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読んだ本とか、漫画とか、映画とか、色々
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図書館の魔女(上)
鍛冶の里に生まれ育った少年キリヒトは、王宮の命により、史上最古の図書館に暮らす「高い塔の魔女」マツリカに仕えることになる。古今の書物を繙き、数多の言語を操って策を巡らせるがゆえ、「魔女」と恐れられる彼女は、自分の声をもたないうら若き少女だった——。(帯より)

この一冊だけで650ページ以上の長編。こんな風に分厚いのでとりあえる上巻までの感想を書く。メフィスト賞と聞いていたのでミステリーかと思っていたら、言語と文化と少年少女のファンタジーでびっくりした。
政治的思惑と独特の文化に対する価値観について語られながら、物語が進行する。上巻だけでは結局どうなるのかまだ見えないなあ。人間として他者に対する心が少しだけ欠けた少女がどうなるのかも、秘密を抱えた少年がどのように己の生き方を見出すのかも、この巻の最後になってようやく疑問を提示されたという感じで、どう結末するのか分からない不思議な印象の上巻でした。
とにかく世界観と文化が作り込まれていてそれを頭に入れるのが難しい! 作者の高田さんは言語学をやられているということでも、なんかもう頭の作りが違う! という書き込み具合。文章も美しく表現も多様で、読んでいるとぶわーっと世界が広がっていく感覚がすごい。繰り返し読みたい一冊だなあ。文章を噛み締めて味が変わるってこんなのかもしれない。
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暗き神の鎖(前編) 流血女神伝 (流血女神伝シリーズ) (コバルト文庫)
カリエがバルアンの正妃となって一年が過ぎようとしていた。いまだ懐妊の気配はないところへ、バルアンの妾妃でもある親友のナイヤが身ごもったとの報せを聞く。ナイヤを祝福しながらも、複雑な想いにとらわれるカリエ。そんな時、彼女はバルアンから聖なる山オラエン・ヤムに一緒に登ろうと誘われる。頂上めざしてふたりで旅する中、バルアンは意外な思惑をカリエに告げるのであった…。(カバー折り返しより)

読書再開。前章のひいっと悲鳴を上げたラストから、作中時間は一年経過。一年はそれなりに平和だったのかなーと思うとちょっとほっとする。しかし、運命はカリエを離してはくれない。女性の結婚、妊娠、出産の巻で、それぞれ愛を手に入れたことによって変化していく様が、恐ろしい。ナイヤは味方だと言ってくれたけれど、ルトヴィア側の様子を見るとそうも言っていられなさそうで、どうなるかぶるぶるする。サラ変化が一番恐かったよー……。
しかし妊娠出産するヒロインって、コバルト文庫なのにすごいなー。
十二の嘘と十二の真実 (徳間文庫)
 美しい王妃は侍女ツルの言葉によって、しだいに圧政者となり、人の道から外れてゆく。そして現代の小さな街に住む老女との関わりは? 時代はうねる。物語が生まれる。寓意が深まる。「わたしは、人の心にとり憑いて、わたしにとり憑かれるような心を持った人間を滅ぼしてやるの。人間を滅ぼすほど面白いことはないものね。え? 恐ろしいって? わたしのこと?」毒のあるファンタジー!(裏表紙より)

ある国の后と侍女の物語と、現代の老婆の独り語りが交互になされる。一番とっかかりになるであろう現代パートが、独り語りの上に悪にも感じ取れる老婆の視点で、それも犯罪が行われていることが語られるので、得体が知れなくて恐い。
ツル、という存在がキーワードになっており、ツルに関わったものは何らかの悪を唆される。千年生きる、つまりとこしえに存在するものがツル=怨念、そして水と女に繋がる。さらっとした文体なのに物語はどろどろで、ちょっとえぐくて気持ち悪い。後味はよくない作品でしたが、こういうのも書かれるのねーと思いました。
本には短編「崖の上」も収録。森のものに育てられた人間の少年と、学者の娘の物語。これも後味はよくはないけれど、少年と少女の失われたもののきらめきが美しいものでした。
シスター・ブラックシープV  花嫁の聖戦 (角川ビーンズ文庫)
「会いたかった——私があなたを悪魔から攫ってみせる」冤罪で投獄された司祭ユリエルを救うため、悪魔の手をとった男装の少女コンスタンティン。豪奢な地獄で悪魔に甘やかされる日々の中、彼女は賭けに出る。自分自身を賭けて——「君が勝ったら僕をあげるよ」一方サクスでは、ユリエルがコンスタンティンを悪魔から奪い返し、自分の元へ取り戻そうとしていた。禁断のトリニティ・ラブ・ファンタジー、激動の完結巻!!(裏表紙より)

地獄へ行ってしまったコンスタンティンは、悪魔の秘密を知る。ユリエルはコンスタンティンを求め、サクスではサイラス院長と女伯グロリアとの決裂により、司教軍に攻められる事態になっていた。それぞれのラストバトル! という感じで、悪魔とコンスタンティンの繋がり方も変わり、とにかく悪魔が! 悪魔が最高にいい人になっていて苦悶しました。悪魔がいい人になるなんて消滅フラグでしかないのに、満ち足りた様子なのが切なすぎる。
すべてのものはあるべくしてあるように、世界には何の変わりもなかったけれど、たくましく地に足を着いて生きているコンスタンスやユリエルの姿が最後に見ることができてよかったです。面白かった!
お友だちからお願いします
 私はふだん、「アホ」としか言いようのないエッセイを書いているのだが、本書においてはちがう!(自社比)よそゆき仕様である!(あくまで自社比)
 大きく出ましたね、自分。本当によそゆき仕様かどうか、ぜひお読みになってたしかめていただきたい。(カバー折り返しより)

新聞雑誌などに掲載されたエッセイをまとめたもの。『本屋さんで待ちあわせ』の対になる一冊でこちらもよそゆき仕様ということですが、確かによそゆきだった。変な人も出てこないし、何かにのめり込んでおかしくもなっていないし、妄想も出てこなかった。残念。しをんさんとお友達のちょっとおかしい妄想が好きなのに。
しかし、電車の中の会話が面白いな! えっと思うような会話をしている人たちって確かにいる。特に学生の会話って、どっか飛んでて面白い。
学生同士で、男子が大人数でつるんでるというのも分かる分かる! という感じ。男子は多い。あれはあれで、絶妙なバランスをとってグループになってるんだなー。
あまいゆびさき (Yuri‐Hime Novel)
出会いは幼稚園の年中。社宅の子どもだった真淳と、公団の子どもだった照乃。真淳は母親から病的な躾を、照乃はネグレクトを受けていた。出会った二人は秘密の関係になったが、ある出来事から離ればなれになってしまう。しかし真淳も照乃もお互いのことを忘れられず、やがて二人は再会するのだが……。

表紙がえらい可愛いと思っていたらガチ百合でしたごちそうさまでした。しかもエロい。薄暗くていい感じでした。
子どもの頃の背徳な関係性や、女子校のどろどろな面とさらっとした面とか、その内側できらっと光る将来のこととか、本当にいい! シロツメクサの花に気持ちを託してあるのが甘酸っぱくてよかった。あの花が咲いているところは、小さな楽園のように見えるよね。
百合もので女子高生ものって、基本的に、私の世界にはあなただけ、というのが多いと思うのですが、その中で真淳と照乃は世界へ飛び出し、協力者も得て、離れることも経験して、それでも好きだってなったのがすごくいいと思いました。世界へ閉じこもりがちなのが、日本じゃなく海外へ行ったという話を持ってくるのがすごい。面白かった。
本屋さんで待ち合わせ
というわけで(?)、本書は一応「書評集」だ。ちゃんとした評論ではもちろんなく、「好きだー!」「おもしろいっ」という咆哮になっちゃってるので、お気軽にお読みいただければ幸いです。取りあげたのは、個人的にはおすすめの本ばかりなので、ブックガイドして少しでもみなさまのお役に立つといいなと願っております。(カバー折り返しより)

新聞とか雑誌に掲載されていた短めの書評集と、『東海道四谷怪談』についてのエッセイ。するっと読みやすくてやっぱりしをんさんのエッセイ好きだと思った。いいところをくすぐる書評を書いてくださる。最後にさらっとBLの話もしてるところが好きだ! ロマンス小説も読んでいるのね! とちょっと嬉しくなった。『オリンポスの咎人』は気になっているシリーズです。
もう一冊『お友だちからお願いします』という対の一冊があるので、こちらは至極真面目に本の感想を書いているのがちょっと物足りなかったので、『お友だち〜』も読もう。
シスター・ブラックシープIV エデンの嘘 (角川ビーンズ文庫)
「無駄です。今夜は逃がしません——本当のあなたが知りたい」悪魔憑きが続出し、【黒い羊】として独自に捜査するコンスタンティン。しかし、司祭ユリエルの罠にかかり、【黒い羊】は捕らわれてしまう!! さらに、無理矢理コンスタンティンを地獄に連れていこうとしていた悪魔の心境にも変化が…? 「幸福な結末など本気で信じていたのか? そなたは悪魔の花嫁なのだ——」禁断のトリニティ・ラブ・ファンタジー第4弾!!(裏表紙より)

クライマックスの前段階という感じで、ユリエルの事情、悪魔の変化、コンスタンティンの正体が誰にバレるかという盛りだくさんな内容でしたが、最後にぶっ飛んだのはレオンとグロリアのシーンですよ! そうなったらいいなって思ってたのでときめきメーターがぎゅーんって上がってしまった。
それから、弱っているコンスタンティンに手を出さず、落ちてくるのを待っているヒースの株が上がってしまったり、悪魔が変わってしまったところがとてもどきどきしたり、何よりユリエルの乱暴なシーンには悲鳴を上げました。美味しい。美味しい……!
地獄へ行ってしまったコンスタンティンはどうなるのか。悪魔はまだ考えていることがある気配だし、できればみんなが幸せな終わり方を迎えられますように。
烏は主を選ばない
八咫烏が支配する世界山内では次の統治者金烏となる日嗣の御子の座をめぐり、東西南北の四家の大貴族と后候補の姫たちをも巻き込んだ権力争いが繰り広げられていた。賢い兄宮を差し置いて世継ぎの座に就いたうつけの若宮に、強引に朝廷に引っ張り込まれたぼんくら少年雪哉は陰謀、暗殺者のうごめく朝廷を果たして生き延びられるのか……?(カバー折り返しより)

前巻『烏に単は似合わない』の裏側、四家の姫たち后候補たちが桜花宮に集められていた一方で、若宮と彼に関わることになった少年・雪哉たちは何をしていたか、という話。女っ気がないので表紙通り黒っぽい地味な一冊で、若宮といううつけ者が特別で魅力ある人物だということは分かりはしたものの、特に後日談があるわけではなかったのでちょっと消化不良でした。でも、雪哉がなにくそと頑張るところがすごく楽しく、成功物語としての部分が好きだと思いました。
しかし、若宮の喋り方が好きだわー! 「だって、私は金烏だもの」という言い方が、小憎たらしい自信とちょっとの寂しさを感じさせて、きゅんとする。
これ続編出るのかなあ。浜木綿が好きだったので、彼女の物語を見てみたいかも。
魔女のこねこゴブリーノ (世界傑作童話シリーズ)
人を呪い、だまし、悲しませる魔女とその使い魔魔女ねこに生まれたゴブリーノ。三本黒い足と一本だけ白い足。綺麗な青い目をしたねこだ。妹のスーチカは魔女ねこの才能があるけれど、ゴブリーノはどの魔女も欲しがらない。ある日、母さんねこも魔女もゴブリーノを捨てて去ってしまった。自分の家を探すゴブリーノの物語。

多分読書ガイドか何かを読んでメモっていた本。魔女のねこって可愛いなー児童書かどんなのだろうと思っていた。居場所に恵まれない男の子が、自分の場所を探す冒険物語でした。
冒険物語として、繰り返しの連続になるのですが、どの飼い主に当たっても、最後には魔女ねこというだけで石を持って追われ、嫌われる。居場所が欲しいがために魔法をちらつかせて脅すことがあっても、本当はそんなことしたくないと悲しむゴブリーノ。魔女ねこに本当に向いていない子で、最終的には魔女たちにも魔女ねこには向かないと言われてしまう。それでも、彼は子どもたちにとっても好かれている。
最後には居場所を得たゴブリーノは、失ったものもあるけれど、求めたものを得ることができたので、ちょっとほっとしました。よかったと一概に言えないのは、そのままの自分ではあれなかったというところが引っかかっているからで……。
とにかく、喋る魔法のねこの冒険はとっても可愛らしかったです。
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Author:月子
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