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ハルと歩いた (児童書)
一年前に東京から引越してきた陽太は、亡くなった母の故郷・奈良で、小学校の卒業式をむかえた。仲のいい友だちもまだいないし、気になっている女の子には声をかけることもできない。父は仕事でいそがしいし、春休みは何をしてすごそう……と思いながら、川べでぼんやりしていると、とつぜんホームレスの男から、フレンチブルドッグをもらってしまった。「迷い犬らしい。飼い主を捜してやれよ」といって、男は姿を消してしまう。
犬だけでなく、動物を飼うこと自体が初めての陽太。とまどいながら、犬といっしょに、奈良の町を歩く日々が始まった。
犬がいるおかげで、さまざまな出会いがあった。気になっていた女の子久留實の、意外な素顔にふれたり、子どものころこの町で犬を飼っていたという母に、近づいた気がしたり……。そしてついに、もとの飼い主が見つかったとき……?
十二歳の春をみずみずしく描く、心に残る物語。(カバー折り返しより)

仕事を辞めた父が、亡くなった妻(母)の実家で暮らすというので、東京から奈良に引っ越してきた陽太。小学校を卒業したけれど、奈良には馴染めないし、木になる女の子はいるけれど友達はいない。そんなとき、ホームレスの男性からフレンチブルドッグを託され「飼い主を見つけてやってくれ」と言われる。
犬が飼いたくなる話だなあ! と思いました。作中のフレンチブルドッグが本当にかわいくてかわいくて。飼い主を探す、という目的のために散歩のシーンが多いのですが、常にいろんな顔を見せてくれるし、散歩の風景も人の姿も素敵で、ほんわかと優しい物語でした。
原発についてや、認知症、障害者、古い町に新しい建物を建てることなど、日常生活において切り離せない問題をさりげなく取り扱っているのも、なるほどなあと思いました。犬と友達になりたくなる素敵な作品でした。
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Author:月子
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