読んだ本とか、漫画とか、映画とか、色々
三年生になろうとしているある日、伊藤は言った。「津島、大丈夫か? チェロが、おとなしくなってる」。津島の懊悩をかえりみることなく、学校は、音楽エリート育成に力を入れ始めた。津島は、自らの未来に対する不安を胸に、チェロを弾き続ける。そして、運命の日が訪れた——。生きることの〈歓び〉と〈ままならなさ〉を歌い上げた青春音楽小説の金字塔、堂々完結!津島と伊藤の二十七年後を描いたスピンオフ短編「再会」を特別収録。〈解説・北上次郎〉
熱くも苦い青春、その三年間のお話だった。
サトルや彼らの若さや未熟さ、過ちを思い返すという形なので、それぞれが今はそれをきっちりと抱いた上で生きている、ということがわかるのがせめてもの救いかなあ。音楽を愛して、時間を捧げて、それでも自分は何になれるかわからないというのは、青春時代の(そしてそこから続く大人時代の)苦しみだよなあ。
金窪先生に謝罪できたことがいちばんほっとしたかな。先生はやはり大人で、きちんと怒ってきちんと受け入れ、そして激励できるんだなと思うと、こんなにできた人はいないという気がする。その頃のことをしっかり覚えているサトルの存在にも救われた。
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