読んだ本とか、漫画とか、映画とか、色々
夏が終わり、秋。学校は学園祭のシーズンを迎え、やがて新太や日代たちは自分たちの進路を決める時期がやってくる。リライフ被験者の新太は卒業とともに大人に戻り、友人たちの記憶から消えることが決まっていた。そしてもう一人の被験者もまた、新太がそうであると推測しつつも、実験の取り決めで事情を話せずにいた……。
完結編。リライフ実験の結果、大人たちは生きる希望を取り戻すことができるのか。
もうめちゃくちゃ面白かった。大人がもう一度学生をやる楽しさ、そして変わらない青春の楽しさが眩しくて眩しくて。新太にはみんながいてよかったけれど、みんなにも、社会人になって心が折れた経験から後悔しないようアドバイスできる彼の存在があってよかったと思う。色々なものを取り戻せたのは新太だけじゃなく、夜明や小野屋も、この実験に関われて本当によかった。よかった……。
そして助けられた新太がその経験を隠さず、次にその希望を差し伸べるの、ベタだけととてもよかった。日代さんと幸せになれよ!
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「腐女子、うっかりゲイに告る。」
高校生の安藤純は、同性の恋人がいる同性愛者。心の拠り所は、チャットで知り合った同じくゲイのファーレンハイトだ。ある日本屋でBL漫画を買っているクラスメイトの三浦紗枝を目撃したことで、彼女に意識され、やがて好意を抱かれるようになる。普通が欲しい純は彼女の告白を受け入れ、交際が始まるが……。
性的マイノリティを描くドラマ。原作は未読。
見ていて苦しくて、十代って、マイノリティってこんな風に生きているんだと思うと、あらゆる壁をぶん殴っていきたくなってしまう。狭い世界、ここでなくちゃ生きていけないわけではないのに、それでも外側には無理解が広がっているの、誰のせいなんだって叫びたくなる。
同性愛者が異性と付き合ったり結婚したりするの、本人も周りも辛い。そうしてしまう、そうしなければならないと思ってしまう強制力が世の中に蔓延しているんだろうな……。劇中でアウティングが発生しているのがまたきつい。大人の不在も、誰も助けてくれない証明のようでしんどい。
でもその結果、問いを投げかけられた三浦さんや亮平がそれぞれ答えを出して行動したこと、とても尊くて泣いてしまった。その後に続く生徒たちは同調して流されただけかもしれないけれど、少なくともこの二人に関しては誰に答えを強制されるわけでもなく、純の個性を大事にしたいと決めて行動したんだもんな。
高校生の安藤純は、同性の恋人がいる同性愛者。心の拠り所は、チャットで知り合った同じくゲイのファーレンハイトだ。ある日本屋でBL漫画を買っているクラスメイトの三浦紗枝を目撃したことで、彼女に意識され、やがて好意を抱かれるようになる。普通が欲しい純は彼女の告白を受け入れ、交際が始まるが……。
性的マイノリティを描くドラマ。原作は未読。
見ていて苦しくて、十代って、マイノリティってこんな風に生きているんだと思うと、あらゆる壁をぶん殴っていきたくなってしまう。狭い世界、ここでなくちゃ生きていけないわけではないのに、それでも外側には無理解が広がっているの、誰のせいなんだって叫びたくなる。
同性愛者が異性と付き合ったり結婚したりするの、本人も周りも辛い。そうしてしまう、そうしなければならないと思ってしまう強制力が世の中に蔓延しているんだろうな……。劇中でアウティングが発生しているのがまたきつい。大人の不在も、誰も助けてくれない証明のようでしんどい。
でもその結果、問いを投げかけられた三浦さんや亮平がそれぞれ答えを出して行動したこと、とても尊くて泣いてしまった。その後に続く生徒たちは同調して流されただけかもしれないけれど、少なくともこの二人に関しては誰に答えを強制されるわけでもなく、純の個性を大事にしたいと決めて行動したんだもんな。
19世紀末、ロンドンの画廊で展示されたルーベンス未発表の「真作」。エディスはその絵に目を奪われるが、見知らぬ美貌の青年は「贋作」と断言した。数日後に画廊を再訪したエディスは、突如色彩が反転した世界に閉じ込められ、絵の中から現れた異形の怪物に襲われる。間一髪のところを救ってくれたのは、サミュエルと名乗った先日の青年だった。贋作に宿りし悪魔を祓え——少女×人外の麗しきコンビが謎に挑む冒険活劇、開幕!(裏表紙より)
私たちの大好きなヴィクトリアンとゴシックとオカルトを詰め込みました!!! という作者さんの全力の笑顔が見えるようだ笑
絵の贋作に秘められたものを暴いてしまうエディスと、絵によって引き込まれた謎の世界で異形と戦う謎めいた青年サミュエル。にせものと寂しさで繋がった男女が不可思議な存在が仕掛ける戦いに挑む。最初謎解きかと思ったらどんどんオカルト方面に転がっていって、19世紀末という時代の混沌さを象徴しているかのよう。
前半はそんな風にして、絵画に描かれたものを読み解く現実感が強いんですが、後半、ラリーとの戦いが進むにつれて全体的に曖昧になっていくのが読んでいてかなり戸惑いました。
でもしかし、サミュエルの正体には驚いたなあ。どこで何がそうなったのかめちゃくちゃ気になる。
『どうしようもなくつらくて苦しい時、傷つき、疲れて、もうこの夜を乗り越えられそうにない……。そんな時に、あなたの心がほんの少しだけでも楽になることを願って。』(裏表紙より)
「死にたい」「消えたい」と思ったとき。どうする、どうしたらいい、どうしよう、という話を作家や医師、芸能人などが語る短いエッセイをたくさん収録したもの。
やっぱりみんな死んでしまいたいと思ったことがあって、でもそのきっかけを得ることなくなんとか生きている人たちなんだな。そしてそういう人たちが一線を超えないよう働きかける人たちの存在がある。
やっぱり春名風花さんの書いたものが印象的だったなあ。この本、2020年11月のもので、春名さんが裁判を終えた後の話が書いてある。毎日が死と隣り合わせだった気がする、と書きながらも、毅然と、間違っている方が悪いと主張し続けた春名さんは強い。社会におけるいじめで、いじめた方が悪いのにどうしていじめられた方が逃げなきゃいけないの? という不公平なところと戦ったようにも思えて、勇気をもらえた気がする。でも戦う選択をできる人が多くないという事実が悲しい。
ドラマ「コウノドリ」の医療監修を手掛けた医師が、小中高生にNICUのことや妊娠、出産、新生児について伝える授業を一冊の本にまとめたもの。
本そのものはそれほど分厚くなく、文章も平易で優しく、中高生なら教養として読むのにいいんじゃないかな、と思える本でした。
ただ成人してそこそこ経っている私が読むと、医療現場の忙しなさや、障害を抱えたお子さんを持つ親御さんたちの辛さをだいぶと薄めているなという印象で。家族として過ごせて幸せでした、だけじゃないと思うんですよね。誰もがそう思えるわけじゃないだろうって。医療従事者の皆さんも本当に毎日大変だろうし。
ただ、小さな命を守りたい、生かしたいという気持ちで医療に取り組んでくださる方々には本当に頭が下がります。こういう人たちがいるから私たちは望む人生を生きられるんだな。
辞めたくても辞められない労働者に救いを
人手不足、長時間労働、残業代未払い…労働環境はますます悪化し、心身ともに疲れ果てる人、辞意を伝えても引き止めにあう人、さらなる過酷なパワハラにあう人など「辞める」を許さない職場が多い。働く人やその家族が健康を損なうこともある。そんなときの最後の手段が「退職代行」である。どうすればスムーズに退職できるのか、退職するときには何に気をつけると無理なく次の職場に移れるのか。事例を踏まえ、詳しく紹介する一冊。(裏表紙より)
退職代行のことってよく知らないな、と思って読みました。
退職代行の中でも弁護士が担当する正規のものと、弁護士でない人が担当するものとがあり、後者は弁護士資格が持たないのでトラブルも多い。なるほどなー安易にネットで検索して上がってきたものを使わないように、ということですね。正規は正規なだけに高額になるけれど「こうしたい」というのをちゃんと遂行してくれるのは困っている人にはありがたいだろうな。
2012年7月。中学一年生の未来は、弟の悠貴を連れてお台場に来ていた。両親は仕事で忙しくすれ違っていがみあい、弟は空気を読んで仲を取り持とうとするいい子で、未来自身は何かとイライラしている。弟のお守りなんてまっぴらだ、そんな風に思っていたところ、地震が起き、東京は壊滅状態となる。はぐれた弟を探すのを手伝ってくれたバイク便のライダー、日下部真理に助けられ、未来と悠貴は大震災に見舞われた東京で自宅に帰ろうとするが……。
震災をテーマにした作品。もし大震災が起こったら、と見た人に考えてほしいんだろうな、という内容で、見ていて辛くもありましたが、学ばなくてはならないんだなと気持ちを引き締めたりなどして。こんな風に日常が崩壊するんだろうな……。
危機的状況下の人間の身勝手さ、不親切さは仕方がないと思いつつもやっぱりきつい。こんな子どもに、と思うし、思いやりのなさがひどい状況を現していて苦しい。そしてそんな状況でも未来と悠貴を助け、一緒に帰ろうとしてくれた真理さんの懐の深さ。だいぶと拗ねていた未来を放っておかず、見守りながら成長を促してくれたから、未来は成長してちゃんと帰ることができたんだよな。
姉弟の絆が深まっていくのが話を進めるごとに感じられていただけに、その展開は嘘だろ……となりました。いやでも、絶対こういう状況になる人がいるんだよな。後から大事になるんだって、大丈夫だって思っちゃだめなんだよ。
学びを感じる作品だった。
弁護士の筧史朗は年齢の割にしゅっとしているイケメンだが、毎日スーパーを周り、特売の食材でいつも手の込んだ料理を作っている。同居している矢吹賢二は美容師で、人当たりはいいがちょっと無駄遣いが多い。両親と距離を縮めた史朗のエピソードのその後を描くスペシャルドラマ。
実写化してとても嬉しかったドラマの、本編のその後のスペシャルドラマ、全三話。テーマはお金と時間。それなりの歳のため、老後のために生活費を切り詰めてこつこつ貯金に精を出すか、特に気にせず好きに使うか、相手を喜ばせたいからと思いっきり使うのか。
でも見ていていいなあと思ったのは一緒にご飯食べたいっていう気持ちだなあ。めちゃくちゃ忙しい中、史朗がごめんって言いながら賢二の作り置きのごはんをちゃんと食べて仕事に戻っていくところとか、いややっぱり一緒に食べるってその時間を大事にすることとか。いいなあ、相手のこと好きなんだなあと思ってすごくよかった。
夏のある日、二人の少年がリサの通う学校に転校してきた。同じ頃、二人の若者が犯行声明を出していた通りに都庁が爆破テロに遭う。偶然居合わせたリサは、その犯人たちの手を取ることに決めた。九重新と久見冬二、彼らに関わることで世界が変わることを期待して。
めちゃくちゃ好みの作品でした。実験体だった二人の天才少年による復習。隠された国家の陰謀。彼らを追うはぐれ者の刑事。そしてそんな事件に巻き込まれることになった鬱屈した少女。この組み合わせで悲しく切ない結末に至るのは予想できるわけで。一夏の冒険的な始まりもまた別れを予期させて、とても良い。少年少女の犯罪が絡む物語に特有の連帯感っていいよなあ。
大人が追い詰めてくる感、そしてはぐれ者の刑事が一番彼らを理解しようとして周囲と反発を起こし、というのも切ない。柴崎とリサの最後の会話が、なんだかじわっときました。
とある事情で会社を三ヶ月で退職し、仕事を探しながらアルバイトで食いつなぐ海崎新太は、ある日突然リライフ研究所の職員を名乗る夜明了に、リライフ検証実験の被験者にならないかと持ちかけられる。薬を服用した新太は高校生に戻り、真実を隠したまま二度目の高校生活をスタートさせる。しかし身体能力は本来の年齢のまま、失敗が続くが、やがて多くのクラスメートと交流を持つようになり……。
あんまり期待せずにぼーっと見ていたら、予想外に面白くて前のめり。なんだなんだなんだ、この甘酸っぱくてちょっとほろ苦い青春の物語は! もう一度青春して、失われたものや傷ついた心を癒す物語、最高じゃないか!
本当は27歳の新太は実際はちゃんと人生経験もあり後悔もあり、という大人で、本当の高校生たちに大切なものを大切にするよう、後悔することのない日々を送れるよう、心の底で思っているんだろうな。言動の端々やアドバイスから人柄の良さが滲み出ている。そして素直な高校生たちは一生懸命に友人や部活や恋を大事にする。
研究員で同じく高校生をやっている夜明と小野屋もそんな彼ら彼女らの様子を見て、社会人として生きていく上で疲弊した心や後悔を少しずつ癒されていくのがいいなあ。海崎さんでよかった、と頻繁に言うようになる後半の展開、新太に期待をかけすぎな気もするけれどなんかちょっと泣けてしまった。