読んだ本とか、漫画とか、映画とか、色々

ひょんなことから、英語の先生の家で書生として暮らすことになった探偵小説好きの少年。
癇癪もちで、世間知らず。その上、はた迷惑な癖をたくさんもつ先生の〈変人〉っぷりには辟易するが、居候生活は刺激でいっぱいだ。なんせ、先生のまわりには、先生以上の〈超変人〉と、奇妙奇天烈な事件があふれているのだから……。
夏目漱石の『吾輩は猫である』の物語世界がよみがえる、抱腹絶倒の連作ミステリー短編集。(カバー折り返しより)
連作ミステリー短編集は大好物。探偵役は書生の少年、パートナーは変人の先生。
こういう小説でコンビを組む場合、どちらかが率先して情報を集めて、もう一方が解決策を提示するというのが筋だと思うのだけれど、この小説はそのどちらも主人公一人でやってしまう。
でもこの主人公、どうにも格好よさが足りなくて、へたれな印象が拭えないなあ! 笑ってしまった。そして先生が変人すぎて愛しいです。「春風影裏に猫が家出する」で「あれ」を言った先生、すべてを持っていってそっぽを向いた先生の愛しいこと!
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小鳩君と小山内さんは、恋愛関係にも依存関係にもないが互恵関係にある高校一年生。きょうも二人は手に手を取って清く慎ましい小市民を目指す。それなのに、二人の前には頻繁に謎が現れる。名探偵面などして目立ちたくないのに、なぜか謎をを解く必要に迫られてしまう小鳩君は、果たしてあの小市民の星を掴み取ることができるのか? 新鋭が放つライトな探偵物語、文庫書き下ろし。(裏表紙より)
面白かった。創元推理文庫は優しいミステリーが読めるなあといつも思う。小市民を目指し慎ましく生きようとする少年少女、でもうまくいかなくて、というのがあらすじで、学生が向かうことの出来る有り触れた謎を解き明かしていくのがとてもいい。
しかしこの一冊を通して、最後に解き明かされる謎、これはもっと書き込めるのではないかなあと思ったけれど、一市民が立ち向かい、行うことができるのはこの書き方(本のスタイル)のようなものなのかなあと思うと納得。そういうのもミステリーとしてとても素敵だなあと思った! しかし小山内さんに何があったんだろう。
小鳩君はちょっと背が小さい少年っぽい顔で、小山内さんは少し明るいロング髪の普通体型の子かなあとか。健吾は黒髪短髪の大きめの少年ですっごく姿勢がいいと思う。妄想妄想。

アルバイト情報誌に載っている実験参加のバイトの時給一一二〇百円という数字が誤字か真実か、それぞれの思惑の元に集った十二人のアルバイターたち。不思議な地下空間で7日間の共同生活を強いられることになったが、部屋の〈玩具箱〉と呼ばれる箱には、何故か人を殺せる武器が入っていた。これはなんのための実験なのか、果たして無事に帰還することはできるのか。
密室殺人もの。読みやすい一冊だった。途中はただのパニックものなのかなと思っていたら、後半になっていきなり進みが速くなった。結城の変身ぶりはすごい。そして安東の金銭感覚麻痺っぷりはどうだ。
結構すいすい読めるのに、その実、結構ど暗いものがあるんではなかろうか。密室における疑心暗鬼、依存や心の逃亡、金銭感覚の麻痺とか。ラストそれぞれみんな戻って行ったけれど、最後まで人間の醜いところが書かれてたなと。
意外と須和名さんが活躍しなかった。須和名さんがどうも真賀田四季@S&Mシリーズに見えるなーと思っていたので余計に意外だった。

音と円田さんのミルリトン探偵局に、黒猫シンクのお土産によって、また新しい事件が。二つのパートが重なる、幸福な一冊。
前作は文庫本で貸して頂いたのが、今回はハードカバー。写真がいっぱいで綺麗。モノクロいいなあ。カラーも綺麗。
物語は前作同様、黒猫シンクの持ち帰るものから、音(おん)と円田さんが推理するというもの。推理といってもお話作りをすることなので、始終ほのぼのとして幸せな本だと思う。
音パートのひとつひとつ探していくような平和な日々もいいけれど、もうひとつのパート(勝手に物語パートと呼んでいる)の話も、つながりが見えて素敵だった。「ルーフトップ・パラダイス」を巡るお話になっていて、つながりというものにそそられる私としては大変幸せだった。
ちょっと登場する音楽を聞きたくなって父に聞いてみた。ら、ニール・ヤングは二枚だけ持っていて、「オンリー・ラブ・キャン・ブレイク・ユア・ハート」はなくて、ニール・ヤングよりもグループの(聞き取れなかった)方が父は好きらしい。なるほど。なんか、本から現実につなげていくのも幸せなことだなあと思うのでした。

