読んだ本とか、漫画とか、映画とか、色々
文筆業を営む著者は、仕事柄怪談を収集していたことがある。そしていまも読者から不思議な話が届くのだ。ある日読者の一人から、畳の上を何かが擦る音がするという怪異を聞く。それは以前別の読者から届いた怪異の話と同じであったことから、著者はこの出来事を深く調べていくようになるのだが……。
実話っぽすぎる怪談。実在の人の名前(平山夢明、福澤徹三)が出てくるし、冒頭から語り手となる「私」の経歴が小野不由美さんと同じものなので、うわー! となりながら読みました。
怪異は感染するという恐怖感を描きつつも、調査したり、怪談話の歴史を辿ったり、口頭で伝えられていくそれらがどのようなものを根源としているのか、という研究めいた部分が特に面白かったです。ああ、怪談にはこういう理屈があるのねという。ただ「穢れ」が感染していくことの原因、それらが起こる理由はまったくわからないままなのが怖い。どんなに考えても、考えが及ばない何かが起こっているのが。
文芸編集部員だった新見は、突然女子向けファッション雑誌「ピピン」へ配属されてしまう。「かわいい」を連呼し、奇抜なファッションに身を包む少女たちや、その雑誌を作る編集部の女性たちをどうしても受け入れることができず、毎日やる気がない。けれど誰のために雑誌を作っているかということに真摯に向き合う彼女たちに感化されていき……。
原作は読了済。読んだときも思ったんですが、ドラマ版の方も、仕事に対する新見の姿勢にちょっと受け付けないところがあって、編集部員たちと毎度険悪になるところがうーん……と思ってしまいました。面白くないわけではないんですが! むしろ原宿系を馬鹿にするような人たちに「こういう仕事をやってるんだぞ!」と教えようとしているものだと思うんですが! どうしてそうも毎度毎度主義主張を押し付けるんだ新見ー!! という気持ち。
「かわいい」ファッションや小物類がどういうものであるのかが視覚的にわかって、カラフルで楽しかった。利緒役の女優さん、声がめちゃくちゃ可愛くて、声を当てるお仕事で活躍されたりしてないのかなーと思いました。
文化系部活動が活発な神山高校に通う折木奉太郎は、省エネ主義ながらも古典部に所属することになった。部長の千反田えるから、古典部の文集「氷菓」にまつわる謎を解いてほしいと依頼され、友人の福部里志や伊原摩耶花とともに調査を始める。
原作は『クドリャフカの順番』まで読了済、のはず。
原作はなんとなくシニカルな印象だったんですが、アニメになるとずいぶん……青春しているなあという感じになっていて、これはこれで楽しいし面白いなと思いました。だいぶとかなり奉太郎がえるにほだされている感じが出ている気がして微笑ましい。
謎解きの部分はさすがという面白さで(原作があるから当然かもしれませんが)、続きが気になりますという作品でした。原作も久しぶりに読んでみようかな。
文芸編集者の佐々木幸子は、結婚式当日に夫となる人に逃げられた経歴の持ち主。失意の底にあった彼女はサバの味噌煮を口にしたことでしばしその辛さを忘れることができた。個性豊かな作家たちや新人の小林などとの関わり合いの中で、幸子は俊吾を忘れることができるのか。
連続ドラマ版。原作は途中まで読んでいるんですが、ドラマで俊吾さん周りの話がある程度落ちがつくとは思っていなくてびっくりしました。すごく面白かった! 心って美味しいものを食べていないと弱ってしまうよなあ。
サチコが普通の人より感情が表に出にくくてごんぶとメンタルなのが、見ていてすごくフィクションだなあと思うんですが、こういう人もちゃんと食べないとだめだめになってしまうのはリアリティがあって楽しい。
これを見ていてあったかいうどんが食べたくなって、つい夕食にうどんを作ってしまった。美味しかった。人が美味しく食べている作品はいいものだなあ。
料理家の著者は、フランス料理を学んでいたときにジビエ料理と出会う。あの材料はどこで手に入るの? どうやって作るの? というところから、それらの肉を獲ることができると気付き、狩猟免許を取得する。
タイトルからだと狩猟免許を取るための努力みたいな話かと思いきや、もっと踏み込んだ内容。何のために狩猟するのか、その肉をどうするのかということを考えながら、同じ狩猟免許を持つ人たちそれぞれの考え方にも触れて、狩猟やひいては食肉について考える。
狩りをする人たちの考え方は人それぞれあって、自分の食べるものを自分で収穫したいというものや、必要に駆られてだったり、スポーツのためだったり。読み進めていくと、私たちが普段口にしている食べ物が簡単に手に入ることについて疑問を覚えました。著者の井口さんはこんなに、嫌になるくらい、精神が痛めつけられるくらい生き物と命とそれを食べることに向き合っているのに、その重みを知らないって変じゃないか、みたいな。
ジビエについて知ってもらいたいという思いが感じられて、ジビエへの興味が出て来ました。ちょっと調べてみようかー。
味岡市立図書館に、新人司書として採用された稲嶺双葉。
そこで待っていたのは、蔵書目録の作成や、本の受け入れ作業、イベント企画……と、次々に押し寄せてくる「司書のお仕事」だった。
双葉は、先輩司書の花崎智香や、山下麻美の助言を受けながら、一人前の司書として成長していくことになる。(カバー折り返しより)
司書のお仕事ってどういうものなの? という疑問に答えるみたいに、実際の仕事を紹介しつつお話に仕立てた本。なのでみんなが知っているカウンター業務や利用者対応にはほとんど筆が割かれていませんが、裏方でどんな仕事をしているのかわかるので、司書志望の人は読むといいんじゃないかなーと思いました。作中のように丁寧に仕事ができればいいよなあと夢を見つつ……。
あたしはメアリ・キャサリン・ブラックウッド。ほかの家族が殺されたこの屋敷で、姉のコニーと暮らしている……。悪意に満ちた外界に背を向け、空想が彩る閉じた世界で過ごす幸せな日々。しかし従兄チャールズの来訪が、美しく病んだ世界に大きな変化をもたらそうとしていた。“魔女”と呼ばれた女流作家が、超自然的要素を排し、少女の視線から人間心理に潜む邪悪を描いた傑作。(裏表紙より)
誰しも心の中に抱く、ちょっとした意地悪な気持ちがあると思うんですが、それが小さな村で集団的に大きくなると、憎しみや暴力として降りかかるのは、本当に怖いと感じるんですよね。コントロールが効かない感じ……なんて思っていたら、このコントロールの効かなさが最終的にメリキャットに感じられてぞーっとしました。これ、ある意味語り手を信用しちゃだめなやつですね。