読んだ本とか、漫画とか、映画とか、色々
新米新聞記者の英田紺のもとに届いた一通の手紙。それは旧家の蔵で見つかった呪いの箱を始末してほしい、という依頼だった。呪いの解明のため紺が訪れた、神楽坂にある箱屋敷と呼ばれる館で、うららという名の美しくも不思議な少女は、そっと囁いた――。「うちに開けぬ箱もありませんし、閉じれぬ箱も、ありませぬ」謎と秘密と、語れぬ大切な思いが詰まった箱は、今、開かれる。(裏表紙より)
国が開かれ新しい世がやってくる、時代の物語。
女性たちの物語でした。年齢も立場も、全部違う、さまざまな女が登場し、それぞれの立場を語る。一貫しているのは、「女として生きること」について問うということ。ちょっとした謎解きと、怪談めいたものと。こういう、文学っぽいようなテーマを用いたエンタメを書くのが、紅玉さんは上手いなあ!
紅玉さんらしい文章のリズムを残しつつ、ラノベっぽくないというか、ずいぶん読みやすい文章になっているように思いました。
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城から隔離された塔で、閉じ込められているかのように暮らしている忌み姫・オルウェンと、その執事・クラウス——彼らには、他人に知られてはいけない秘密の役目があった。オルウェンは異界へとつながる<扉>を胸元に宿し、クラウスは扉を開く<鍵>を左目に宿す。契約によって結ばれた主と僕として、異形の存在を扉の向こうに封じるため戦い続けてきたふたり。しかしその関係が次第に揺らぎはじめて……!?(裏表紙より)
二人きりの閉じられた世界に暮らす、繋がれた二人の物語、という印象でした。
〈扉〉を宿す姫・オルウェン。〈鍵守〉のクラウス。二人は、この世の異形ダリウスと戦い、彼らを扉の向こうに封じる役目を持つ。その結果、幼い頃から二人で暮らし、二人で過ごし、二人で戦ってきた。その暗さと歪な関係性、閉じられた世界。
そこから出て行こうとするオルウェンと、本当は彼女を自分のものにしたいクラウスの、精神的な攻防がはらはらどきどきでした。その結果、再びつないだ絆はまた新しい形をしていて……しんみりと、よかったなあと思える話でした。世界が開くって、いいな。
シャロンはラウールとともに、ローランスに戻っていた。それは、ラウールの社交界復帰の噂を生み、権力の行方を囁くことになる。だが、噂を知らないシャロンは、自分に護衛がつくことを不満に思っていた。そんなとき、ラウールがかつて愛した女性の妹・コレットが、恋を叶えるためシャロンに協力を求める。真剣なその想いにシャロンは協力するが、彼女のかわりにコレットがさらわれてしまい!?(カバー折り返しより)
シリーズ3巻目。結婚式のためにローランスに戻ってきたシャロンとラウール。国王陛下に謁見し、先だっての反乱の燻りが二人を襲い……という巻です。
二人の仲がだいぶとまろやかになった感じがしました。シャロンはこうなんだ、ラウールはこうなんだ、というようにお互いがちゃんと認識した感じがします。そして高まる糖度! シャロンの賢さは読んでていて気持ちがいいです。
とっても面白かった! 前シリーズ(ブローデル国物語)は1巻目しか読めていないんですが、ちゃんと読もうっと。
絵本作家さんのインタビューや、有名人が選ぶ絵本、その他名作絵本をざっとまとめたブックガイドです。120ページ程度の本なんですが、どういう絵本が長く読み継がれているのか、名作と呼ばれているのか、代表的なものなのか、をさくっと知るにはいい本かなと思います。さほど内容に触れていないので、本当にざっくり。
絵本のおやつを作ってみようというページがあって、『ちびくろ・さんぼ』のホットケーキタワー、『ぐりとぐら』のフライパンカステラ、『はらぺこあおむし』のカップケーキ、『バーバパパのジュースづくり』のフルーツジュース、『ぐるんぱのようちえん』の大きなビスケット、『ヘンゼルとグレーテル』のお菓子の家のレシピあり。フライパンカステラ作りたい!
18世紀、ロシア——。ピョートル大帝一家は宮廷の中心にいた。欧州の貴族には田舎者と馬鹿にされることもあるけれど、ロシア宮廷では誰もが自分たちに道を開け、頭を垂れる。大公女アンナは、ただただ幸せな毎日を謳歌していた。だがある日突然、アンナは美貌の青年貴族と婚約することになる。それが、歴史を揺るがす、大事件へと発展していくとも知らずに…!! 2013年度ロマン大賞受賞作!!(裏表紙より)
「恋文」にまつわる物語。かなり込み入った宮廷事情を、まだ年若く子どもっぽいところもある、けれど聡明な少女、大公女アンナの視点から見る。
後半かなりばたばたと畳んでいった感じはあったのですが、歴史ロマンはやっぱりいいなあ! 今この時の状況はこうだけれど、最後にはこうなる、というのが、すごくどきどきわくわくする。物語の余韻に浸りました。
アンナの恋愛事情はわりとさっぱりだし、父大帝周辺や陰謀などのどろどろ具合の方に重きを置かれているように思えたんですが、登場するアンナとリーザ姉妹の教育係、マリア・カンテミールの存在がすごくいい! アンナが成長し、マリア(理想の貴婦人像)に近づいていって、激怒した大帝を制止したシーンは、それまでマリアが担っていたであろう役割を果たしたように感じられて素晴らしくかっこよかった!
素敵な歴史ロマンだった。面白かった!
疎遠になっていたラウールの叔母が訪ねてくるという。難癖をつけてシャロンとラウールの結婚をジャマするためだ。そこでシャロンは、叔母に隙を見せないように礼儀作法をコンスタンスから習うことにした。だが、コンスタンスのもとへ向かう途中で、シャロンは強盗に襲われる若者を見つけてしまう。そうして彼女が事件に関わっている頃、叔母は到着し、息子がいなくなったと言い出して…!?(カバー折り返しより)
このシリーズの一巻も、その前段の出会いの話も読んでいるはずなんですが、ほとんど内容を忘れ……しかしこれ一冊でもだいたいわかる、かつ面白かったです!
成金貴族出身のシャロン、若くして隠居生活を送るリアンクール公ラウール。シャロンは破天荒な性格でちっともおしとやかではなく、近くに住む子どもたちと秘密基地を作ったりなどする。けれど、ラウールの叔母と同席したときには、その聡明さを発揮してにこにこと嫌味をかいくぐるという、とってもしたたかで素敵なヒロインです。
ラウールは、こんな甘い性格だったかなあと思ったんですが、もしかしたらシャロンにまつわる騒動に慣れてきてるのかな? もうめろめろじゃないかーと思いました。
ラウールの従弟セドリックにまつわる事件が今回の話。セドリックがぐーんと成長した姿にすかっとしました。
翼猫と共に言葉を届ける「再生屋」のサラ。彼女は空から落ちてきた不思議な少女の言葉を伝えるため、伝説の魔法使いウィアードの許を訪れる。整った外見だが、冷たく人を拒絶する魔法使いは、出会った時から印象最悪! かかわりたくないと思っていたのに、彼はサラの相棒の翼猫を気に入り「お前ごと翼猫をもらい受ける」と言ってきて……。世界最後の魔法使いと、真実の恋を求める少女。二人の想いが世界の運命を揺るがす——!!(裏表紙より)
冒頭から、結構込み入った事情(仕事の話とか、世界観とか)が入ってくるので、上記紹介文から想像される話とちょっと違うような気もしつつ……。
魔法の力が失われ、たった一人の魔法使いを残すのみとなったこの世界。魔法の名残を持つ生き物、翼猫の力を行使できる〈再生屋〉のサラは、自らの仕事に疑問を抱いていたとき、その世界最後の魔法使いウィアードと関わることになった。しかも、この世界の危機だという……んですが、話自体は、サラのこれからどう生きようというような悩みに少しだけ答えを得るようなもので、孤独なウィアードとの関わりで、人との付き合い方やこれからのことを見つめ直し、考え直そうとする話です。
いやー、猫かわいい! 世界最後の(ずいぶん年寄りだけど若返りの魔法で三度目の人生を始めた)魔法使いが、動物好きっていうのはとってもかわいい! 猫とのふれあいににやにやしました。
サラの言動、特にウィアードとのやりとりは、少女らしいつんけんした素直じゃない感じもありつつ、賢い女の子のもので、好感を持ちました。気持ちいい話し方をする子だなあ!
「最後の恋を」というシーンは、ときめきゲージがぐーーーーんと上がってきゅんきゅんしました。楽しかったです!
夏、クラスメートの代わりにミステリーツアーに参加し、最悪の連続猟奇殺人を目の当たりにした『おれ』。最近、周囲で葬式が相次いでいる『僕』。——一見、接点のないように見える二人の少年の独白は、思いがけない点で結びつく……!! すべての始まりは、廃遊園地にただよう、幼女の霊の噂……? 誰も想像しない驚愕のラストへ。二度読み必至、新感覚ミステリー!!(裏表紙より)
ミステリーというより、ホラー? 一人称で語る人間が二人いて、それぞれの視点で交互に語りながら、その二人がゆっくりと近付いていく。その接点は、とある殺人事件。
全体の半分に来るまでに二人がどこで交わっているのかというのはすぐに分かるので、その後どう話が落ちるのかを固唾をのんで見守りました。読み終わって、確かに「二度読み必至」(帯より)だなあ、と思いました。最後がえっと戸惑ってしまって、読み落としたかなーと最初からぱらぱらめくってしまった。
「僕」の方が、どうして『おれ』のことを知っていたのか、というのがちょっとよく分からなくて、確かに語っている部分はあるんですが、その詳細がはっきりしなくて「そんなに思ってたの?」と思ってしまった。
一人の視点からの語りなので、こう、ひたひたと迫ってくる恐怖があるんですよね……。はっきりと人殺しが誰なのかが分かるようになると、その冷静な口調が怖い! と背筋がぞくぞくしました。それで改題前のタイトルが「亡霊」なんだから、これやっぱりミステリーじゃなくてホラーだよ!
短編がほかに二本収録されていて、どちらも単独の話。「Aさん」はまごうことなくホラー。「春の遺書」はホラー(幽霊)の要素がありつつ、ミステリーに近いものがありました。
不世出の軍人と誉れ高い小玉が、かつての相棒で現皇帝・文林の願いで皇后となり、二年が過ぎた。
後宮では大規模な人員整理が行われ、多くの娘達が後宮を後にすることに。小玉は文林に新たな出会いをと、娘達と目通りの場を設けるのだが……。
「右から二番目の娘、名は」
謝月枝に目を留めた文林に、荒れる後宮。憤る取り巻き達。小玉は二人のもとに赴き皇后位の返還を表明するのだが、話はそれだけで済まないようで——?
戦火のあがる馮王家の城から、過去と運命が動き出す!(裏表紙より)
大きい敵の気配を感じつつ、身近な人が喪われる第三巻。
このシリーズ、あらすじから想像される話より、ちょっとずれた反応を小玉がするので、楽しいなあ。皇帝の寵愛を受けることになった新しい女が! という登場に、小玉はやったー!と喜びはする(本当の恋人を作ってあげようとする)んですが、小玉の言動は、これまで読んできたどのヒロインとも違う感じがする……笑 なんか、本当に心底いいことしてるって感じがある、ような。
小玉と文林の、話し言葉の切り替えが、話し方フェチとしてはすごーく好きです。あとちゃんと小玉が皇后やってるシーン! 勇ましいし、外さない感じがすごくいいなあ。そして裏側でいろいろ考えてるところも楽しい。
ここで味方がひとりいなくなるのかあああ。p202からは半泣きで読みました。次の世代に何を残せるのか、を見定めて行こうとしている物語なのかもしれない、とも思いました。
続きが出るのが楽しみです。