読んだ本とか、漫画とか、映画とか、色々

酔いつぶれて起きた翌朝。ホテルの一室で目覚めたミサの隣には裸の男が。その男は、過去にミサをコケにしたいけ好かない男・ウエハラ! フツメンの分際でなぜここに!? 猫かぶり女子VSフツメンの告訴ラブコメ!(Amazonより)
ハイレベルないい男との結婚を目指すミサは、とある理由からやけ酒を煽り、偶然再会した合コン相手のウエハラと飲み、飲みすぎて目覚めたらホテルで二人全裸で眠っていた。過去にあることを嘲笑されたウエハラに今回もこけにされ、怒りのあまり「訴えてやる!」と言ったものの……というところから始まる、素直じゃない二人のラブコメ。
ミサの性格がだいぶとこじれている……笑 男ウケする格好で釣れないなら別の方法をとればいいのに意固地だなあ。ウエハラがそんなミサを見出してくれて何よりだった本当に。
ウエハラの大事なところでしっかり締めてくれるところや、ちゃんと「見ていてくれる」感がよくて、最高にいい男だなと思いました。

江戸末期の絵師・月舟が描いた妖怪画には、本物が封じ込められているという。そして現代。月舟の子孫・詩子は、美大に通う学生だが、もうひとつの顔があった。散逸した月舟の妖怪画を探し、憑きものを落とす家業を継いでいたのだ。幼馴協みの青年・七森が持ち込んだ情報によると、月舟の絵を所有する画廊のオーナーが足を火で炙られるような痛みを訴えているらしく?
天才絵師・月舟が描いた絵にはモノノケが棲んでいる。(裏表紙より)
古めかしい部分の残る京都。人との繋がりが下手な少女絵師、幼馴染の青年、二人のこじれた関係。愛よりも深い思い。執着。絵を描く、高みに行くという苦しみ。色んなフェチズムが詰まっているなあと思いました。
詩子と七森のちょっと時代錯誤感のある喋り方ややりとりが好きです。全然違う世界の話みたいなのに、大学や美研があるのが現代っぽくて、なんだかあわいにいる読み心地。どこかで覚えがあるなあと思ったら、あれだ、現代舞台のオカルトものを読んでいる感覚に近いんだ。芸術を扱っているせいなのかな。
詩子と七森の関係もいいんですが、ぞわっとしたのが詩子が母親の病室に持っていく花。詩子の心が常に揺れているのが感じられてうわーっと思いました。

リストラされた加瀬は、強面なパン屋の店主・阿木に声を掛けられ、バイトをすることに。無愛想で人との付き合い方が分からない加瀬にとって、店の温かな雰囲気は馴染みがなく、戸惑うばかりだった。けれど火事に遭って阿木と同居することになり、彼の優しい手にどうしようもなく惹かれていく。優しくされればされるほど阿木に依存してしまい、溢れそうになる感情に加瀬は……。(裏表紙より)
これも良き「傷ついた人の恋」を描いた作品だった。
加瀬は施設育ちで、人との距離の取り方が不器用だ。かつての恋人を束縛した挙句、暴力を振るったこともある。リストラされたことでますます内側に閉じこもる加瀬は、ある日通りすがりのパン屋さんの店主に声をかけられて働くことになった。
阿木のキャラクターがまたいいんですよねえ。ちょっととぼけたような、気遣いのできる優しい人。この人の明るさやスルー力はきっと加瀬を救ってくれたんだろうな。最後の短編がすごくめろめろでにやにやしてしまいました。
不器用で傷ついた人たちの描写がものすごく好きだなと思ったので、著作をこれからも読んでみたい。

文四郎は幼馴染と剣道に打ち込みながら、隣家の娘ふくに淡い恋心を抱いていた。しかし主家の権力争いに父親が巻き込まれ、家は落ちぶれ、文四郎は罪人の子と蔑まれるようになり、ふくもまた藩主の元へ奉公に出ることとなり離れ離れとなる。成長した文四郎はひとかどの剣士になったが、その頃、再びお家騒動が起こり……。
藤沢周平の小説が原作。原作は未読ですが読みたいなあと思わせる美しい、風情のある作品でした。
正しい人であった父が無残にも切腹させられ、家が没落し、罪人の子と蔑まれながらも、剣の道に打ち込んで周囲からも認められる剣士となる。この設定だけでロマンだ。ちょっと鬱屈した感じがありつつも、剣が作ったまっすぐな芯があるように見えるから役者さんはすごいなあ。
そして多分みんなこの、叶わぬ恋とその行方が好きなんだよな。私も好きだよ……。二人きりになれてようやく、もう二度と結ばれない思いを確かめ合うラストシーン、情緒に溢れていました。

富裕層がスペースコロニー「エリジウム」で暮らす一方、貧しい人々は荒廃した地球で暮らす世界。ドロイド工場で働くマックスは、致死量の放射線を浴びて余命五日と宣告され、解雇される。エリジウムなら治療ができると知ったマックスは闇商人のスパイダーと取引し、エリジウム市民の脳内データを奪うことになるが……。
超富裕層だけが暮らすスペースコロニー。それを開発した一大企業。貧民層の青年。そこに富裕層の幼馴染とその余命わずかな娘ですよ。たぎるよね。
自分可愛さで富裕層の人間からデータを盗み、助かろうとしたマックスは、エリジウムにとって重大な機密に触れたために追われることに。そんな中で出会った少女の何気無い言葉で、彼はその機密データを使って世界を変えようと試みる。うーん実にいい。
向こうがこちらを人とも思っていないのはその通りで、マックスもまたそうなんですよね。それが変わるのはやっぱりすごく感動する。こういう最後に大変革を起こす話がめちゃくちゃ好きなんですよ!いいSFであった。

元軍人のジョンは、大統領のSPになるべく面接に臨む。だがかつて素行が悪かったことを理由に結果は芳しくない。娘のエミリーが大統領の大ファンなこともあって、見栄を切ってしまったジョンは、娘を連れてホワイトハウスの見学ツアーに参加する。だがそこでテロ事件が発生し……。
娘がYoutubeに動画をアップロードするというところがいまどきっぽい。と言っても2013年の作品なんですね。
テロ事件に巻き込まれた父と娘。娘を探す父親は偶然大統領を助け、行動をともにして信頼を勝ち取る。そしてテロ事件を解決に導く、というべたべたなストーリー。大統領が助かるところまでべたでつい笑ってしまいました。多分悲しい展開は起こらないだろうという安心感が最後まで続いて、気楽に見てました。

親に捨てられ、お菓子の家にたどり着き、魔女に捕らわれるも無事に逃げ出したヘンゼルとグレーテルの兄妹。それから十五年、大人になった二人は魔女ハンターとなり、ある村から誘拐された子どもたちを救出するよう依頼を受ける。魔女と目される犯人を追っていくうちに、二人の出生の秘密が明らかになる。
賞金稼ぎの兄妹が戦う様を楽しむだけの映画。色々と突っ込みどころはあるんですが、とりあえず西洋風世界観のグロありバトルありのファンタジー映画。魔女の顔とか戦闘シーンとか怖いところやぐちゃっとなるところがあるので、苦手な人は注意。伝説や童話をモチーフにした作品で、クリーチャーとめちゃくちゃ戦う系の作品が溢れかえっていた、その一つという感じ。
時代がごちゃごちゃ感があるんですが、風景とか小道具を見るのが楽しかったです。こういうゴスっぽい魔女感好きだわー。

とある街で魔物と戦う百鬼丸と出会ったこそ泥のどろろ。百鬼丸は自身の身体の四十八カ所を奪われており、それを取り戻すために戦っていたのだ。魔物を斬る妖刀に目をつけたどろろは彼につきまとうが、二人の旅は少しずつ互いに変化をもたらす。そして百鬼丸の過去が明らかになり……。
だいぶと昔に見た気がするんですが、久しぶりに。原作は未読。
兄弟の殺し合いや親子の因縁が面白いなあと思います。そういうどろどろなんだけど美学を感じられるところが好きです。原作はでもっと濃いのかなあ。しかしこういうわかりやすいところに落としている台詞やシーンが集まった作品は嫌いじゃない。むしろ好きです。当時は多分これ一昨きりだろうなあなどと思いながら見ていた気がするんですが、いま見ると続編があったらいいなと思いました。