読んだ本とか、漫画とか、映画とか、色々
リィはその絵の前でぽかんと口を開けていた。横にはシェラもいたが、同じく困惑の表情である。
絵の題は『暁の天使』
「……ルーファだよな?」
「わたしにもそう見えるんですけど……この制作年代を見てください」
ありとあらゆる常識を無視して存在する人だが、三百年も前の絵にその顔が描かれているとなると、いくら何でも理解の範疇を超えてしまう。
三百年前に死んだ画家が残した遺書
《まだ見ぬ黄金と翠緑玉の君へ。
余は『暁の天使』を君に贈る》
絵を見上げて、誰が見ても天使と言うに違いない少年は大真面目に呟いた。
「このまま持って帰ったらだめかな?」
そして、この連邦の至宝は消失する。誰もが、緑に輝く瞳を脳裏に浮かべ、「もしや」と考え、そして——(裏表紙より)
人知を超えたチート登場人物たちゆえの話ですぐにストーリーは展開するんですが、これはシリーズの中でも好きなタイプの話でした。いや、嫌いな話はないんですけれども! オチが好きだこれ!
ルウを描いている三百年前の絵画。文化財級で、当時クーア財閥総帥だったケリーでも購入できなかった絵。しかし謎の遺言に記された《黄金と翠緑玉の君》であるリィはこの絵は自分のものだと主張する。だがその矢先、絵は何者かに盗まれてしまって、という話。ヴァレンタイン卿、父親の面目躍如の巻でもあります。
鈴木理華さんの絵じゃないとだめだなー! というのを強く感じた巻でもありました。最後の挿絵の美しさよ!
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