読んだ本とか、漫画とか、映画とか、色々
世界を救うハルコ。
ぼくは君に何ができる?
5年前、遠夜の隣に引っ越してきたハルコは特異体質をもつ少女。数十キロにわたり花粉を消滅させるかわりに自分には猛毒となるため、宇宙服のような防護スーツを着けなければ外出ができない。通学は遠夜がサポートを続けるなか、事故が起きる。それはクラスメートを巻き込む事件に発展するのだが。——世界を敵に回してもハルコを守りたい、と願う17歳の決意が迸る圧倒的青春小説!(裏表紙より)
比喩的な、象徴的な話だった。その人に見える世界はその人だけのものという感じ。当事者を置き去りにして過熱する周囲が怖いし、その中で遠夜が最後まで冷静だったのはハルコと生きる覚悟をしているからなのかなあ。学校とかその町とか狭い世界じゃなく、もっと広い世界で、ハルコとどうすれば一緒にいられるかを考え続けているからかもしれない。
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異世界で魔王ヴァルヴァランを倒すべく立ち上がった領主の娘コーネリア。狂戦士、魔道士、暗殺者は彼女と力を合わせて戦っていたが、魔王の「魔王転生」の術に巻き込まれ、異世界に転生してしまう。そうして今度こそ魔王を倒す、はずだったが、コーネリアは犬になり、仲間の三人はそれぞれ自由に、かつごくつぶしとして駄菓子屋に居候、さらに魔王はいたいけな少女となっていて……。
魔王と転生ネタを扱いつつも、日常系な中編アニメ映画。
女子たちがわいわいしていて、かつ幼女が元魔王というのは好きな人にはたまらないやつだよなあ。
何にも考えなくてもゆるーく楽しめる作品で、前世(異世界)絡みの事件はあるものの、平和でいいなあと思いました。
最後の絵、めちゃめちゃ上手いな……。
オーストラリアで幸せに暮らすサルーは、インドで生まれ育ちながらも迷子になり、家族と生き別れて養子に出された子どもだった。成長したサルーはGoogleのサービスであるGoogle Earthを利用して、記憶を辿りながら家族を探す旅に出た。
実話をもとにした作品。ニュースでもすごく話題になりました。脚色が加えられているのは承知の上であっても、とてもドラマティックで運命的な出来事を描いていたように思います。孤児になってしまった無力な少年が、無事に成長して家族を見つけられるってどれだけの運命があったのか。タイトルの意味がわかったとき、感動で震えました。
すぐに繋がれるっていい面も悪い面もあるけれど、これはテクノロジーが繋いでくれたいい出来事だったよなあ。けれど、グーグルアースがなくても彼はいつかそこにたどり着けた気がする。
太平洋に浮かぶ竜宮島。そこは世界の真実を知らない子どもたちにとって楽園だった。未知の生命体フェストゥムの侵略を受けた島は、その日を境に対抗機関アルヴィスとして起動し、子どもたちは子どもしか適性を持たない人型決戦兵器ファフナーを駆って戦うことになる。
続きとなる「EXODUS」は視聴済み。この無印も見たと思うんですがなにぶん遥か昔のことなので覚えていない。書籍は読了済み。
すべてから隔絶された島、大人たちによって作られた偽りの平和、戦う自分たちには命の限りがあり、未知の生命体には人類を理解するものも現れて、というSFのロマンがめいっぱい詰まった少年少女と蒼穹の物語だと思っています。いま見るとめちゃくちゃ込み入った話をしている。当時絶対理解できてなかったな私は……。
一期を見終わってもまだまだ続くこと思わせる終わり方だなあと改めて思いました。これ小説でがっつり読みたいわ……。
明治時代、吉原の遊郭「中梅楼」に19歳の久乃は売られてきた。様々な女たちが春を売るそこで、久乃は花魁や客たちに教えられながら、少しずつ花魁としての意識を高めていく。ついには御職を目指すようになるが、一方では転落する女たちもいた。
1987年の映画。結構性的なシーンがあったんですがR指定つけなくて大丈夫?
拙い演技もあるはずなのに、みんなすごくいきいきしてて力強くて、古い邦画はなんか面白いんだよなあと思う。あと思い切りの良さがすごい。激しい演技に見入ってしまう。
苦界と呼ばれる場所の女性たちの生き方はそれぞれ違っていて、どうしてそうなってしまったのかを考えるとどんな辛くて苦しい積み重ねがあったんだろうと思ってしまう。またそれぞれの終わりというのか、その人の物語の最後が凄まじい人ばかりでな……。
最後の失笑めいた表情がどういう意味だったのかを考えているんですが、何もかも虚しい、なのかな。虚しくないはずだと思うんですよね。
ある日町中で、魔法学園に通う男爵令嬢コーラルの脳裏によぎったのは——親友に婚約者を奪われ、実家は没落し、やがて殺害されてしまうという残酷な未来の記憶。その記憶に翻弄された瞬間、「炎」の覚醒魔術が暴走してしまった!? このままでは町を焼いてしまう! 必死に力を制御しようとしていた彼女は、見知らぬ男性に助けられ、彼に心惹かれるようになるけれど……。彼もまた、コーラルの絶望的な未来に関係する人のようで!? 悲惨な運命を覆せ! 幸せな未来を掴むために戦う、優等生令嬢のラブファンタジー。(裏表紙より)
ある日未来のものらしき記憶と、「炎」の魔法を覚醒したコーラル。どうやら何らかの力によって自分は過去の時間軸に戻ってきたらしい。読みながら「これは何周目なんだ?」と思っていましたが、こういう形の巻き戻りと異世界転移とセーブ・リセット要素が盛り込まれているのは面白いなあと思いました。この世界観での普通の人であるコーラルだからこその視点と展開が面白い。最初はランとの関係がめちゃくちゃ辛かったけれど、友情ものとしても美味しかった。
ところでどうでもいい話、序盤に頻出する「ふふっ」と笑う表現があんまり読みなれなくて、ちょっと変な感じがしました。会話はともかく字の文で出されると違和感というか……本当にどうでもいい話だな。
テレビ番組「ご本、出しときますね?」の書籍版。芸人の若林正恭が司会進行、二名の作家をゲストに迎えて日常生活や仕事の話をするトークバラエティ。
めっっっっっっっちゃくちゃ面白かった!!
作家さんのインタビューとか対談って、すごくいいことを言ったり、何かを語ったり、意見を述べたりっていう感じばかりな気がしていたんだけれど、これは本当に、自分の内面とか、もっとどうでもいい日常の話をすごく気安く話していて、めっちゃ笑ったしわかるわかると何度も思った。しょっぱなの朝井リョウさんと西加奈子さんの回からぶっ飛んでいて笑いすぎてお腹痛かった。
作家さんのマイルールが人それぞれで面白かった。マイルールというかポリシー? すごくくだらないことでも、日常生活における美学になっている感じ。
冬の気配が近付く中、神殿長のローゼマインは城と神殿を行き来する、慌しい毎日を送っていた。社交界での交遊に、洗礼式や奉納式等への参加。識字率の向上を目指した、貴族院入学前の子供の指導、さらには成績不振な護衛騎士の教育まで、一年前とは比較にならないほど忙しい。貴族間でも神殿内でも影響力は高まっていく。一方で、グーテンベルクの職人と印刷機の改良に挑んだり、城で絵本を販売したり、本への愛情は強まるばかり。そんなローゼマインの内なる魔力もますます強力に! 周囲の注目を集める中、騎士団と共に冬の主の討伐を行い、春の祈念式では新たな素材を採集するのだった。
戦いと幻想の冬を越えて、「エーレンフェストの聖女」が高く舞い上がるビブリア・ファンタジー激闘の章!
大増書き下ろし番外編2本+椎名優描き下ろし「四コマ漫画」収録!(カバー折り返しより)
採集と、お披露目と、貴族の子どもの教育と、ハッセのお裁きと。前段階という感じなので、そろそろ大きな問題がやってくるんだろうなあという気がしますが、とりあえず順調な様子。
いやでもローゼマインがどんどん自分が思う以上に、影響力が強い、聖女としての名を上げているようで大丈夫かなという気持ち。期待がのしかかってくるんじゃないかなあ。難しい課題もクリアしていってしまうと、際限がなくなるから怖い。
個人的にときめいたのはブリギッテのドレスを仕立てるところでした。ドレス姿のお披露目、あるかなあ。あったらいいなあ。
バレエ一筋のニナは、ステージママである母親の期待と愛情を一身に受けるバレリーナ。バレエ団の次の公演は「白鳥の湖」だが、主役は純真無垢な白鳥と官能的な黒鳥という一人二役を演じなければならない。ライバルの存在、演出家の性的なほのめかし、自らの力不足に追い詰められていくニナは、少しずつ少しずつ壊れていく。
真面目で抑圧された女性が少しずつ自身の黒い部分を開花させていく……というストーリーを想像していたんですが、ラストの畳み掛けに、ひいっ! と悲鳴をあげたし、最後まで見て、いやまじこれ好きだわ……と思いました。現実感を残したまま、見ているものが壊れているところがめちゃめちゃ怖いし、すごくいい。
結局ニナは、自分が黒い部分に染まることができなかった、直面して受け入れることができなかった、ということなのかな。母親に望まれる自分がもう完全に自分自身と化していて、そこから逸脱することができず、認められることもできず、こういう結末なのかもしれない。いやでもあるいは、純真無垢であることを否定するかのように白鳥は失敗したけれど、黒鳥を完璧に踊れたのは邪悪さを受け入れたからで、でも何もかも遅かったということなのか。
どちらにしても面白かったです。