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「私、貴方のところに辿り着けて幸せです」
 ティナーシャの退位と結婚の日が迫るなか、周囲で怪しげな事件が頻発し始める。歴史を改竄する呪具エルテリアを奪取するため、ヴァルトにより巧妙に仕掛けられる罠。無数の歴史の記憶を持つ彼は、ついに自分と世界にまつわる真実を語り出す。
 消えては再構築される時間の果てに、オスカーが下す決断とは――。王と魔女の物語の終わりであり始まり。人の尊厳をかけた選択に向き合う完結巻!(裏表紙より)

長い物語の終わりと始まり。そして次の物語へ、という完結巻です。
正史なんてものが曖昧になるくらいの繰り返しだから名も無き物語なのだとしたらこんなに切ないことはない。繰り返しはとりあえず終わったけれど、どうしようもない寂しさとやるせなさが、もう、もう……!
一番泣いたのは真実を知ったティナーシャがトゥルダールが本当に美しい国だったことを追想するところ。レジスのような後継に国を託すことができる未来は、きっとティナーシャにとってオスカーの他に強く望むものだったんだろうなと思うと涙が止まらなかった。
ここまでくるとオスカーとティナーシャの魂や運命はずっとずっと、繰り返しややり直しという長い時間を経て密接に絡んでしまっていたんだなあ。王と魔女、呪いと祝福の象徴そのものだ。
二人の新しい物語が楽しみです。
とても素敵な物語でした。ありがとうございました!
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Author:月子
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