結婚を期待する兄嫁の娘キティだったが、すげなくされ、寝付いてしまった。一方でアンナとヴロンスキーは急接近し、不貞がかレーニンにばれてしまうが……。
映画の画面作りがとても美しい。色彩も構図も、人物の位置もかなり舞台的で映像的。一瞬一瞬を切り抜いて、その状況を強調するような画面構成がめちゃくちゃ美しい。
神の掟に背いたか、神の掟に従うとはどういうことなのか、という主題は置いておいて、とにかく放埓で己が欲望のまま生きるか、恥を知りながらも淡々と慎ましく生きるのか、どちらがよいだろうかということでしょうか。なんというか、外国文学って何も持たない、失敗が多い、恥を知っているということが美徳の世界だなあと思います。そしてそれがどの国でも共通しているような。

江戸時代末期、宇宙から襲来した「天人」によって日本は開国し、天人の台頭と廃刀令により侍の存在が薄れていく頃。万事屋を営む坂田銀時、廃れた剣術道場の息子の新八、夜兎族の神楽は、将軍様のカブト探しから、妖刀やテロ騒ぎと日々せわしなく。
原作は読んだことあり。福田監督の癖というか、ああこういうタイプの作品が得意なんだなと思いました。だからヲタ恋はちょっとずれてたんだな、とか。
原作に忠実な実写クオリティもすごいんですが、惜しみなく使われるパロディが、原作やアニメが好きだった人にはたまらんだろうという大盤振る舞い。どうしようもなくて吹き出すこと多々。ただ三次元の人に銀魂的下ネタを口にさせるのは若干居心地が悪く、なんかごめんという気持ちに……笑 しかし役者さんたちの振り切った演技がb素晴らしく、楽しかったです。

敬虔なカトリック教徒の双子のマクマナス兄弟は、ある日ロシアンマフィアと争い、殺害してしまう。拘置所にとどめ置かれた二人は「悪人は殺しても構わない」という神の啓示を受け、釈放後、法で裁けない悪人たちを次々に殺害していく。
話の面白いところをつまんでいる感じなんだけれど、チープっぽさが味というか、不思議な魅力を持つ作品で、なんか好きだと思ってしまった。悔しい。
神への祈りを唱えながら悪人を殺して回る双子。彼らを追う警察はそんな二人の未熟さに振り回されながら、共感する心を止められない。カルト的人気作となったとWikipediaにあるんですけど、話自体もそんな感じで、魅せられた人はとことこんのめり込んでしまうような怪しい魅力がある。

月刊誌「一冊の本」およびニュースサイト「AERA dot.」に2018年9月から2019年4月までに掲載されたものを一部修正し、新規原稿を加えたもの。
話題になっていたのでネットでいくつか読んだ覚えがあるものもあります。こうしてまとめて読んでみると、そのすべてが当たり前のことなのに、そう言ってほしかったんだと思うことがちゃんと書いてあることに感動します。
すごいなと思ったのは帰国子女の娘さんが個性的な服を着ていることで浮いているという相談。この世界の理屈がわかりやすい言葉で説明していて、そう、そうなんだよ……と何度も頷いた。戦うことも手段なんだけれど、うまく流して、その育っている心や感情を潰されないように大人になるのはどうか、っていう回答で、これもまたうんうんと思って読んでいました。
あと個人的にそうなのか! と思ったのが、家族がよその国の人に対してヘイト発言をするという相談。何故そんな発言をするのかというのを鴻上さんが考えてくれているんですが、そうなのか、そうかもしれないな、ということが書いてあって。少し悩みが軽くなった気がしました。

フェミニストの上野千鶴子さんに、毒親漫画を描いた田房永子さんがフェミニズムについての疑問や質問に答えてもらう。ただの一問一答じゃなくて「何故そう思ったの?」とか「それはどうしてだと思う?」など上野さんが質問を重ねてくれるから、より深く考えたり、問題や肝心なところを見つけたり、という内容になっていて、非常に興味深く面白く読みました。
こう、なかなかしっくり来る答えが出ないとか、違和感のあるもの、どれが正解なんだろうと首をひねっていることなど、結構わかった気がする。その発言の裏にはこういう歴史があって、とか、こういう社会構造で、というのがすごくわかりやすかった。フェミニストと名乗ることの違和感や、現代における運動や活動家の話も身近だったし、一つ答えが見つけられたような気がしました。

オメガ性を持つ〝神子〟が住まう神殿で、第二性別を持たないセレンは下働きとしてひっそりと働いていた。王家のアルファたちが神子を迎えに来る日――。生まれながらの罪のせいで俯いてばかりのセレンに、「顔を上げろ」と言い放ったのは孤高の第一王子・レイだった。「この俺が気に入ってやったんだ。喜んで抱かれておけ」。王になりたくないと異端の振る舞いをするレイのため、献身的に身体を差しだすセレンだったが…。健気な蕾が清廉に花ひらく、砂漠の寵愛オメガバース(裏表紙より)
オメガバースものを初めて読むなり。なかなか難解なイメージだったんですが、こういう設定だとわかりやすくて面白いなあ。オメガとアルファという性別に神秘性があるのにはロマンを感じます。
虐げられていた「罪の子」が、第一王子に見初められて……というロマンスなんだろうなと思っていたんですが、それ以上に入り組んだ設定が面白かった。レイの粗暴な振る舞いに意味があってその原因がなんたるかはすぐ察せられるんですが、主犯と思しき人物以外に怪しい動きをしている人や、伏線らしきものがありながらも後半にならないと明らかにならない謎があって。ああーここで繋がるのかー! とオメガバースで、オメガ性が神子として選ばれるという世界観の面白みを感じました。
あと表紙の衣装や、挿絵のモザイク模様の細かさがすごい。綺麗。