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“柊の僧兵”記 (徳間デュアル文庫)
少年ミルンにとって、生まれついての自分の白い肌は、うとましい以外のなにものでもなかった。〈白い子供〉——過酷な砂漠で生きる民たちの間で時折生まれる彼らは、体力的に劣る鬼っ子であり、悪しき伝承によって語られた忌むべき存在でしかなかったのだ。しかし、村が謎の侵略者に襲撃された時、なぜか生き残ったのは、ミルンと、やはり白い肌をもつ少女アジャーナだけだった。突然の破壊と惨殺。敵は何者だったのか、その目的は…。ふたりは真実を知るために、〈柊の僧兵〉を探す旅に出ることを決めた。(裏表紙より)

SFと少年成長物語。面白かった。〈柊の僧兵〉かっこよすぎだー! そして、ひ弱で泣き虫の少年が、己の力を知った時、力強く歩み出す様が眩い物語でした。「みんなとは違う」ことを、ここまであからさまに、強みに描いていても、見下すようなことがないのは、ミルンやアジャーナが本当に知恵者だからなのかもしれません。
侵略者たるネフトリアの正体については、さすが菅浩江さんといった風の、SFならではなグロテスクで危機感を覚える気味の悪いものたちだなあと思いました。時間は他人に使うのではなく自分が楽しむために費やすべき、という台詞が、とても恐ろしかった。
ラストの美しさは素敵だった。最初の方でこれが出た時、きっとキーになるんだと思っていたから、みんなが空を見上げている感じがとても嬉しかった。
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