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夜の写本師
右手に月石、左手に黒曜石、口のなかに真珠。三つの品をもって生まれてきたカリュドウ。だが、育ての親エイリャが殺されるのを目の当たりにしたことで、彼の運命は一変する。女を殺しては魔法の力を奪う呪われた大魔道師アンジスト。月の巫女、闇の魔女、海の娘、アンジストに殺された三人の魔女の運命が、数千年の時をへてカリュドウの運命とまじわる。エイリャの仇をうつべく、カリュドウは魔法とは異なった奇妙な力をあやつる“夜の写本師”としての修業をつむが……。(カバー折り返しより)

月石、黒曜石、真珠を手にして生まれてきたカリュドウは、魔道師エイリャに引き取られて成長する。本を読み尽くした幸せな少年期だったが、世界最強の魔道師アンジストにエイリャと彼女の後継者になるであろう少女を目の前で殺される。逃亡したカリュドウはパドゥキアで写本師の仕事を始める。
魔法の種類の中に本による術がある世界。読み進めながら、闇のきらめきを感じる作品で、語句の選び方や並び方がとても美しくて、すごくいいファンタジーを読んだという充実感を覚えました。
テーマに女性性があるんですが、男と比較してどうこうというわけでなく、男がどうしても求めてやまない力として描かれているのがすごく好き。女としての力を奪われたから男として生まれるっていうところも、その逆もあるっていうことが、大きな世界を感じさせる。
そしてまた魔道と写本っていうのがとても美しい。その地の風景と道具が間近に迫ってくる感じがしてすごくよかった。
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Author:月子
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