読んだ本とか、漫画とか、映画とか、色々
デパ地下の和菓子店「みつ屋」で働き始めた梅本杏子(通称アンちゃん)は、ちょっぴり(?)太めの十八歳。プロフェッショナルだけど個性的すぎる店長や同僚に囲まれる日々の中、歴史と遊び心に満ちた和菓子の奥深い魅力に目覚めていく。謎めいたお客さんたちの言動に秘められた意外な真相とは? 読めば思わず和菓子屋さんに走りたくなる、美味しいお仕事ミステリー!(裏表紙より)
花ゆめでコミカライズされてたなー、原作きっと面白いんだろうなー、と思って読みました。さすが、人気が出る理由がわかった気がしました。和菓子とミステリーをかけたものがとてもうまいし、キャラクターも女の子が好みそうで、なおかつ、主人公のアンちゃんに親しみが持ててすごくいい!
自他共に認めるぽっちゃりのアンちゃん。自分の立ち位置も理解していて、商店街で育ったからか年上のあしらいも上手。敬語も使えるし、仕事を覚えるのも早そうだし、とってもいい子! まあ、ちょっと高校出たての子にしては出来過ぎな気もします……笑
表題作の「和菓子のアン」が、お話も種明かしも一番好きだったかなあ。日常の謎に加えて、ちょっとした陰謀に関わるミステリーが好きなのかもしれない。アンちゃんもそうだけど、社員の女の子みたいな子がヒロインの話だったら、にやにやして読んじゃうかも。
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自由惑星同盟を完全に敗北させ、宇宙の九九パーセントを制圧したはずの皇帝ラインハルトだったが、その胸中には不満と不安がわだかまっていた。銀河の中に残されたそのわずかな領域とは、ヤン・ウェンリーの存在に他ならなかったのだ。決戦をもとめ、イゼルローン要塞に向けて進攻する帝国軍。しかしヤンの詭計により、ラインハルトの到着を待たぬまま、戦端は開かれていた。圧倒的な戦力差をしのぐヤン艦隊——時を同じくして、地球教の張り巡らせた罠が、ヤン・ウェンリーの身に迫りつつあった……。(裏表紙より)
う……あ……。
うおおおおおおおおあああああああああ!!!!!
やだやだやだー! やだよー!!
嫌な予感はしてたんですよ。この本、カラー口絵があるんですが、その絵を見たときに「え……」とは思ったんですよ。目次の章タイトルもやな感じだし!!
でもさ、でもさー!! うああああん!!
この巻だったか前の巻だったかで、同盟を離れ、その同盟も滅んだ今、理想的な皇帝であるラインハルトと戦うことは正しいか否か、という問いがあって、ぞくっとしました。なんのために戦うのだろう。ただ、水が合わないというだけではない……。その答えは、この物語の最後で得ることができるんだろうか。
帝国軍の裏をかいて、イゼルローン要塞の再奪取に成功したヤン・ウェンリー。しかし、その間にもラインハルトによる同盟領侵攻は着々と進んでいた。圧倒的な戦力で同盟の軍事施設を破壊し、首都ハイネセンへとむかう帝国軍。完全なる勝利を予感しながらも、ラインハルトの意識下には、常にヤンの存在があった。そんな帝国軍の前に、同盟軍の艦隊を率いた老将ビュコックが立ち塞がる。老いた獅子の死を賭した挑戦に、若き獅子が応える——「自由惑星同盟最後の戦い」の火蓋は切って落とされた!!(裏表紙より)
自由惑星同盟の終焉と、ついにヤンとラインハルトの再戦なるか、という巻。
ラインハルトが散々、結婚する様子がないとか、子どもがいないと困るのにとかいう話をしているのに対して、ヤンたちの側に、ユリアンに加えてカリンという次世代の話が現れてきているなあ、と思う。ラインハルトは輝かしい伝説を残して終わりそうだけれど、ヤンはヤンとして残るのではなく彼「ら」の信じたものが継がれていくのでは、などと考えた。
熱血新米士官・アルが属するエトワール近衛隊は、美形士官ばかりで形成されたお飾り部隊。しかし、真の顔は正義を貫く精鋭特命部隊だった。近衛隊の次なる任務は国の威信をかけた国際会議での護衛。超絶美貌のドS上官・シャリオの下、任務に励むアルだったが、シャリオの右腕であるフラム少佐は、謎の男から王子暗殺計画をもちかけられ…!? 絢爛な衣裳に身を包む美麗男子達の華麗なる作戦第2弾!(裏表紙より)
エトワール近衛隊の第二巻。第一巻が、ほとんど男性ばかりなのに、すっごく恥ずかしい台詞やらシチュエーションやらで、読んでいて照れてしまってもぞもぞするので、かなり長いこと置いてしまいました……。
星石を扱う護星官としての任務を秘めつつ、エトワール近衛隊は、隊に嫌がらせをする好戦派の第二王子ソールの護衛をすることに。ソール王子の言動が、ああこの人死にたいんだなあ、みたいな投げやりで軽く絶望した感じなので、彼の冷たいさびしさや、アルの熱血具合が、もうもだもだしてしまう! いい歳した大人たち、あるいは世間のことをある程度知った子たちが、空気を読んだり事情を読んだりするせいで、正義や信念を貫き通しにくい状況にあるので、正義をまっすぐに叫ぶアルは、眩しくて、いいなあ……。
千年にわたり永遠の雪原をただ歩き続ける異形の巨人ミール。人間の世界のすべては、巨人の背の上に作り上げられた都市だった。ミールとはなんなのか、どこへ向かうのか、知る者はいない。
ミールの研究を続ける“変人教授”ディエーニンの助手オーリャは、ミールの外——すなわち人の住めぬ雪原でひとりの少女を拾う。「外」からやってきた彼女との出会いは、終末へと向かう世界に何をもたらすのか。そして巨人の歩みの果てに待つ光景とは……。
ファンタジー史に残る傑作、著者全面加筆のうえ復刊!(裏表紙より)
雪に閉ざされた世界。巨人の背中に街を作り、暮らす人々。世界の名前=巨人というところから、もうツボをグイグイ押されて「……好き!」ってなりました。お話が短いなんて気付かないくらい、終末と再生のための要素がいっぱいに詰まっていました。
貧富の差が存在し、ひとり、貧しい暮らしをしながらも、しなやかな考え方を持っているオーリャを取り囲むのは、いつ迫害されるか分からない教授たち。富める者たち。世界が終わることを訴える宗教。
こういった、どうしようもない『終わり』がすぐそばにある感じと、オーリャの素直さや強さが、すごくいいんですよ! 世界の終わりは必ず来るけれど、そこに希望を持った人がいる、とわかる世界が!
短かったけれど、面白かった。正統派ファンタジーはいい……。
小中学生が覗く社会の闇!
メール依存、ネットいじめ、学校裏サイト、児童売春。
親や教師はどう対処したらよいか。(帯より)
2008年5月の本なので、ケータイ、PHSが論じられているだけで、スマホは影も形もない。進化ってあっという間だなあ……と思う。
プロフ、裏サイト、モバゲーなど、当時かなり話題に上ったものについて、大人向けに説明している一冊だったかなあ、と思います。インターネットのコンテンツのことなんて想像もつかない親たちに、子どもがどんな風にツールを利用しているのか、という。ギャル文字なんて懐かしいものにも触れられていましたが、未だに使っている子はいるのかなあ……。
スマホが普及した後の、こういう本を探して読んでみようかな。
ウイルスさえも生存が許されない地の果て、南極ドーム基地。そこは昭和基地から1000kmかなた、標高3800m、平均気温-57℃、酸素も少なければ太陽も珍しい世界一過酷な場所である。でも、選り抜きの食材と創意工夫の精神、そして何より南極氷より固い仲間同士の絆がたっぷりとあった。第38次越冬隊として8人の仲間と暮した抱腹絶倒の毎日を、詳細に、いい加減に報告する南極日記。(裏表紙より)
映画「南極料理人」の元となった日記。南極には観測隊がいるのは知っていましたが、どんな生活をしているのかなんて想像もつかなかったので、興味深く読みました。だが、ますます謎が深まっていく……どれだけ過酷な土地なんだろう。普通(じゃないと思いますが)にちゃんと暮らしていけるのはすごいな。想像もつかない。
南極でもご飯が美味しいってきっと嬉しいよね、とそれだけは想像できそう。しかも高級食材ばかり……。食品は持ち込まなければならないのは過酷だけれども、工夫を凝らしてうまい飯を作る技術は心底尊敬しました。
昭和初期、女中奉公にでた少女タキは赤い屋根のモダンな家と若く美しい奥様を心から慕う。だが平穏な日々にやがて密かに”恋愛事件”の気配が漂いだす一方、戦争の影もまた刻々と迫りきて——。晩年のタキが記憶を綴ったノートが意外な形で現代へと継がれてゆく最終章が深い余韻を残す傑作。著者と船曳由美の対談を巻末収録。(裏表紙より)
昭和初期、女中として少女の頃から奉公してきたタキが、その奥様と家について語るもの。目次のデザイン(私が読んだのは文庫版ですが)がちょっと「おや?」と思うところがあったので、もしかしたらと思っていたんですが、最終章はやっぱり「えーっ!」と驚きました。
家を愛する人の執着は、どうしてこうも重苦しいのにいとおしいのかなあ。家と、そこに住む主人を心から慕う。それは、年老いた時に気難しいと呼ばれるくらいに、信仰みたいなものになっている。途中で挟まる、甥の孫の健史にイライラしていたんですが、最後まで読むとそれがくるっと変わる感覚が、怖くて面白かった。
他人に認められないと、自分が愛せない! 気鋭の精神科医が世相と精神医学を架橋する。
表紙がイラストなので、何故精神医学の本にイラスト……? と思ったら、AKBやエヴァなどに絡めて、現代の若者の精神学を語る始まりだった。コミュ力、コミュ障、キャラの単語が飛び交う「思春期解剖学」の章は面白かった! スクールカーストについても書かれていて、なかなか分かってるじゃん……となるなど。しかし「承認」について書かれているところがびしびしびしびしと刺さって痛い……。私は多分これ。
他人の許しがなければ、自分を愛することすら難しい。承認依存とは、つまるところそういうことだ。「ひきこもり」にしても「ニート」にしても、あるいは、いわゆる「新型うつ」から就活の悩みの須田んに至るまで、どこにでもこの問題が見て取れる。
ラインハルトが輝かしい「黄金獅子旗」のもとに、歴史と宇宙をねじふせる行動を開始したころ、政府による謀殺の手から部下とともに脱したヤンは、かかげる旗のないままに「不正規隊」を自称していた。迷走する自由惑星同盟政府——そこにもたらされたのは皇帝ラインハルトによる同盟政府への弾劾と和約の破棄、そして再度の宣戦布告であった。首都ハイネセンへとせまる帝国軍艦隊。その報を聞いたヤンは、「イゼルローンに帰るか……」とつぶやく。魔術師ヤン・ウェンリーの新たな智略とは!?(裏表紙より)
政府の思惑によって殺されそうになったヤンは、仲間たちによって救出され、同盟を離反した。その同盟は、ヤンの脱出劇によってレンネンカンプが拉致され、死亡したことを理由に、帝国から宣戦布告を受ける。
イゼルローン放棄の際、ヤンたちが仕込んでいったものが発揮される巻。意外と普通の策というか、当然というかな種明かしでした。
ユリアンが無事に合流してよかった。恋の予感もあるので生暖かく見守ることにしよう。
そしてまた人が死んでいく。流星みたいだなあ……。