読んだ本とか、漫画とか、映画とか、色々

湖西の騒動は収まったものの、事後処理に追われる文林。隣国も怪しい動きを見せるなど、悩みは尽きない。
そんな疲れを癒やしてくれるのは、帳簿と不本意ながら小玉……と思ったら、「娘子の貞節に問題あり」!? 突如持ち上がった小玉の不義疑惑。紅霞宮を巻き込み蠢く陰謀——文林にないがしろにされた司馬淑妃の父親・司馬尚書の謀略か。それとも……。
推移を冷静に見つめる小玉は、ある夜文林のもとを訪れる。そして二人の関係にも変化が——。それぞれが出した答えとは!?(裏表紙より)
今回の戦いは後宮。女の戦いですが、次は血が流れる大きな戦いになりそうです。
ちょっと深酒が過ぎるようになった小玉。そのお酒が、後半になってあんなことになるとは思いませんでした。わーぜんぜんおめでたくなーい。むしろ不穏だー。とか思ってたらえらいことになってしまい。明らかに文林がずれているというのも分かり、小玉と文林の間に埋まらない断絶ができたことを自覚して、次巻という……。わあああもぞもぞするー!
PR

「わたし、気になります」
文化祭に出店するクラス制作の自主映画を観て千反田えるが呟いた。その映画のラストでは、廃屋の鍵のかかった密室で少年が腕を切り落とされ死んでいた。誰が彼を殺したのか? その方法は? だが、全てが明かされぬまま映画は尻切れとんぼで終わっていた。続きが気になる千反田は、仲間の折木奉太郎たちと共に結末探しに乗り出した! 大人気青春ミステリ、〈古典部〉シリーズ第2弾!(裏表紙より)
夏休みのある日、先輩である2年F組の文化祭用の映画を見せられ、途中になっているこの作品を完結させてほしい、と制作に携わった何人かに話を聞きながら推理する。
トリックとしては奉太郎が推理したようなことなのでは? と思ったのですが、それで終わらないのが日常系ミステリのいいところだなあと思いました。

異界の遊郭『華壇』で、自らの願いを叶える対価として人の抱える不安や痛みを癒す『華枕』として働くことをしいられる少女たち。
願い事を記憶を持たないまま華壇に迷いこんだ少女「タンポポ」はなしくずしで華枕として働くことになる。タンポポの世話係に選ばれた「キンモクセイ」は極めて美しい容姿と極めてひねくれた性格の持ち主で、タンポポはそんなキンモクセイと同衾することになり……。(裏表紙より)
あらすじからすると、遊郭で少女が働かされるんだ! という読み方を迫られている気がするんですが、実際は、添い寝して相手の夢の中に入り込み、原因を取り除くというお仕事をやっています。登場するのはみんな女の子ばかり。軽く百合です。
自らの願いを叶える代わりに、というわりに、そんな切羽詰まった悲壮感はなく、みんなそれぞれの仕事をしながら、共同生活を送っているという雰囲気。女子寮みたい? 部屋の領分で揉めるのかわいいなあ!
異界であっても、自分の居場所を探して、友達を作る、かわいい女の子たちの話でした。

読んだのは単行本。
2001年9月から2002年3月まで、国境なき医師団から医師として、シエラレオネに派遣された、トシこと山本敏晴さんの活動をまとめた本。日記というか、その日何が起こったかとか、自分がどんな仕事をやってきたかとか、そもそも派遣先の状況はとか、そういう内容です。とても読みやすくて興味深かった。
なんというか、文化の違いってここまであるのかとか、貧困って、教育って、と色々思うころがあって、まだまとまっていない。トイレに行った後、必ず手を洗うのは菌の媒介を防ぐためだという、そういう知識が浸透していないっていうところからそもそも始まっていて、けれどそれは、教育がきちんと行き届かなかったり、ゲリラがいたり内戦の恐れがあるっていうこともあって……。けれどその中で、山本さんは、医師としての仕事のほかに、現地の人たちに病院、診療所のスタッフとしての教育も施していく。
これは2002年の本だけれど、シエラレオネはその後どうなったのかな……と思ったら、そうだった、エボラ出血熱が蔓延したんだ……。でも、今は海外渡航の危険情報はレベル1になってるのね(2016年12月21日現在)。

少年達の未来を信じたい!
地雷で脚を失ったアデム、ゲリラに誘拐され兵士にされたターティ、目の前で友達を殺されたアブドゥヌール……。明日をも知れぬ毎日ですが、それでもみな、一日一日を懸命に生きています。(帯より)
2011年の本。戦争、地雷、ゲリラ、難民などを取り上げつつ、そうした状況にいる子どもたちのことがまとめられています。子ども向けの本だと思うのですが、もしこれを読む人が小学生や中学生で、自分と同じ歳くらい(八歳〜十二、三歳)くらいの子どもたちが、親がいなくなって同じような子と一緒に廃墟のような街に暮らしていたり、地雷で両足を失ったり、逃げている途中で親とはぐれたり、誘拐されてゲリラ少年兵になったり……というのを読んだら、たぶんすごく衝撃なのでは、と想像しました。
子どもたちの未来が守られる世界であってほしい。

関小玉——彼女は希代の天才と呼ばれた軍人でありながら、三十代にして突如皇后となった。綺羅星のような活躍で一国を照らし、後に神格化され、千年先まで名を残すことになった女性である。
しかし、永く語り継がれ武芸と子どもの守護神として愛されながらも、後宮に入る以前の彼女の記録は少ない。どのような家庭に生まれ、何故女性でありながら軍人の道を選んだのか。かつての部下である皇帝とはどのように出逢ったのか。
それでは、彼女の伝説のはじまりを語るとしよう——。(裏表紙より)
本編「紅霞後宮物語」から、少し前。軍人であり皇后であった彼女が、いかにしてそのようになったかを語る前日譚シリーズ。本巻では旦那の影はありませんが、本編にあった「兄の身代わりに軍に入った」がこの巻では書かれています。
……その片鱗はあるけど、小玉が普通の頑張る女の子で、すごくびっくりしました……(失礼)。こういう下積みがあるから、あんな女の人になるのねーと。前日譚も面白かったので、早く文林と出会って、皇后になるって決まった時の周囲の反応が見たいので、楽しみにしています。

地味な派遣社員の三智子は彼氏にフラれて落ち込み、食欲もなかった。そこへ雲の上の存在である黒川敦子部長、通称“アッコさん”から声がかかる。「一週間、ランチを取り替えっこしましょう」。気乗りがしない三智子だったが、アッコさんの不思議なランチコースを巡るうち、少しずつ変わっていく自分に気づく(表題作)。読むほどに心が弾んでくる魔法の四編。大人気の"ビタミン小説"をぜひご賞味ください。(裏表紙より)
地味で暗めな性格の派遣社員の女性が、バリキャリで活動的でちょっと怖い”アッコさん”とランチ交換したことから始まる、お昼ご飯小説。ご飯が美味しい! いいことが続く! 仕事も順調になった! という表題作なんですが……続く「夜食のアッコちゃん」で倒産したんかーい! という笑
三智子もアッコさんも、タイプは違うけれどそれぞれたくましくて、元気が出ました。
「夜の大捜査先生」と「ゆとりのビアガーデン」もいい話だった。面白かった!

明慧の葬儀も終わり、無情にも日常が戻ってきた。悲しみの冬が過ぎ、春が訪れようとする頃、文林は一冊の帳簿を小玉に示す。帳簿に不自然に出てくる「維山」という地名。それが鄒王の死、さらには明慧の死につながるものだと見た文林は、現地調査を小玉に託す。
小玉は皇后の行啓として維山に向かい、維山に入ると陳校尉として調査を開始するのだが、街の様子に違和感を感じて――?
――このままでは終わらせない。終わらせてなるものか。関小玉、伝説に残る覚悟の戦い。(裏表紙より)
明慧の死の原因となった、鄒王にまつわる陰謀の尻尾をつかんだ。目立たない地方に、皇后として(そして身代わりを立てた上で、自分は身分を偽って)向かった小玉。
小玉が相変わらず小玉で、軍を率いるところがめちゃくちゃかっこよかった。すごいところがすごーくあっさり書かれているのに面白い! そして、結構えぐいところをさらっと書かれているので、えぐられる……。
信仰、カルトといったものは、やっぱり強大な敵だよなあという感想を抱きつつ、ひとまず話はひと段落した様子。次は隣国との戦いか? 大目的も見えてきたので、ますますシリーズが楽しみです。……脱落する人がいっぱい出てきそうでひやひやしているんですけれどもね!

「なにがあっても、俺様がおまえを守ってやる」
男装の少女アイラが目覚めると、戦火の中、巨大な獣に助けられていた。家族も記憶もなくしてしまった彼女は、誰もが恐れる火焔獣キルと旅に出ることに。魔物憑きと言われる敵軍、不思議な美青年との出逢い。キルとの絆を深めながらも、アイラの行く手にはさまざまな謎と困難が立ちはだかる! そして訪れた運命的な禁断の愛とは——? 獣と少女のピュアな恋物語。(裏表紙より)
一冊で終わってなかったー! 完全に「二巻に続く!」で、消化不良です……。
気がついたら、火焔獣と呼ばれる高位の契約の獣に守られていたアイラ。謎の襲撃からなんとか逃げ出し、状況を整理すると、どうやらアイラの家族が、死ぬ間際に火焔獣キルを呼び出し、アイラと契約して守ってくれと託したらしい。魔物憑きと噂される伽俄流軍は、何故アイラの住む村を襲ったのか? 家族の仇と謎を解き明かしに、二人は旅立つ。
とにかく、もふもふ! もふもふ! 毛皮もふもふ! という内容です。あと俺様っぷりがすごい。子どもみたい……笑 俺様なのにうぶでメス(女の子)とも話したことがないキルと、ちょっとずれた感覚の男装少女アイラは、見ていて微笑ましくなるカップルです。

不世出の軍人と誉れ高い小玉が、かつての相棒で現皇帝・文林の願いで皇后となり、二年が過ぎた。
後宮では大規模な人員整理が行われ、多くの娘達が後宮を後にすることに。小玉は文林に新たな出会いをと、娘達と目通りの場を設けるのだが……。
「右から二番目の娘、名は」
謝月枝に目を留めた文林に、荒れる後宮。憤る取り巻き達。小玉は二人のもとに赴き皇后位の返還を表明するのだが、話はそれだけで済まないようで——?
戦火のあがる馮王家の城から、過去と運命が動き出す!(裏表紙より)
大きい敵の気配を感じつつ、身近な人が喪われる第三巻。
このシリーズ、あらすじから想像される話より、ちょっとずれた反応を小玉がするので、楽しいなあ。皇帝の寵愛を受けることになった新しい女が! という登場に、小玉はやったー!と喜びはする(本当の恋人を作ってあげようとする)んですが、小玉の言動は、これまで読んできたどのヒロインとも違う感じがする……笑 なんか、本当に心底いいことしてるって感じがある、ような。
小玉と文林の、話し言葉の切り替えが、話し方フェチとしてはすごーく好きです。あとちゃんと小玉が皇后やってるシーン! 勇ましいし、外さない感じがすごくいいなあ。そして裏側でいろいろ考えてるところも楽しい。
ここで味方がひとりいなくなるのかあああ。p202からは半泣きで読みました。次の世代に何を残せるのか、を見定めて行こうとしている物語なのかもしれない、とも思いました。
続きが出るのが楽しみです。