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白竜の花嫁 紅の忌み姫と天の覇者 (一迅社文庫アイリス)
「君は綺麗だ。その紅い瞳も、肌も……」
婚礼を控え幸福の中にいた小国の姫、澄白は、国を護るため、竜に捧げられる“花嫁(いけにえ)”に選ばれてしまう。異なる形で国を護ろうとする兄の計略に従い、竜を殺すための呪をその身に刻み、嫁いだ澄白。しかし夫となった竜、シュトラールの優しさに触れ、次第に決心が揺らいでいく。竜を殺し許婚のもとに戻るか、竜を救うか——。美しい竜の青年に出会い、澄白が選んだ運命とは?

や、山城の国! 山城の国ー!! とあらすじを読んで拳を握る。これはファンにはうれしい国の名前! つながりがあるかもしれないと思うだけでとてもおいしいです。
周囲から忌まれる姫君が、世界を支える存在である竜に嫁がされるお話。式使いシリーズは設定上全体的にちょっと息苦しい印象でしたが、このお話はのびのびして、清らかで切なくてとても好きだ。竜(人間との意思疎通を得意としないもの、人間と同種ではないもの)と人間の交流というものを、優しくじれったく時々切なく描いているところがたまらなかったです。
シュトラールが男前すぎてしぬかと思った……。澄白に対してのアクションが種族のせいか何のてらいもなくて自然で、澄白の反応ににやにやしてしまう。
澄白が、姫君らしいのに一生懸命なところ、自分の本心を認めるところ、自分にできることをするところ、など永野さんの描かれるヒロインたちの中で、一番清廉な印象でした。自己犠牲ほど陶酔したところはなかった気がするし、澄白の場合、本当に自分にできることをやりつくそうとした上での選択、という感じだったので、私は彼女が物語のヒロインとしてとても好きだ。
異形のモノたちのバトルシーンがあって個人的にとてもたぎりました。
シュトラールがこれからどんな風に澄白と向き合っていくかという続きをぜひ読んでみたいです。澄白はシュトラールの《永久》になるのかなど、別の誰かのお話で描くのでもいいので、永野さんの描く竜シリーズをもっと読んでみたいと思いました。
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