読んだ本とか、漫画とか、映画とか、色々
まもりと葉二は婚約者となった。同時に葉二は仕事のため神戸に、まもりは大学卒業まで関東で暮らす遠距離恋愛に!
これまでみたいに一緒にご飯を食べられない分、食べたものを報告しあったりしましょうね……って、さっそくトラブル発生ですか!?
両家の顔合わせをきっかけに、急ピッチで結婚式準備や卒論、就職準備をするまもりは大わらわ。けれど、神戸で過ごす葉二にはその焦りや悩みが上手く伝わらない。
さらには、葉二の自宅とつながっているはずのビデオ通話に、見知らぬ女性が映り込み——!?(裏表紙より)
ご結婚おめでとうございます!
婚約して遠距離中の二人が入籍するまでの話。両家の顔合わせ、やるつもりのなかった結婚式の準備とすれ違い、卒業式と入籍。いやあ一巻からを思うと感慨深い。
周りの言い分に合わせて自らを削ってしまうまもりと、大人ゆえにそうした諸々をスルーしつつ仕事のように片付けてしまえる葉二と。っていうか亜潟さんの場合、絶対にブラックに勤めた経験からか他人の言うことをほどほどにしか受け取らないようになってますよね……? まあそれが処世術なんでしょうけれど。だからまもりの辛さを察して、ちゃんと駆けつけて、不器用ながらも泣かせてくれたのは、彼の変化も感じられて嬉しかったです。
次は最終巻。社会人一年目、夫婦一年目のまもりがどうなるか、楽しみにしています!
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その「呪い」は26年前、ある「善意」から生まれた——。
1998年、春。夜見山北中学に転校してきた榊原恒一(15歳)は、何かに怯えているようなクラスの雰囲気に違和感を覚える。不思議な存在感を放つ美少女ミサキ・メイに惹かれ、接触を試みる恒一だが、いっそう謎は深まるばかり。そんな中、クラス委員長の桜木ゆかりが凄惨な死を遂げた!
この“世界”ではいったい、何が起こっているのか?
秘密を探るべく動きはじめた恒一を、さらなる謎と恐怖が待ち受ける……。
気をつけて。もう、始まってるかもしれない。(帯より)
アニメの方を先に見ていたので誰が「もう一人」なのかはわかっていたのですが、なるほどこれは普通に読んでいたら違和感を抱いても「もう一人」のことがわからないかもしれない。
原作は恒一と鳴のやりとりが多く、クラスメートとの関わりは薄め。世界から切り離されたような少年少女のやりとりが、なんとなく、寂しくて切ない。
最後、合宿所に行くまでの展開はお見事でした。いやあ絶対ここで惨劇が起こるよねっていう閉ざされた場所にちゃんと連れて行くんだもの。クラスメートへの思い入れがあんまりない分、恐怖感は薄かったですが、どんどん脱落していく様は呪いの感染という感じでぞくぞくしました。
仙娥の罠にはまり、皇后の地位を剥奪された小玉。綵とともに後宮最下層の冷宮に送られ、誰もが小玉の過酷な未来を予想した。
しかし意外にも、小玉は生き生きと下働きに励みはじめる。さらに冷宮での生活で、小玉は走り続けていた自分を見つめ直す、凪のような時間を得ていた。
その一方、珍しく文林が真桂のもとを訪れる。文林が真桂に持ちかけたのは、小玉救出のための悪あがきのような一手だった。
本人ですら死を覚悟した環境の中、小玉が助かる道は果たしてあるのか——。(裏表紙より)
皇后の位を剥奪された小玉。したがって文林とは離縁し、二人の部下たちとともに最下層の冷宮に送られる。
あらすじほど生き生きしているわけではないですが、生来の強さと、味方たちが手を回してくれたおかげで、難なく切り抜ける。小玉自身はほとんど動いておらず、過去へと思いが向いてしまうのは、やっぱり彼女も歳をとったということなのかもしれません。
一方、後宮の状況はめまぐるしい。仙娥の結末があれって、すごく中華風後宮の闇を感じました。この状況で、小玉は今後どうするんだろうな。ラストシーン、読んでいた私もちょっと衝撃でした。
二度と、戻ること叶わぬはずの異世界デルフィニア。だがこの国の未曾有の危機が、リィを再びこの大地に呼び寄せた。待ちわびた王妃の降臨。熱狂する人々。覆る劣勢。大勝利の後、凱旋した王妃は首都コーラルに五日間だけ滞在する——。
『紅蓮の夢』で語られなかった短くも濃密な日々が綴られた短篇連作集。(裏表紙より)
別名弁当箱の全集に収録されていた、リィとウォルたちの再会の物語『紅蓮の夢』の裏話的な短編集。
リィに会ったお子様たちの反応を描く「西離宮の灯り」。
アランナがある人から手紙を受け取った「ヴァンツァーの手紙」。
次期ベルミンスター公となるステファンの話、ベノアのジルとアビー夫妻の近況を知れる「リュミエント卿の葛藤」。
コーラルの変化と聖職者たちの苦悩「コーラルの十年」。
タイトル通りの「ジャンペール家の団欒」「ドラ伯爵家の騒動」「サヴォア公爵家の事件」。
他国の王女と美しい彼との出会い「ロッテと薔薇の精」。
愛妾の座に居続けるポーラを実質的な王妃にするための「ポーラの戴冠式」。
彼は何故あのときあそこにやってきたのか?「来世の約束」。
生まれたばかりの赤子を抱えて、王は王妃の肖像を見上げる「新たなる日々」。
「小説BOC」に連載されたものに新しい話を二つ加えたもの。デルフィニアの物語はこれにておしまい、でしょうか。彼らのその後がわかって嬉しくて、楽しく読んだ反面、もしリィたちがここに降り立つときはもう彼らはいない時代なんだろうなという予感もあって寂しい。
とても好きだったのは「ロッテと薔薇の精」とそのエピソードに続く「ポーラの戴冠式」。集大成って感じのシーンで、とてもとても楽しかったです。
14歳で作家デビューした過去があり、今もなお文学少女気取りの栞子は、世間知らずな真実子の憧れの先輩。二人の関係にやたらイラついてしまう美人で頑張り屋の美里は、栞子の恋人である大学教授に一目惚れされてしまう――。名門女子大を舞台に、プライドを持て余した女性たちの嫉妬心と優越感が行き着く先を描いた、胸に突き刺さる成長小説。(裏表紙より)
未だ文学少女気取りで自分が特別であるというようにしか振る舞えない栞子。入院生活が長かったため世間知らずで己の立ち位置を知らないでいる真実子。上手く立ち回るために努力を重ね、目標に向かって突き進む美里。女子大生という、少女のような大人のような曖昧な年齢の彼女たち。それぞれの視点でものを考えると、見える世界が全然違うことに気付かされて、うわあ……と思う。なのに、めちゃくちゃ面白い。
特に嫌な役としての栞子の描き方がすごい。少しでも努力して、他人より優位に立とうなんて考えなければ、きっと美里のように自立できたはずなのに。だから二人は反発し合うんだろうなあ。結局、彼女は男にちやほやされたいという思いだけでゆっくり転落していく。
そんな彼女をアウトローに感じて憧れていた真実子は、一気にスターダムを駆け上がる。病弱という点はあれど、生まれも育ちも恵まれ、素直な性格から才能すら秘めていた彼女に嫉妬する人も多そうだけれど、そうならないのは人徳なのかなあ。けれど最後、彼女もだいぶと業界に揉まれて、しっかり意見を伝えられるようになっていたのは、爽快でもあり、ちょっと怖くもありました。彼女は自分が強者であると知っているんだな……という。
女子大生の倉橋有里は、結婚式のビデオのダビングをしてほしいと友人の夏美に頼まれた。だがそのことで、偶然手に入れた呪いのビデオを夏美が見てしまう。一方、呪いの家の向かいに引っ越してきた女子高生の高木鈴花は、家に入ったことで両親が犠牲となり自らも呪われてしまう。彼女らと救うべく霊能者の常盤と助手の珠緒は、呪いには呪いをぶつけるという方法を用いようとし……。
どっちが強いか映画で決めようぜ! みたいな若干お祭り感のあるホラー映画。十代でも怪談系が得意なら楽しく見られそう。女の子たちが結構きゃーきゃー叫んで賑やかなので、びっくりさせられるところはあるものの恐怖がにじり寄っている感じはあまりありません。みんなすごくよく動くし。その前の日に「残穢」を見ていたので、ホラーでもこんなにテイストが違うんだなあ、と面白く感じました。
結局人間の浅はかな考えでは、呪いや怨念なんてものを封じることはできないってことでしょうね。
嵐の翌日、デヴィットは息子のビリーを連れ、隣人のブレントに頼まれて街まで車を出した。スーパーで買い物をしていた彼らだったが、何故か店内は停電。やがてサイレンの音が鳴り響き、街は霧に包まれる。霧の中から店内に逃げ込んできた男は、霧の中に何かいると告げ、客たちは全員スーパーに立てこもる。だが外に出るべきだという意見や、店内に残るべきだなどと意見が衝突し……。
後味が悪い。最高。象徴的で好きなタイプの作品だった。
絶体絶命の状況で大勢と立てこもり、息子の命を脅かされる父親。狂信者たちとの争い。外の世界の脅威。果たして父子はサバイブできるのか。「起こってほしくない」ことが起こるのはさすがです。そして人間関係の描き方がえげつない。この状況、絶対不幸な出来事しか起こらないやつー……。
やっぱりラスト15分がすごい。希望を抱いて走り出したにも関わらず、諦めてしまった者は報いを受ける。そんな象徴のようなラストだった。どんな危険も顧みずに突き進む者、あるいは狂信的に信仰する者は、信じるという点でご加護があるんだろうなあ。さすがにエンドロールが流れたときは呆然としましたが、面白かったです……気軽に言えないけれど……。
小説家の私は、怪奇系の雑誌に連載を持っており、読者から届くその手の話を元に作品を作っていた。熱心なファンと手紙を交換する中で、私は背後からさー、さー、と何かが掃くような音が聞こえる部屋があるという話を聞く。それはやがて意外な形で繋がっていき……。
小野不由美さんの『残穢』が原作。映像にするとまた別の怖さがある。暗い部屋って、映像であんまり見たくないなって思ってしまった。怖いから。
原作を読んだときにも思ったんですが、調べ始めると連鎖的に広がっていくの、見えないものの意図を感じてめっちゃ怖い。そうやって導かれていることってたくさんあると思うんですよね。だいたいはいいことなんだけれども、こういう呪いの存在って本当にあると思います。
警視庁の現代犯罪対策本部準備室の警部補・加藤春は、部下の神戸大助の指導に当たることになった。だが神戸は大富豪、捜査でもなんでも金の力で物を言わせるため、警官という仕事に誇りを持っている加藤とそりが合わない。だが仕事をしていくうちにお互いを知るようになって変化が……。
筒井康隆『富豪刑事』を原案に、舞台を現代に、大富豪要素にIT技術等を投入して、今風に仕上げた刑事もの。
いろんな要素がおしゃれで、最初は噛み合わないコンビがお互いを知るようになって絆を深める展開に、個性豊かなサブキャラクターや事件、そして神戸に隠された薄暗い過去、というお約束要素込み込みで、面白かったです。お金の力でなんでもできるけれど人との絆がものを言うところがあるのは、やっぱり好き。
メイン級の登場人物が皆さんとってもいい声なのもよかったなあ。OPもEDもおしゃれだった。