読んだ本とか、漫画とか、映画とか、色々
![吉原炎上 [DVD]](https://images-fe.ssl-images-amazon.com/images/I/51t-MSHcanL._SL160_.jpg)
明治時代、吉原の遊郭「中梅楼」に19歳の久乃は売られてきた。様々な女たちが春を売るそこで、久乃は花魁や客たちに教えられながら、少しずつ花魁としての意識を高めていく。ついには御職を目指すようになるが、一方では転落する女たちもいた。
1987年の映画。結構性的なシーンがあったんですがR指定つけなくて大丈夫?
拙い演技もあるはずなのに、みんなすごくいきいきしてて力強くて、古い邦画はなんか面白いんだよなあと思う。あと思い切りの良さがすごい。激しい演技に見入ってしまう。
苦界と呼ばれる場所の女性たちの生き方はそれぞれ違っていて、どうしてそうなってしまったのかを考えるとどんな辛くて苦しい積み重ねがあったんだろうと思ってしまう。またそれぞれの終わりというのか、その人の物語の最後が凄まじい人ばかりでな……。
最後の失笑めいた表情がどういう意味だったのかを考えているんですが、何もかも虚しい、なのかな。虚しくないはずだと思うんですよね。

ある日町中で、魔法学園に通う男爵令嬢コーラルの脳裏によぎったのは——親友に婚約者を奪われ、実家は没落し、やがて殺害されてしまうという残酷な未来の記憶。その記憶に翻弄された瞬間、「炎」の覚醒魔術が暴走してしまった!? このままでは町を焼いてしまう! 必死に力を制御しようとしていた彼女は、見知らぬ男性に助けられ、彼に心惹かれるようになるけれど……。彼もまた、コーラルの絶望的な未来に関係する人のようで!? 悲惨な運命を覆せ! 幸せな未来を掴むために戦う、優等生令嬢のラブファンタジー。(裏表紙より)
ある日未来のものらしき記憶と、「炎」の魔法を覚醒したコーラル。どうやら何らかの力によって自分は過去の時間軸に戻ってきたらしい。読みながら「これは何周目なんだ?」と思っていましたが、こういう形の巻き戻りと異世界転移とセーブ・リセット要素が盛り込まれているのは面白いなあと思いました。この世界観での普通の人であるコーラルだからこその視点と展開が面白い。最初はランとの関係がめちゃくちゃ辛かったけれど、友情ものとしても美味しかった。
ところでどうでもいい話、序盤に頻出する「ふふっ」と笑う表現があんまり読みなれなくて、ちょっと変な感じがしました。会話はともかく字の文で出されると違和感というか……本当にどうでもいい話だな。

テレビ番組「ご本、出しときますね?」の書籍版。芸人の若林正恭が司会進行、二名の作家をゲストに迎えて日常生活や仕事の話をするトークバラエティ。
めっっっっっっっちゃくちゃ面白かった!!
作家さんのインタビューとか対談って、すごくいいことを言ったり、何かを語ったり、意見を述べたりっていう感じばかりな気がしていたんだけれど、これは本当に、自分の内面とか、もっとどうでもいい日常の話をすごく気安く話していて、めっちゃ笑ったしわかるわかると何度も思った。しょっぱなの朝井リョウさんと西加奈子さんの回からぶっ飛んでいて笑いすぎてお腹痛かった。
作家さんのマイルールが人それぞれで面白かった。マイルールというかポリシー? すごくくだらないことでも、日常生活における美学になっている感じ。

冬の気配が近付く中、神殿長のローゼマインは城と神殿を行き来する、慌しい毎日を送っていた。社交界での交遊に、洗礼式や奉納式等への参加。識字率の向上を目指した、貴族院入学前の子供の指導、さらには成績不振な護衛騎士の教育まで、一年前とは比較にならないほど忙しい。貴族間でも神殿内でも影響力は高まっていく。一方で、グーテンベルクの職人と印刷機の改良に挑んだり、城で絵本を販売したり、本への愛情は強まるばかり。そんなローゼマインの内なる魔力もますます強力に! 周囲の注目を集める中、騎士団と共に冬の主の討伐を行い、春の祈念式では新たな素材を採集するのだった。
戦いと幻想の冬を越えて、「エーレンフェストの聖女」が高く舞い上がるビブリア・ファンタジー激闘の章!
大増書き下ろし番外編2本+椎名優描き下ろし「四コマ漫画」収録!(カバー折り返しより)
採集と、お披露目と、貴族の子どもの教育と、ハッセのお裁きと。前段階という感じなので、そろそろ大きな問題がやってくるんだろうなあという気がしますが、とりあえず順調な様子。
いやでもローゼマインがどんどん自分が思う以上に、影響力が強い、聖女としての名を上げているようで大丈夫かなという気持ち。期待がのしかかってくるんじゃないかなあ。難しい課題もクリアしていってしまうと、際限がなくなるから怖い。
個人的にときめいたのはブリギッテのドレスを仕立てるところでした。ドレス姿のお披露目、あるかなあ。あったらいいなあ。
![ブラック・スワン [DVD]](https://images-fe.ssl-images-amazon.com/images/I/41waJ%2BYTH9L._SL160_.jpg)
バレエ一筋のニナは、ステージママである母親の期待と愛情を一身に受けるバレリーナ。バレエ団の次の公演は「白鳥の湖」だが、主役は純真無垢な白鳥と官能的な黒鳥という一人二役を演じなければならない。ライバルの存在、演出家の性的なほのめかし、自らの力不足に追い詰められていくニナは、少しずつ少しずつ壊れていく。
真面目で抑圧された女性が少しずつ自身の黒い部分を開花させていく……というストーリーを想像していたんですが、ラストの畳み掛けに、ひいっ! と悲鳴をあげたし、最後まで見て、いやまじこれ好きだわ……と思いました。現実感を残したまま、見ているものが壊れているところがめちゃめちゃ怖いし、すごくいい。
結局ニナは、自分が黒い部分に染まることができなかった、直面して受け入れることができなかった、ということなのかな。母親に望まれる自分がもう完全に自分自身と化していて、そこから逸脱することができず、認められることもできず、こういう結末なのかもしれない。いやでもあるいは、純真無垢であることを否定するかのように白鳥は失敗したけれど、黒鳥を完璧に踊れたのは邪悪さを受け入れたからで、でも何もかも遅かったということなのか。
どちらにしても面白かったです。
![オーメン [AmazonDVDコレクション] [Blu-ray]](https://images-fe.ssl-images-amazon.com/images/I/51Gldr7yHQL._SL160_.jpg)
六月六日の六時に生まれた我が子が死産だった駐英大使は、同じ日に生まれた孤児を引き取ってダミアンと名付けた。しかしダミアンが成長するにつれ、周りでは不可思議な事件や死亡事故が次々に起こるようになる。ついには教会関係者に、ダミアンは悪魔の子だと言われ……。
ダミアン少年、という言葉だけを知っているという感じだったのですが、この度初視聴。めちゃめちゃ勢いよく人が死ぬし首を吊るし首が落ちるし、ぎゃっと言わせようとしているシーンのオンパレードで、古いホラー映画のこういうところ好きよって思いました。いやでも残酷だしグロテスクなんですけどね……。
抗って戦って、こういう結末を迎えるのは珍しいなあと思いつつ、機会があったら続きも見てみよう。
![ムーンライト スタンダード・エディション [DVD]](https://images-fe.ssl-images-amazon.com/images/I/51a3SgCWVNL._SL160_.jpg)
内気な性格を学校で嘲笑われているシャロン。いじめられっ子の彼にとって、同級生のケヴィンが唯一の友人だった。薬物中毒の母にネグレクトを受け、麻薬の売人の男フアンとその恋人テレサに助けられたシャロン。我が子のように可愛がってくれる彼らに安らぎを与えてもらって成長していくシャロンだったが。
マイアミの黒人コミュニティで暮らす少年のヒューマンドラマ。静かで上品で、どこか物悲しい、いい作品だった。心を救われるってどういうことなのか、丁寧に描いてるなあという感じ。自分の世界に溢れる矛盾や、受け入れがたい現実とどう向き合っていくのか。夜の海を望んでいたシャロンが振り返ってくれたことで、なんとか自分自身を受け入れることができたのかなと思う。
シャロンは報復しないし、裏切り行為を働いたケヴィンに怒りをぶつけたりしない。母親と和解するけれど、彼が更生するわけではない。そういうリアリティがすごく丁寧で、すごくよかった。
![ぼくのエリ 200歳の少女 スペシャルプライス版 [DVD]](https://images-fe.ssl-images-amazon.com/images/I/51rqDbUR0%2BL._SL160_.jpg)
いじめられっ子のオスカーは、ある日隣に越してきた少女エリと出会う。しかし彼女が外に出てこられるのは夜だけ。それでも密かな交流を続けていた二人だったが、街では不可解な失踪事件や殺人が起こっていた。
「モールス」を先に見ていて、原作は未読。孤独な少年と謎めいた少女の交流の話で、こちらはどちらかというと事件性が強い物語になっているような気がします。二人の世界の外で起こっている事件が現実として押し寄せてくる感覚、恐ろしい感じがあるけど嫌いじゃない……(むしろ好きだ……)
残酷なシーンが結構ストレートに描かれるので、そういう意味では「モールス」の方が綺麗で幻想的だったかなと思いつつも、わかりやすくて面白かった。

些細なことから上司・岸本の執拗な嫌がらせを受けるようになった玲美。疲弊しきった玲美は、彼を殺したいと夢想するようになる。こいつの頭をぐしゃりと潰してやれたら——。業績を掠め取る係長、若い女子を目の敵にするお局、会社に寄生する豚野郎。こんな最低なヤツらが迎える結末とは!? 会社で頑張るすべての人々に捧げる、ちょっとブラックなお仕事小説!
イヤなのは”仕事”じゃないんです!(裏表紙より)
ブラックなお仕事小説ではなく、ブラック会社で働く人たちがパワハラ上司に報復するホラー小説だった。いやでもめちゃめちゃ面白かった。
些細なことからパワハラを受けるようになった玲美が、近くにある縁切り神社にお参りしたことで上司を撲殺する夢を見るようになる表題作。
正社員の主任からパワハラを受け、仕事を取られた麻里子は、主任のデスクの上にある天井の梁で首をくくって、報復を妄想するようになる「天井の梁」。
妊娠をきっかけにブラック部署に飛ばされるというパワハラを受けた菜々。その部署にいるディレクターは、大声で恫喝する上に、部下を搾取し、仕事をしない豚野郎。もれなく病むというその部署では、部下たちが共有ファイルに恨みつらみを書き連ねる「引き継がれ書」があるという「引き継がれ書」、以上の三編。
なんとも後味が悪い表題作なんですが、残り二編はそれなりにすっきりできたかな。いやでも「引き継がれ書」のホラー感はやばい。怖さが飛び抜けてた。そりゃ恨みつらみを込めていたら、いくら電子データでも呪詛と化すよね……。