読んだ本とか、漫画とか、映画とか、色々
「ぬかるなよ、清明の孫」「孫、言うなっ!」
時は平安。13歳の昌浩は、稀代の陰陽師・安倍晴明の末の孫。
資質は素晴らしいのだが、まだまだ半人前。よき(?)相棒の、物の怪(愛称もっくん)にからかわれながら、修行に励む日々である。そんな中、内裏が炎上するという騒ぎが起き、昌浩はもっくんと共に独自の調査を開始するが……。
おちこぼれ陰陽師は都を救えるか!? 新説・陰陽師物語登場!!(裏表紙より)
とても元気な印象の小説でした。少年陰陽師の存在は知っていたのですが、今になるまでまったく手をつけたことがありませんでした。なんでだろう。
マスコットキャラというのがどうも苦手なので、私の視点はがんばる昌浩に向けられ続けてました。じいさまいいキャラ! しかし最後持っていかれたのがちょっと残念。昌浩がんばれ! もっとかっこいいところが見たい!
少年陰陽師と銘打っているだけあって、主人公の少年ばかりに焦点が当たるのですが、私は彰子が気になります。彼女はどこにいった、かわいい女の子は!?
私は少年少女を探し過ぎだと思うので、大人しく元気な昌浩を眺めておくことにします。
オススメしてくださったのに読むのが遅くなってすみません。ありがとうございました!
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秀麗は彩雲国でもピカいちの名家・紅家のお嬢様。なのに家計は火の車。明日のごはん代を稼ぐため、舞い込んだオイシイ話に飛びついたのはいいけれど、その依頼ときたら即位間もない「ダメ王様」の教育係で、しかもお仕事(アルバイト)期間中は貴妃として後宮に入れというものだった。ほかに妃嬪のいない空室アリの後宮で、まったく女に興味ナシの困った王様と秀麗師(せんせい)の、奇妙な関係がはじまる! 〈第1回ビーンズ小説賞奨励賞・読者賞受賞〉(裏表紙より)
再読。以前読んだ時(帯はアニメ化のがかかってるのでそのくらい)は設定がごちゃごちゃしててちょっと読みにくいなあと思ったのだけれど、久しぶりに読んだら非常に楽しかった。真っすぐな道は王道なのに、そこに色んな背景を持った人々が関わってくることで、騒がしくもあり楽しくもある素敵な小説!
かなり、大人世代それもじいさま方の、苦悩や思いが描かれていて、この辺りとても切ない。解決してない不思議はあるんですが、でもこれも中華風ファンタジーの醍醐味と思うことにする。
楽しかった! オススメありがとうございました。記事を書くのが遅くなってすみませんでした!
小学校を卒業した春休み、私は弟のテツと河原に放置されたバスで眠った——。大人たちのトラブル、自分もまた子供から大人に変わってゆくことへの戸惑いの中で、トモミは少しずつまだ見ぬ世界に足を踏み出してゆく。ガラクタ、野良猫たち、雷の音……ばらばらだったすべてが、いつかひとつでも欠けてはらないものになっていた。少女の揺れ動く季節を瑞々しく描いた珠玉の物語。
この物語で始終漂っている空気は、きっと卵の中にいるような、羊水の中みたいな感じでぬるくて重い。世界はどこか遠くて暗くて、トモミは手探りで世界の形を確かめている。
家族や隣人がどこか奇妙に映っている気がして、胸が重たくなった。それが変身前の少女の風景だとすると、すごくリアルに描かれているなあと思った。
この話ではトモミが学校でどんな子かは描かれていないし(多分成績優秀で気の強い子だったんだろう)、おばさんの息子がどうなったかは分からないし(亡くなったか成長して家を出たか)、お母さんとお父さんはどうなったかは分からない(これが一番どうなったか分からない)、色々なことが解決していないけれど、でも私は気にならなかった。いつか知るときが来る、という感覚があるからかもしれない。ラスト、手探りで進む人のようなトモミとテツがいたから。
少女って薄暗い部分もあるな、と思った一冊。
ひょんなことから、英語の先生の家で書生として暮らすことになった探偵小説好きの少年。
癇癪もちで、世間知らず。その上、はた迷惑な癖をたくさんもつ先生の〈変人〉っぷりには辟易するが、居候生活は刺激でいっぱいだ。なんせ、先生のまわりには、先生以上の〈超変人〉と、奇妙奇天烈な事件があふれているのだから……。
夏目漱石の『吾輩は猫である』の物語世界がよみがえる、抱腹絶倒の連作ミステリー短編集。(カバー折り返しより)
連作ミステリー短編集は大好物。探偵役は書生の少年、パートナーは変人の先生。
こういう小説でコンビを組む場合、どちらかが率先して情報を集めて、もう一方が解決策を提示するというのが筋だと思うのだけれど、この小説はそのどちらも主人公一人でやってしまう。
でもこの主人公、どうにも格好よさが足りなくて、へたれな印象が拭えないなあ! 笑ってしまった。そして先生が変人すぎて愛しいです。「春風影裏に猫が家出する」で「あれ」を言った先生、すべてを持っていってそっぽを向いた先生の愛しいこと!
小鳩君と小山内さんは、恋愛関係にも依存関係にもないが互恵関係にある高校一年生。きょうも二人は手に手を取って清く慎ましい小市民を目指す。それなのに、二人の前には頻繁に謎が現れる。名探偵面などして目立ちたくないのに、なぜか謎をを解く必要に迫られてしまう小鳩君は、果たしてあの小市民の星を掴み取ることができるのか? 新鋭が放つライトな探偵物語、文庫書き下ろし。(裏表紙より)
面白かった。創元推理文庫は優しいミステリーが読めるなあといつも思う。小市民を目指し慎ましく生きようとする少年少女、でもうまくいかなくて、というのがあらすじで、学生が向かうことの出来る有り触れた謎を解き明かしていくのがとてもいい。
しかしこの一冊を通して、最後に解き明かされる謎、これはもっと書き込めるのではないかなあと思ったけれど、一市民が立ち向かい、行うことができるのはこの書き方(本のスタイル)のようなものなのかなあと思うと納得。そういうのもミステリーとしてとても素敵だなあと思った! しかし小山内さんに何があったんだろう。
小鳩君はちょっと背が小さい少年っぽい顔で、小山内さんは少し明るいロング髪の普通体型の子かなあとか。健吾は黒髪短髪の大きめの少年ですっごく姿勢がいいと思う。妄想妄想。
アルバイト情報誌に載っている実験参加のバイトの時給一一二〇百円という数字が誤字か真実か、それぞれの思惑の元に集った十二人のアルバイターたち。不思議な地下空間で7日間の共同生活を強いられることになったが、部屋の〈玩具箱〉と呼ばれる箱には、何故か人を殺せる武器が入っていた。これはなんのための実験なのか、果たして無事に帰還することはできるのか。
密室殺人もの。読みやすい一冊だった。途中はただのパニックものなのかなと思っていたら、後半になっていきなり進みが速くなった。結城の変身ぶりはすごい。そして安東の金銭感覚麻痺っぷりはどうだ。
結構すいすい読めるのに、その実、結構ど暗いものがあるんではなかろうか。密室における疑心暗鬼、依存や心の逃亡、金銭感覚の麻痺とか。ラストそれぞれみんな戻って行ったけれど、最後まで人間の醜いところが書かれてたなと。
意外と須和名さんが活躍しなかった。須和名さんがどうも真賀田四季@S&Mシリーズに見えるなーと思っていたので余計に意外だった。
音と円田さんのミルリトン探偵局に、黒猫シンクのお土産によって、また新しい事件が。二つのパートが重なる、幸福な一冊。
前作は文庫本で貸して頂いたのが、今回はハードカバー。写真がいっぱいで綺麗。モノクロいいなあ。カラーも綺麗。
物語は前作同様、黒猫シンクの持ち帰るものから、音(おん)と円田さんが推理するというもの。推理といってもお話作りをすることなので、始終ほのぼのとして幸せな本だと思う。
音パートのひとつひとつ探していくような平和な日々もいいけれど、もうひとつのパート(勝手に物語パートと呼んでいる)の話も、つながりが見えて素敵だった。「ルーフトップ・パラダイス」を巡るお話になっていて、つながりというものにそそられる私としては大変幸せだった。
ちょっと登場する音楽を聞きたくなって父に聞いてみた。ら、ニール・ヤングは二枚だけ持っていて、「オンリー・ラブ・キャン・ブレイク・ユア・ハート」はなくて、ニール・ヤングよりもグループの(聞き取れなかった)方が父は好きらしい。なるほど。なんか、本から現実につなげていくのも幸せなことだなあと思うのでした。