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読んだ本とか、漫画とか、映画とか、色々
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傾国の美姫 (コバルト文庫)
容姿が醜いために村人たちから蔑まれ、苦しい毎日を送る秀瑛は、ある日、不思議な鏡を拾う。人の言葉を話し、ときに妖しいほど美しい青年に姿を変える鏡は、「願いの重さの分、命を差し出すなら、どんな願いも叶えてやる」と誘う。悩んだ末に、秀瑛は寿命10年と引きかえに、絶世の美貌を手に入れるのだが…!? 不思議な鏡を手にした少女の波乱の人生を描いた、2009年度ノベル大賞受賞作!(裏表紙より)

友人が貸してくれた本。中華風ファンタジーで、鏡と少女と願いを巡る中編二編が収録されています。
恋愛的な盛り上がりは薄いなあという印象で、願いと代償の辺りがちょっとダークな感じだなあと思いました。シリアスだし、落ち着いて進むし、中編らしい展開の早さでもありましたが、受賞作でこんな雰囲気のお話って珍しい気もして面白かったです。
できれば「傾国の美姫」で一冊読みたかった。文章はとてもきれいで、しっとりしていて、好みの文体だったので、是非長編で。
余談ですが、友人が「どうしてこうなったの!」と言った『気になるところ』も、ああなるほどなあと納得……。段階踏むのって大事だね>友人
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フィンガーボウルの話のつづき (新潮文庫)
「世界の果てにある食堂」を舞台にした物語を書きあぐねる吉田君は、奇妙な連作小説を予告して消息不明となった謎の作家=ジュールズ・バーンを知る。「物語」の入り口を探し求める吉田君がいつしか迷い込んでいたのは、バーンが企んだ連作の世界なのか——。ビートルズの”ホワイト・アルバム”を軸にしてシンクロする過去と現在。16+1の短篇のリンクが「物語」の不思議を奏でる。(裏表紙より)

ホワイトアルバムに記されているであろう数字を振った短編。物語はどこかしら繋がっている。
なんだか心地よい作品だなーと思います。ずーっと優しい音楽が聞こえているような。短編映画をいくつも見ている気がします。
短編それぞれは、どこか突拍子がなかったり(閑人たちが集まるカフェとか)、その設定はないだろう(レインコート博物館とか)と思うものがあったりするのだけれど、やっぱり、どれも心地いい。「キリントン先生」が好きです。ちょっと不思議なおじさんと子どもというのがたまらない。全部繋がるはずがない話なのに、繋がっている安心感というか、とても好きです。ふっと一編だけ読みたくなってしまって、するといつの間にか全部めくっているような。
氷菓 (角川スニーカー文庫)
いつのまにか密室になった教室。毎週必ず借り出される本。あるはずの文集をないと言い張る少年。そして『氷菓』という題名の文集に秘められた三十三年前の真実——。何事にも積極的に関わろうとしない”省エネ”少年・折木奉太郎は、なりゆきで入部した古典部の仲間に依頼され、日常に潜む不思議な謎を次々と解き明かしていくことに。さわやかで、ちょっぴりほろ苦い青春ミステリ・登場!
期待の新星、清冽なデビュー作!!(裏表紙より)

ミステリ好きの方とお知り合いになって「米澤穂信いいよー」という話になった折り、古典部を読んだことがあるかどうかという話になって、読んだことないなあと思ったら実は本棚にささったまんまになっていた、という前振りがあって読みました。
米澤さんはもっとじっくり話を書かれるのではと思っていたので、導入があっさりでちょっとびっくりする。でも、すぐに入り込める感じはしたかもしれない。音楽で一緒だったか、と尋ねる奉太郎の台詞が、彼の推理力を表しているのだな。
日常ミステリは大好物なのでとても楽しかった。飄々とした探偵役の少年と、真面目な謎提供役の少女、情報屋の少年に、ムードメーカーの少女。灰色という言葉が度々使われるけれど、物語の色はそう灰色ではなくて、学校らしい埃っぽい陰影があるなと思いました。
楽しかった。
吉野北高校図書委員会 (MF文庫ダ・ヴィンチ)
図書委員たちの、揺れる想い
男友達の大地と大好きな後輩がつきあいだした。彼女なんてつくらないって言ってたのに——。二人に接するうち、大地への微妙な想いに気づいてしまったかずら。一方藤枝は、気持ちにふたをするかずらへの、一途な想いをもどかしさを抑えきれず……。悩み、揺れ動く図書委員たちを描いた第3回ダ・ヴィンチ文学賞編集長特別賞受賞作が文庫書き下ろしで登場。解説は女優の堀北真希。(裏表紙より)

かわいいです。人物も喋りも! あまずっぺえ。あまずっぺえよー。
よく描かれる形の恋模様に注目するよりも、図書委員会の仕事とか、本の話にアンテナがびんびん立ってました。
周囲があったかくてほんわか描かれていて少女漫画のような印象だけれど、悪意といえば悪意があるなあと西川くんの話を読んで思った。確かに、学校にはそういう風に気持ち悪いと嫌悪される存在があったよなあと。
私が知っているある学校の図書室は、廊下側が全面ガラス張りになっていて、半分は自習机、もう半分は書架になっていました。小さい学校だったので新しく本が入るのは少ししかなかったような。でも図書室の中にはカウンターの中に、同じようにガラス張りの司書室があって、図書委員はそこで作業しているのが見えてとても羨ましかった。できることなら図書委員になりたい。
少年陰陽師 異邦の影を探しだせ
「ぬかるなよ、清明の孫」「孫、言うなっ!」
時は平安。13歳の昌浩は、稀代の陰陽師・安倍晴明の末の孫。
資質は素晴らしいのだが、まだまだ半人前。よき(?)相棒の、物の怪(愛称もっくん)にからかわれながら、修行に励む日々である。そんな中、内裏が炎上するという騒ぎが起き、昌浩はもっくんと共に独自の調査を開始するが……。
おちこぼれ陰陽師は都を救えるか!? 新説・陰陽師物語登場!!(裏表紙より)

とても元気な印象の小説でした。少年陰陽師の存在は知っていたのですが、今になるまでまったく手をつけたことがありませんでした。なんでだろう。
マスコットキャラというのがどうも苦手なので、私の視点はがんばる昌浩に向けられ続けてました。じいさまいいキャラ! しかし最後持っていかれたのがちょっと残念。昌浩がんばれ! もっとかっこいいところが見たい!
少年陰陽師と銘打っているだけあって、主人公の少年ばかりに焦点が当たるのですが、私は彰子が気になります。彼女はどこにいった、かわいい女の子は!?
私は少年少女を探し過ぎだと思うので、大人しく元気な昌浩を眺めておくことにします。
オススメしてくださったのに読むのが遅くなってすみません。ありがとうございました!
彩雲国物語―はじまりの風は紅く (角川ビーンズ文庫)
秀麗は彩雲国でもピカいちの名家・紅家のお嬢様。なのに家計は火の車。明日のごはん代を稼ぐため、舞い込んだオイシイ話に飛びついたのはいいけれど、その依頼ときたら即位間もない「ダメ王様」の教育係で、しかもお仕事(アルバイト)期間中は貴妃として後宮に入れというものだった。ほかに妃嬪のいない空室アリの後宮で、まったく女に興味ナシの困った王様と秀麗師(せんせい)の、奇妙な関係がはじまる! 〈第1回ビーンズ小説賞奨励賞・読者賞受賞〉(裏表紙より)

再読。以前読んだ時(帯はアニメ化のがかかってるのでそのくらい)は設定がごちゃごちゃしててちょっと読みにくいなあと思ったのだけれど、久しぶりに読んだら非常に楽しかった。真っすぐな道は王道なのに、そこに色んな背景を持った人々が関わってくることで、騒がしくもあり楽しくもある素敵な小説!
かなり、大人世代それもじいさま方の、苦悩や思いが描かれていて、この辺りとても切ない。解決してない不思議はあるんですが、でもこれも中華風ファンタジーの醍醐味と思うことにする。
楽しかった! オススメありがとうございました。記事を書くのが遅くなってすみませんでした!
つむじ風食堂の夜
『雨降りの先生』こと私が訪れるのは、十字路の角にぽつんと灯をともす食堂。訪れる人々はただ日々を生きているだけ。ありふれた日常。でも、きっとそこには物語があるのだ。

あらすじを書くのがとても難しい話だ。作者の方はクラフト・エヴィング商會のお一人。
淡い光に照らされているような小説で、装幀がとても相応しいわーと思っていたら、商會のお二人がされているらしい。やっぱりなー。
癒しの物語、とか書くのは嫌いなんだけど、でも癒された。和んだ。現実世界でありながら、不思議空間が出来上がっていて、それをちょっと垣間みている感じが素敵だと思う。
春のオルガン (新潮文庫)
小学校を卒業した春休み、私は弟のテツと河原に放置されたバスで眠った——。大人たちのトラブル、自分もまた子供から大人に変わってゆくことへの戸惑いの中で、トモミは少しずつまだ見ぬ世界に足を踏み出してゆく。ガラクタ、野良猫たち、雷の音……ばらばらだったすべてが、いつかひとつでも欠けてはらないものになっていた。少女の揺れ動く季節を瑞々しく描いた珠玉の物語。

この物語で始終漂っている空気は、きっと卵の中にいるような、羊水の中みたいな感じでぬるくて重い。世界はどこか遠くて暗くて、トモミは手探りで世界の形を確かめている。
家族や隣人がどこか奇妙に映っている気がして、胸が重たくなった。それが変身前の少女の風景だとすると、すごくリアルに描かれているなあと思った。
この話ではトモミが学校でどんな子かは描かれていないし(多分成績優秀で気の強い子だったんだろう)、おばさんの息子がどうなったかは分からないし(亡くなったか成長して家を出たか)、お母さんとお父さんはどうなったかは分からない(これが一番どうなったか分からない)、色々なことが解決していないけれど、でも私は気にならなかった。いつか知るときが来る、という感覚があるからかもしれない。ラスト、手探りで進む人のようなトモミとテツがいたから。
少女って薄暗い部分もあるな、と思った一冊。
漱石先生の事件簿―猫の巻 (ミステリーYA!)
ひょんなことから、英語の先生の家で書生として暮らすことになった探偵小説好きの少年。
癇癪もちで、世間知らず。その上、はた迷惑な癖をたくさんもつ先生の〈変人〉っぷりには辟易するが、居候生活は刺激でいっぱいだ。なんせ、先生のまわりには、先生以上の〈超変人〉と、奇妙奇天烈な事件があふれているのだから……。
夏目漱石の『吾輩は猫である』の物語世界がよみがえる、抱腹絶倒の連作ミステリー短編集。(カバー折り返しより)

連作ミステリー短編集は大好物。探偵役は書生の少年、パートナーは変人の先生。
こういう小説でコンビを組む場合、どちらかが率先して情報を集めて、もう一方が解決策を提示するというのが筋だと思うのだけれど、この小説はそのどちらも主人公一人でやってしまう。
でもこの主人公、どうにも格好よさが足りなくて、へたれな印象が拭えないなあ! 笑ってしまった。そして先生が変人すぎて愛しいです。「春風影裏に猫が家出する」で「あれ」を言った先生、すべてを持っていってそっぽを向いた先生の愛しいこと!
春期限定いちごタルト事件 (創元推理文庫)
小鳩君と小山内さんは、恋愛関係にも依存関係にもないが互恵関係にある高校一年生。きょうも二人は手に手を取って清く慎ましい小市民を目指す。それなのに、二人の前には頻繁に謎が現れる。名探偵面などして目立ちたくないのに、なぜか謎をを解く必要に迫られてしまう小鳩君は、果たしてあの小市民の星を掴み取ることができるのか? 新鋭が放つライトな探偵物語、文庫書き下ろし。(裏表紙より)

面白かった。創元推理文庫は優しいミステリーが読めるなあといつも思う。小市民を目指し慎ましく生きようとする少年少女、でもうまくいかなくて、というのがあらすじで、学生が向かうことの出来る有り触れた謎を解き明かしていくのがとてもいい。
しかしこの一冊を通して、最後に解き明かされる謎、これはもっと書き込めるのではないかなあと思ったけれど、一市民が立ち向かい、行うことができるのはこの書き方(本のスタイル)のようなものなのかなあと思うと納得。そういうのもミステリーとしてとても素敵だなあと思った! しかし小山内さんに何があったんだろう。
小鳩君はちょっと背が小さい少年っぽい顔で、小山内さんは少し明るいロング髪の普通体型の子かなあとか。健吾は黒髪短髪の大きめの少年ですっごく姿勢がいいと思う。妄想妄想。
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Author:月子
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