読んだ本とか、漫画とか、映画とか、色々
両親と弟が鬼籍に入り、かつて花街だったという古い町並みにある町屋の実家に戻ってきた貴樹。彼が書斎として定めた部屋の書棚に立てかけられた鏡をずらしてみると、柱と壁の深い隙間の向こうに芸妓のような三味線を抱えて坐る儚げな着物姿の人影が見えた……(「芙蓉忌」)。夕暮れの闇が迫る中、背戸に立つ袴を着た鬼が、逃げようとする佐代の肩を掴み——(「関守」)。城下町の情緒が漂う怪談、全6篇。解説・折守きょうや(裏表紙より)
第1巻を読んで家と人にまつわる怪異のお話がすごく面白くて、絶対続きを読むぞと思っていたこの作品。おりよく2巻が文庫落ちしたのでぞくぞくしながら読みました。
実家に戻り、自殺した弟の部屋からある女が見えることに気付いた貴樹。まるで取り憑かれたように女を眺めてしまう「芙蓉忌」。
あるわらべ歌が怖い、それは何故なのか。記憶を遡った佐代は幼き日、何者かに出会ったことを思い出す「関守」。
息子を思い、愛猫の死と祖母の病状を伝えられない俊弘。だがある日息子は猫が戻ってきたというが……。「まつとし聞かば」。
古い城下町、古民家をリフォームして暮らすことを楽しむ育だが、何故かいつも女の囁き声にうなされる。いったい何が原因なのか。「魂やどりて」。
子どもの頃幼なじみが水の事故にあったという婚約者が、自分の罪を告白した。死んだその子が周囲を祟り、次は自分だと言っていると、藁にもすがる思いで馴染みの職人に相談したところ……「水の声」
諍う両親の声を避けて押し入れに寝床を作った樹。押し入れには屋根裏へ上がる場所があり、誰かが作った場所のよう。そこに現れる謎めいた幽霊の正体は?「まさくに」。
どれも怖い話ですが、一番気持ち悪いというか、ああ自分もやってしまいそうで怖いなと思ったのが「魂やどりて」。古民家修繕を趣味として暮らす女性が、古い道具を再利用、と聞こえはいいけれど粗末に扱ったせいで怪異に見舞われる内容で、古いものと素材は別物として考えなければならないな、と身に染みたのでした。
どれも面白かった。3巻が出るようなので楽しみだ。
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