読んだ本とか、漫画とか、映画とか、色々
那須舞は飛魚中学校に通う本好きの14歳。
彼女の弱点は、英語読みしたときの自分の名前。
Mai Nasu=マイ・ナス=マイナス。
これって、最悪。
だからそれを吹き飛ばすくらい、明るくふるまってる。
そんな舞だから、つい日常的に人助けをしてしまいがち。
その日も、クラスメイトの唐突な頼みを断りきれず、不思議な伝説のある祠へ行き、ケガをしていた男子学生を助けるはめになる。
だが、それがすべてのはじまりだった……。
「未来を見た」と言う少年が口にした予言が、小さな町を震撼させ、悪意に満ちた事件を引き起こす。
予言は本当なのか?
いったい何が起きているのか?
途方に暮れながらも、舞は真相をつきとめようと奔走する。
少女の揺れ動く心をのびやかに描く、みずみずしい青春ミステリー。(カバー折り返しより)
文庫でも出ているのですが、私が読んだのは単行本。
自分の名前が大嫌い。マイナスな人間だと思われるのが嫌で、校則は堅苦しいほどに守り、人の頼みは断ることができず、自分はそういう役回りなんだと諦めている少女舞。みんなから遠巻きにされている、自分勝手で何にも考えていないような美人のクラスメート、茅香の頼みで、特に親しくもないのにタイムスリップの伝説が残る祠に行くと、そこに学校の先輩が倒れていた。彼の口にしたことが、街を大きく騒がせることに。
誰かを守ろうとする小さな嘘や、気持ちが、取り返しのつかない大きなものに発展していくところが一番恐かったです。舞はそういうところを「自分で決めなさい」という感じで突き放すのですが、それはそれで正しいのだけれどもちょっともぞもぞする。作中の犯人は罰せられてほしいというわけではないけれども、これが現実なんだと分かっているけれども……という気持ちになりました。
このお話、些細なエピソードに心当たりがありすぎる。クラスメートたちのぶしつけで子どもっぽいところを冷めた目で見ていたり、親を評価してみたり、大切なものを蔑ろにされて突然ぶちぎれたり、死んじゃおうかなと考えたり。
けれども少しずつ舞の世界が変わっていく感じが、いいなあと思ったりもして、子どもから大人への過程を踏んでいくところが分かり、マイナスがプラスへと変わっていくのが読んでいて嬉しかったです。
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