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読んだ本とか、漫画とか、映画とか、色々
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恋愛は少女マンガで教わった―愛に生きてこそ、女!?
七十年代〜八十年代の代表的少女漫画を題材に、女性の愛と性について語る一冊。

内容がエッセイでもかなりハメを外した文体なので読みにくかった……。平成8年の本なので、かなり女性像が古い印象だけれど、述べてあるところは、女性に対する毒がいろいろ含まれていて興味深かった。女性は女という性を嫌っている、とか、一線を越えるということはパンツを脱ぐということだ、とか……。少女漫画黄金期に描かれた作品で、どんな内容、展開が少女たちを夢中にしたかというのを毒舌で述べていたり、その少女たちがどういう大人になるのかをやっぱり毒で切っていたり。
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暁の聖歌―吉屋信子少女小説選〈1〉 (吉屋信子少女小説選 (1))
祖母と叔父とともに暮らすちえ子は両親を知らない。牧場で暮らした童女時代。S市の女学校で過ごす少女時代。幼馴染みの死や、父への疑い、女学校で出会ったお姉様の存在を経て、ちえ子は本当の母に出会う。

初めて読んだ吉屋信子作品。とてもロマンチックでした。流れるような文体は口に出して読んでみたいくらいだし、お話は定型的に感じられてもとても少女的。ちえ子にはかなりの苦労があったはずなのに、まるで誰かに語って聞かせるような心優しい語り口に、ほっと綻んでしまう。女性がたおやかで清らかなんですよね。母と呼べと言われた人には多く筆を割かず、あくまで女性たちは清らかに描くという感じ。
これをリアルタイムで読めていた女の子たちはどんな気持ちだったのかなと心を馳せてしまう。
儚い羊たちの祝宴
とある大学に存在する読書クラブ『バベルの会』に所属する人々は現実と幻想の境の壁が脆い。そんな彼女ら儚い者たちの、本と関わり家をめぐる連作短編集。

ひいっ! と声をあげてしまうような恐ろしい話が多かったです。誰が殺して、誰か殺されて、あるいは誰が食って、という話ばかりでした。ダークさにぐらぐらしましたが、こういう暗黒成分はどんとこいでもあるので、面白く読みました。主に令嬢と使用人という話だったのも、好きな理由のひとつだ。
「身内に不幸がありまして」の最後の一文が、恐ろしい。同じく、一言が効いているのが「玉野五十鈴の誉れ」だ。ぞわっとした。
羊というとのんびり、うつらうつらしている夢見がちな、無害な生き物を想像してしまうので、そんな羊たちが夢見ているのがこういう悪夢のような、悪趣味な幻想だと思うと、なんだか言いようのないもやもやと、興奮みたいなぞくぞくを覚える。
悪い魔法使いはいりませんか? (ルルル文庫)
「王子が十八歳になったら呪いをかける!」——悪の魔法使いが、王家に残した予告の年、弟子のスイハはその役目を押しつけられてしまう。師匠の面子のため、使い魔のフクロウと王宮へ向かったスイハだが、王子の居場所はなんとハレムの中! しかも、すでに呪いをかけられていて!? 魔具によって捕らわれたスイハは王子に絶対服従の上、呪いを解く協力をさせられることに。初めは師匠の敵と思っていた王子だけど……!?(裏表紙より)

アラビアン風恋愛ファンタジー。悪い魔法使いの弟子の少女が、王子様(すでに呪われ済み)と協力する話。もうちょっと何か! という感じで、スイハも王宮の事件も楽しいんだけれど、せっかく魔具で行動制限とか、ハレムとか、王子様の呪いがおいしいのに! ともどかしい。でも、スイハの心がまだ幼くて、甘い雰囲気にならないのがそれはそれでおいしいかなと思います。
王子様、王宮、魔法使い、使い魔。陰謀をめぐる事件の色々が、とても童話っぽい楽しいファンタジーでした。
暁を抱く聖女(ラ・ピユセル) (角川ビーンズ文庫)
襲撃に遭った村から自分を助けてくれた、若く美しい騎士を求めて少女は旅に出た。気が強くてがさつな少女——ジャンヌ・ダルク。だが『フランスを救う神の使者』という噂がなぜか彼女につきまとい、我知らずジャンヌは、聖女として祭りあげられていく。勇将ジル・ド・レは、嘲笑を浴びせながらも、そんなジャンヌを懸命に守ろうとするが、そこにはある秘密があった……。少女ジャンヌの数奇な運命を描いた、波瀾万丈の大河ロマン。(裏表紙より)

ジャンヌ・ダルクの解釈が面白くて、楽しかったです。この本に登場するジャンヌは、ただがさつで自分の目指すものを手に入れようとするだけの、普通の少女。だからフランスを救う、神の声を聞いた、なんてことはなく、ただ自分の前に時々現れる美しい騎士を探しているだけ。それだけに、突然神がかったように戦いの中へ身を投じたり、機転が利いていたりするのは、ちょっと、ん? となりました。悪魔のせいだったんでしょうか。
一文が短く、読む呼吸が切れてしまうのがちょっと残念でした。
古い古い昔語りのひとつ、という余韻が素敵でした。
姫君達の晩餐 食前酒は赤い森で (B’s‐LOG文庫)
それもこれも自分がこんなに美しく生まれついたのがいけないのだ——白雪姫は王宮から遠く離れた森で、怒りまくっていた。灰かぶりは、父を亡くし継母も出て行った商会を賢才で切り盛りする。彼女の笑顔には誰も勝てない。そして眠り姫は魔女の逆恨みを受けて眠り続ける——在りし日に約束をした運命の彼を待ち続け……。
そんな姫君達がとある森で出逢い、自分達で魔女を倒すため手を組むことになったから……もう王子達もお手上げ!? 3組のカップルが巻き起こすラブコメ童話登場!!(裏表紙より)

童話のヒロインたちを思わせるヒロイン三人と、彼女たちを思う王子三人の、打倒魔女の物語。これは一巻ですが、話が終わっていないので、二巻まで読まなくちゃならないということを、一巻が終わる頃に気付きました。
童話のヒロイン、ヒーローたち、それってどうなの! というところを逆手に取った登場人物なので、面白いです。もし彼女たちが本当にメルヘンの下敷きになっていたら、ああいうつっこみどころがあっても納得できるというか。
文章のテンポが独特で、ちょっとケータイ小説ってこういう感じなのかな、というイメージを持ちました。
傾国の美姫 (コバルト文庫)
容姿が醜いために村人たちから蔑まれ、苦しい毎日を送る秀瑛は、ある日、不思議な鏡を拾う。人の言葉を話し、ときに妖しいほど美しい青年に姿を変える鏡は、「願いの重さの分、命を差し出すなら、どんな願いも叶えてやる」と誘う。悩んだ末に、秀瑛は寿命10年と引きかえに、絶世の美貌を手に入れるのだが…!? 不思議な鏡を手にした少女の波乱の人生を描いた、2009年度ノベル大賞受賞作!(裏表紙より)

友人が貸してくれた本。中華風ファンタジーで、鏡と少女と願いを巡る中編二編が収録されています。
恋愛的な盛り上がりは薄いなあという印象で、願いと代償の辺りがちょっとダークな感じだなあと思いました。シリアスだし、落ち着いて進むし、中編らしい展開の早さでもありましたが、受賞作でこんな雰囲気のお話って珍しい気もして面白かったです。
できれば「傾国の美姫」で一冊読みたかった。文章はとてもきれいで、しっとりしていて、好みの文体だったので、是非長編で。
余談ですが、友人が「どうしてこうなったの!」と言った『気になるところ』も、ああなるほどなあと納得……。段階踏むのって大事だね>友人
フィンガーボウルの話のつづき (新潮文庫)
「世界の果てにある食堂」を舞台にした物語を書きあぐねる吉田君は、奇妙な連作小説を予告して消息不明となった謎の作家=ジュールズ・バーンを知る。「物語」の入り口を探し求める吉田君がいつしか迷い込んでいたのは、バーンが企んだ連作の世界なのか——。ビートルズの”ホワイト・アルバム”を軸にしてシンクロする過去と現在。16+1の短篇のリンクが「物語」の不思議を奏でる。(裏表紙より)

ホワイトアルバムに記されているであろう数字を振った短編。物語はどこかしら繋がっている。
なんだか心地よい作品だなーと思います。ずーっと優しい音楽が聞こえているような。短編映画をいくつも見ている気がします。
短編それぞれは、どこか突拍子がなかったり(閑人たちが集まるカフェとか)、その設定はないだろう(レインコート博物館とか)と思うものがあったりするのだけれど、やっぱり、どれも心地いい。「キリントン先生」が好きです。ちょっと不思議なおじさんと子どもというのがたまらない。全部繋がるはずがない話なのに、繋がっている安心感というか、とても好きです。ふっと一編だけ読みたくなってしまって、するといつの間にか全部めくっているような。
氷菓 (角川スニーカー文庫)
いつのまにか密室になった教室。毎週必ず借り出される本。あるはずの文集をないと言い張る少年。そして『氷菓』という題名の文集に秘められた三十三年前の真実——。何事にも積極的に関わろうとしない”省エネ”少年・折木奉太郎は、なりゆきで入部した古典部の仲間に依頼され、日常に潜む不思議な謎を次々と解き明かしていくことに。さわやかで、ちょっぴりほろ苦い青春ミステリ・登場!
期待の新星、清冽なデビュー作!!(裏表紙より)

ミステリ好きの方とお知り合いになって「米澤穂信いいよー」という話になった折り、古典部を読んだことがあるかどうかという話になって、読んだことないなあと思ったら実は本棚にささったまんまになっていた、という前振りがあって読みました。
米澤さんはもっとじっくり話を書かれるのではと思っていたので、導入があっさりでちょっとびっくりする。でも、すぐに入り込める感じはしたかもしれない。音楽で一緒だったか、と尋ねる奉太郎の台詞が、彼の推理力を表しているのだな。
日常ミステリは大好物なのでとても楽しかった。飄々とした探偵役の少年と、真面目な謎提供役の少女、情報屋の少年に、ムードメーカーの少女。灰色という言葉が度々使われるけれど、物語の色はそう灰色ではなくて、学校らしい埃っぽい陰影があるなと思いました。
楽しかった。
吉野北高校図書委員会 (MF文庫ダ・ヴィンチ)
図書委員たちの、揺れる想い
男友達の大地と大好きな後輩がつきあいだした。彼女なんてつくらないって言ってたのに——。二人に接するうち、大地への微妙な想いに気づいてしまったかずら。一方藤枝は、気持ちにふたをするかずらへの、一途な想いをもどかしさを抑えきれず……。悩み、揺れ動く図書委員たちを描いた第3回ダ・ヴィンチ文学賞編集長特別賞受賞作が文庫書き下ろしで登場。解説は女優の堀北真希。(裏表紙より)

かわいいです。人物も喋りも! あまずっぺえ。あまずっぺえよー。
よく描かれる形の恋模様に注目するよりも、図書委員会の仕事とか、本の話にアンテナがびんびん立ってました。
周囲があったかくてほんわか描かれていて少女漫画のような印象だけれど、悪意といえば悪意があるなあと西川くんの話を読んで思った。確かに、学校にはそういう風に気持ち悪いと嫌悪される存在があったよなあと。
私が知っているある学校の図書室は、廊下側が全面ガラス張りになっていて、半分は自習机、もう半分は書架になっていました。小さい学校だったので新しく本が入るのは少ししかなかったような。でも図書室の中にはカウンターの中に、同じようにガラス張りの司書室があって、図書委員はそこで作業しているのが見えてとても羨ましかった。できることなら図書委員になりたい。
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Author:月子
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