読んだ本とか、漫画とか、映画とか、色々

古書店『無窮堂』の若き当主、真志喜とその友人で同じ業界に身を置く瀬名垣。瀬名垣の父親は「せどり屋」とよばれる古書界の嫌われ者だったが、その才能を見抜いた真志喜の祖父に目をかけられたことで、幼い2人は兄弟のように育った。しかし、ある夏の午後起きた事件によって、2人の関係は大きく変っていき……。透明な硝子の文体に包まれた濃密な感情。月光の中で一瞬魅せる、魚の跳躍のようなきらめきを映し出した物語。(裏表紙より)
とても良かった。綺麗だった。古書店、というキーワードにびびっと来て買っておいたものを積んでいたのだけれど、もっと早くに読めば良かった!
真志喜と瀬名垣の関係が、お互いに離れなければならないのに離れられなくて、お互いがとても大切で……という罪の意識と愛情とがとても透き通って描かれていて、思わずときめいた。男同士なのに。
三浦さんの作品は「仏果を得ず」と「風が強く吹いている」が好きなんだが、「月魚」も加えたい。「秘密の花園」といい、幅広い作品が書ける方なんだなあ。
なんだか映画をじっくり見た感じで、とても素敵だった。オススメ!
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ある日、ふらりと
僕の部屋にあらわれた、
僕の人差し指サイズの
気まぐれな小さな王様。(カバー折り返しより)
児童書なのか絵本なのか。哲学的言葉遊びみたいなお話。
生まれた時は大きくて、年を取れば段々小さくなり、本当に小さくなって見えなくなってしまう王様の一族。僕の目の前に現れる王様も、例に漏れない。
4の「命の終わりは永遠のはじまり」が好きだ。
「(前略)たとえば、きみのお父さんが、もう見えないくらい小さくなったからといって、それは、彼がいなくなってしまったことにはならないだろう? もしかしたら、きみのお父さんは、僕たちのすぐ近くにいるかもしれないんだから。(略)つまり、きみたちのところじゃ、どんどん果てしなく小さくなり続けるから、命の終わりもないんじゃないかって、僕は思うんだけど」
人の死後の、魂や記憶のことを思った。

還暦をじじいにくくられるなど我慢できない。定年退職後、アミューズメントパークに再就職した剣道師範のキヨ、柔道家で呑み屋の元亭主シゲ、機械いじりの天才の工場主ノリの三人は、幼い頃のように三人集い、自警団を結成した。ご町内の悪成敗、孫と娘の恋心、おっさんたちの活劇小説。
面白いよー面白いよー。有川さんの小説は気持ちがいいなあ!
おっさんたちがすっごくかっこいいし、孫の祐希と娘の早苗の恋模様がすっごくいい。キヨと祐希のコンビがいい感じにはまっていて、こういう関係っていいなあとにこにこしてしまう。こういう風に綺麗なところもあるけれど、第四話みたいな暗い部分も絶妙だった。本当に素敵な小説を書かれるよなあ……!

花冠は、可憐な容姿とは裏腹に、恋には見向きもせず士官学校での厳しい訓練を乗り越え、トップの座に。
ところが、御前大会で公子を打ち負かしたことから運命は一転、下位の舞台に配属される。
希望を見失いながらも、将軍巴青炎に追従し、敵と戦ううちに、人を守り愛することを知っていく花冠。
そして、「あなただけの王を見つけなさい」という母の言葉を思い出すとき、動き始めた心の行方は!?(裏表紙より)
時代が違っていたなら、花冠は珠枝みたいになってたかもしれないし、珠枝は花冠みたいな道を選んでたかもしれないなあと思ったりした。なんとなく生まれが似ているような気がする。
今までシリーズ読んできたけど、ラストの綺麗さナンバーワンです。そして全体的にとても元気が良くて、読んでいて元気になれる。集う仲間たち、の設定がとても好きなのです。二人きりの戴冠式みたいなのとか、これからも先に進んでいく、というのがとても良かった。
是非、青炎と花冠と銀水の三角関係ありの建国記にして頂きたい。この人らどっかで国興してる気がするのだ。

親をなくし、明国の小さな村でひとり暮らす潤霞は、ある日、森で傷を負った男を助ける。彼はこの国の王雪峰だった。この時から潤霞の人生は一変。見初められ後宮へ誘われた娘は、瞬く間に寵妃へと昇りつめる。
しかし、そんななか、王が自分を慈しむ理由を知ることとなり苦悩する潤霞——私は、最愛の人の身代わりなのか——と。絆をなくした二人、その愛の行方は?
森崎朝香の真骨頂。純愛物語がここに幕を開ける!!(裏表紙より)
村娘が王に見初められ王宮へ、だが彼が自分を愛してくれる理由は、彼がかつて愛した人に瓜二つだから——という、ここでときめいたら多分買いだと思われます。王宮での詮無い噂話とか、正妃との話とか、間男とか、陰謀とか戦争とか、少女小説要素満載です。個人的にすれ違いがとっても美味しゅうございました。あらすじを裏切らない美味しいすれ違い。すっごくうるさく言うのなら、意外と潤霞が苦労してないっぽかった気がするので、もうちょっとその辺り見たかったかもとか。
そしてやっぱりハッピーエンドがちょっとずれてるよ! でもこういう国が興り潰えていく世界観のお話には仕方がないのかなあ。

琴の名手として名高い琉国公主・綺嬌は、兄王と国の安寧を願い側室として隣国のエン(炎にりっとう)へ嫁ぐことに。
しかし、まだ十八歳の娘を待ち受けていたのは、年の離れた王の暴君な振る舞いと、正妃の嫉妬に悩む日々。
そんななか、綺嬌は旅の楽士である玄と出会い、彼の吹く笛の音に心癒される。やがて、互いの奏でる音に想いを寄せ合い、玄は綺嬌を救い出そうとするが……。
国を揺るがす過酷な運命が迫り来る二人は、いま!?(裏表紙より)
花嫁シリーズ5弾。音楽と生きることがテーマかしら。
か弱く病がちな公主・綺嬌が主人公……というより、あんまり主人公らしくなくて大人しい感じな気がした。どちらかというと、玄の方が奮闘していたような。主人公二人という感じかな。そういう風に考えると、玄の闇の部分をもっと見たかったかも! せっかく渋い養父がいるのに! あれ、と考えると私はもしかして養父の話が読みたかったのかしら(おじさん趣味)
びっくりなことに幸せなあの夫婦が登場してにやにやしてしまった。奥さんがちょっと大人しくなったのは、子どもがいるからだろうか。旦那様は相変わらず素敵ヒーローぶりでときめいてしまった。娘さんが生まれましたが、私は祥麟の『激しい愛』が見たいです。
綺嬌と玄は後は心穏やかにあれたようで良かった。ていうかやっぱりハッピーエンドがちょっとハッピー! って感じじゃないよ!

銀髪の男の腕に抱かれ、女はまるで眠っているように見えた。
その胸から流れ出る血は、すでに勢いを失っている。
男は凄まじい形相でこちら——赤髪の男が手にした聖咎の剣(インドルガンツィア)を見つめた。血に濡れた剣は、二人を戻れない未来へと誘ってゆくのだった……。
天界と堕界を分かつ混沌(カオス)の大地、アルカーナ大陸。その地で、赤髪の黒印騎士(シュワルツ・リッター)ジークはある男を追っていた。名をドラクロワ。かつて理想を掲げ合い、共に戦った友。だが、今は倒すべき相手。二人の間に一体何が? その決着とは?
一途ゆえに切ない者たちの戦いが今始まる! 消せない絆を賭けた、大軍勢バトル・ファンタジー!! 招け、《軍勢(レギオン)》!!!(カバー折り返しより)
このシリーズ、時系列が分からなくてどこから読んだらいいものかと悩んだんだが、完結してるっぽい無印を読んでみた。
ジーク、ドラクロワ、シーラの悲劇の前提があって、物語はドラクロワを追うものとなっている。回想が挟まるのでその辺りちょっとしんどかった。本当にアニメとかの『回想』みたいな書き方だったので。
物語はとっても熱かった! ノヴィアの事情が簡単に書かれているだけなので、多分数字の巻に入っているんだろうと思っている。ジークの過去に焦点が当たっているので、ジークという人物がどういう人物かよくわかるものだったし、これはジークの物語だったんじゃないかなあ。ジークと、ドラクロワと、シーラ。ラスト良かった。ベタと言われても良かった。ジークが過去から続く現在に囚われていたのだから、現在から続く未来に何を見出すかというのももっと見たかった気がする。
とても面白かった!
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「おくりびと」見ました。とても良かった。
ちょうど話題になる少し前くらいに祖母が亡くなったので、納棺の儀を私も見たわけですが、あれは簡単には出来ないと家族で話題になりました。作品は舞台が山形だからか、お家で納棺をするんですね。うちは斎場でやりました。水が流れるお風呂みたいなのに遺体を寝かせて、シャワーで綺麗にして。場所によって違うんでしょうか。
映画は、分かりやすい暗示、比喩というのか、こういうものを示しているのかなと思うところが色々ありました。未来があるような若者が出てこないのは意図的だったのかそれがちょっと気になる。出てきても子どもだったから。終わり方もタイトルを表したものだと思いました。終わっちゃったとも思ったけれど納得もした。映画で描いたのは「おくりびと」である、みたいな。
とても良い映画でした!
記事作成リスト
3/5「盗神伝2」
3/7「盗神伝3」
3/8「春のオルガン」
3/8「黄金旋律」
3/9「カーリー~黄金の尖塔の国とあひると小公女~」
3/9「秘密の花園」
3/11「ディアナ・ディア・ディアス」
3/12「崖の館」
3/13「天の階 竜天女伝」
3/14「翔佯の花嫁 片月放浪」
3/15「死神姫の再婚 -腹ぺこ道化と玩具の兵隊-」
3/17「死神姫の再婚 -私の可愛い王子様-」
3/18「マギの魔法使い―エメラルドは逃亡中!」
3/19「鳳挙の花嫁」
3/19「アダルシャンの花嫁」
3/24「カオス レギオン 聖戦軍魔篇」
3/25「玄天の花嫁 嬌鳥待望」
3/28「孤峰の花嫁 霞彩包懐」
3/28「青嵐の花嫁 栄冠翔破」
三月分は以上。
三月分は以上。

最強の誉れ高いカストリア帝国を、新興のアダルシャン王国が破った。予想を超えた幕切れに周辺諸国が騒然となる中、アダルシャン王弟にして常勝の英雄アレクシードのもとへ、和睦条件の政略結婚話が舞い込んできた。なんと花嫁ユスティニアは、先日まで対戦国だった大カストリア帝国の第6皇女。ところがこの姫君、まだたったの10歳で……!?
読者支持率No.1! 第2回角川ビーンズ小説賞〈読者賞〉受賞作!!(裏表紙より)
挿絵が苦手で読みたいなと思いながら避けてたのですが、最近政略結婚ものづいているので、読んでみようと手に取りました。
二十歳の普通の青年なアレクシード。妾腹ということで味方は少ない。政治は少し苦手で口もうまくない。ところが、彼は、とても子どもには優しいという……。ユスティニア登場のシーンの優しさ、滑らかな喋りは、どうしたお前!? という、彼の不器用さを払拭するくらい爽やかで王子様で、思わずにやにやしてしまいました。でも一転して、ユスティニアはアレクシードに敵意を持っていて、という王道。これがベタだけれど、ユスティニアの性格がよすぎてかわいくてとてもいい。
少女小説な一面もありつつ世界の中での政治も書かれていたりして面白かった。こんな小難しいこと考えられないよ! すごいな!