読んだ本とか、漫画とか、映画とか、色々
「何度だって君に会いにくる——」少年・クロードが初恋の女の子ロゼと交わした約束は、花が人を喰う“花嵐”によって引き裂かれた! ロゼがいなくなって5年。クロードは、18歳の可憐な美女に成長。実はロゼを奪った花を狩る“歌姫”になるため、女の子として楽院に通っていたのだ!! そんな彼(彼女!?)の前に、少女と見紛う“舞手”の少年・ノワールが現れる。出会い頭に彼に殺されかけたクロードとノワールの仲は最悪! しかも、ノワールにはある秘密が…!? 複雑、厄介に面倒臭く“恋の花”が絡み合う!!(裏表紙より)
何故続きが出ないんだという感想を当時あちこちで見かけた覚えがあるんですが、これは何故続きが出ないんだと思っても仕方がない。女装男子と男装女子のじれじれファンタジーです。
思いを通じあわせた初恋の少女ロゼを薔薇によって失ったクロードは、自らに花を殺す歌姫の才能があることを知り、親友の作った薬で十四歳の身体に時間を巻き戻して女装、歌姫と舞手の集まる楽院で歌姫になるための修行をすることになる。
花を殺す、歌姫と舞手、楽院生活、それぞれの有能な親友、ふたりのすれ違いなど美味しい要素がたっぷり詰まっていてもっと読みたいなあと思いました。男のクロードがちゃんとかっこいいのがずるい……!
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軍人として生きる覚悟を決めた小玉は異例の速度で昇進し、二十歳にして校尉となっていた。相変わらず男運はないものの、明慧を筆頭に仲間や上官にも恵まれ、職務に邁進していた。
そんな小玉のもとに、新しい部下が配属される。眉目秀麗にして武科挙に合格した英才。叩き上げの自分と真逆をいく三歳年下の美しい男・周文林を見た瞬間、小玉は思った。
「絶対そりが合わない——」
その予感通り、小玉と文林はなにかと衝突を繰り返し——?
小玉と文林、出逢いの物語。(裏表紙より)
ついに出た未来の夫で皇帝陛下。まだまだ青くて生真面目がすぎる文林です。これが暴力的に有能でキレキレのひどい男になるかと思うと楽しみですね。
明慧とのエピソードに筆が割かれているのは、本編のことがあったからかな。ほのぼのとしつつ、ふたりの友情に心暖まりつつ、最後に切なくなる。他の人たちの死もつらい。本の最後の最後にぶっこんでくるの痛くて苦しい。どんどん国が傾いでいって、文林や小玉の時代になるんですよね……。そこに到るまでどのくらいの犠牲や戦いがあったんだろう。次が楽しみでいて怖いです。
康国との戦を決意した文林。行軍元帥に選ばれたのは、班将軍だった。
「皇后を」という声は上がらず、そのことに少なからず安堵した文林は、小玉に手柄をあげさせたい反面、死地に向かわせることに躊躇いを感じている自分に気付いてしまう。一方の小玉も、文林に対して感じた溝が埋められず、ざわつく心を持て余していた。
さらに開戦を契機に、朝廷では皇太子問題が議題にのぼる。長男の鳳か、小玉を養母に持つ三男の鴻か。皇后としての小玉を守るため、文林は決断を下す——!(裏表紙より)
前巻でやっちまったなあ! って感じの文林であり、小玉が感じた溝に頭を抱えてしまった読者(私)ですが、二人ともいい大人なので表面上はちゃんと普通に接することができるんですよね……それがまた胸に痛くてはらはらするんですが。
戦に絡めていろいろな人が動き始める巻で、司馬淑妃は決定的な行動を起こそうとしているし、何より皇子たち……鳳の動きが怪しすぎて怖い。小玉不在の間に事件が起こらないかとひやひやしている。
買ったのが未来屋書店だったのでショートストーリーペーパーがついており、内容は綵の結婚報告でした。短いのに笑ってしまった。平和な一コマという感じでした。
古い童話本を壊してしまったユウキは、構成もバラバラな上、人物だけがモノクロになった欠損だらけの世界に飛ばされた!!
ここを“誰もが知る童話”に修復しなければ、戻れないという。
手がかりを探すユウキは、やけに口の悪いお姫様・クリスと出会い……?
本嫌いの少女は物語の正体を解き明かし、正しい結末に導くことができるのか――?(裏表紙より)
本嫌いの女子高生ユウキ。作家の母親の代わりに家の一切を取り仕切っている。そんな彼女が物語の世界に飛ばされ、作中の登場人物のいずれかの役割を担いながら誰もがよく知る童話の形に物事を導かなければならない。
可愛らしい一方、母親に愛されていないのでは、と考えるユウキの気持ちが切ない。きっとこうやって本を読む私たちは「そんなことないよ!」って言ってあげられるんだろうけれど、母親のせいで本が嫌いなユウキは、クリスと出会わなければそのことに気づけなかったんだろうなあ。
このお話はなんのお話だ? と推理するところから、ここにいる人たちはなんの役? そしてユウキは? と考えるのが面白かったです。いろいろ謎も残っているし、クリスと再会してほしいので、続きが本で出ないかなあ!
物心ついた頃から“ブス”だったわたし。子供の時に参列した結婚式に憧れて、せめて誰かの幸せな瞬間を演出したいと、ウェディングプランナーの職に就いた。様々なお客様が人生の門出を祝おうとホテルを訪れる。そんなわたしが、やり手の美形上司・久世課長に求婚された!?「香澄さん、ずっと探していました。あなたのような…絶世のブスを」「はぁ!?(怒)」
ここでは、誰もが人生の主人公になれる。
受賞後、コバルト文庫の公式サイトで公開されていた試し読みを読んで「なんだこれめっちゃ面白い」と思って買いました。読みやすくて面白くて、でもちょっと痛くて、泣き笑いになってしまう物語だった。
何せヒーローがひどい。「あなたはブスだ」とことあるごとに言う。ギャグかと思ったら周りの反応から香澄が本当に、お化粧でも変身させることができない絶世の不美人だということが分かる。それが読んでいて常に刺さるので、痛いような泣きたいようななんとも言い難い気持ちになる……。お話としては、ウェディングプランナーというお仕事ものなので、成功や大きな失敗を経て「この仕事が好きだ」と感じるものになっています。絶世の不美人っていう言葉が嘘だと思うくらい、もう本当に香澄が性格がよくて仕事ができるいい子なので。頑張れ、私も頑張る、という気持ちになりました。
湖西の騒動は収まったものの、事後処理に追われる文林。隣国も怪しい動きを見せるなど、悩みは尽きない。
そんな疲れを癒やしてくれるのは、帳簿と不本意ながら小玉……と思ったら、「娘子の貞節に問題あり」!? 突如持ち上がった小玉の不義疑惑。紅霞宮を巻き込み蠢く陰謀——文林にないがしろにされた司馬淑妃の父親・司馬尚書の謀略か。それとも……。
推移を冷静に見つめる小玉は、ある夜文林のもとを訪れる。そして二人の関係にも変化が——。それぞれが出した答えとは!?(裏表紙より)
今回の戦いは後宮。女の戦いですが、次は血が流れる大きな戦いになりそうです。
ちょっと深酒が過ぎるようになった小玉。そのお酒が、後半になってあんなことになるとは思いませんでした。わーぜんぜんおめでたくなーい。むしろ不穏だー。とか思ってたらえらいことになってしまい。明らかに文林がずれているというのも分かり、小玉と文林の間に埋まらない断絶ができたことを自覚して、次巻という……。わあああもぞもぞするー!
「わたし、気になります」
文化祭に出店するクラス制作の自主映画を観て千反田えるが呟いた。その映画のラストでは、廃屋の鍵のかかった密室で少年が腕を切り落とされ死んでいた。誰が彼を殺したのか? その方法は? だが、全てが明かされぬまま映画は尻切れとんぼで終わっていた。続きが気になる千反田は、仲間の折木奉太郎たちと共に結末探しに乗り出した! 大人気青春ミステリ、〈古典部〉シリーズ第2弾!(裏表紙より)
夏休みのある日、先輩である2年F組の文化祭用の映画を見せられ、途中になっているこの作品を完結させてほしい、と制作に携わった何人かに話を聞きながら推理する。
トリックとしては奉太郎が推理したようなことなのでは? と思ったのですが、それで終わらないのが日常系ミステリのいいところだなあと思いました。
異界の遊郭『華壇』で、自らの願いを叶える対価として人の抱える不安や痛みを癒す『華枕』として働くことをしいられる少女たち。
願い事を記憶を持たないまま華壇に迷いこんだ少女「タンポポ」はなしくずしで華枕として働くことになる。タンポポの世話係に選ばれた「キンモクセイ」は極めて美しい容姿と極めてひねくれた性格の持ち主で、タンポポはそんなキンモクセイと同衾することになり……。(裏表紙より)
あらすじからすると、遊郭で少女が働かされるんだ! という読み方を迫られている気がするんですが、実際は、添い寝して相手の夢の中に入り込み、原因を取り除くというお仕事をやっています。登場するのはみんな女の子ばかり。軽く百合です。
自らの願いを叶える代わりに、というわりに、そんな切羽詰まった悲壮感はなく、みんなそれぞれの仕事をしながら、共同生活を送っているという雰囲気。女子寮みたい? 部屋の領分で揉めるのかわいいなあ!
異界であっても、自分の居場所を探して、友達を作る、かわいい女の子たちの話でした。
読んだのは単行本。
2001年9月から2002年3月まで、国境なき医師団から医師として、シエラレオネに派遣された、トシこと山本敏晴さんの活動をまとめた本。日記というか、その日何が起こったかとか、自分がどんな仕事をやってきたかとか、そもそも派遣先の状況はとか、そういう内容です。とても読みやすくて興味深かった。
なんというか、文化の違いってここまであるのかとか、貧困って、教育って、と色々思うころがあって、まだまとまっていない。トイレに行った後、必ず手を洗うのは菌の媒介を防ぐためだという、そういう知識が浸透していないっていうところからそもそも始まっていて、けれどそれは、教育がきちんと行き届かなかったり、ゲリラがいたり内戦の恐れがあるっていうこともあって……。けれどその中で、山本さんは、医師としての仕事のほかに、現地の人たちに病院、診療所のスタッフとしての教育も施していく。
これは2002年の本だけれど、シエラレオネはその後どうなったのかな……と思ったら、そうだった、エボラ出血熱が蔓延したんだ……。でも、今は海外渡航の危険情報はレベル1になってるのね(2016年12月21日現在)。
少年達の未来を信じたい!
地雷で脚を失ったアデム、ゲリラに誘拐され兵士にされたターティ、目の前で友達を殺されたアブドゥヌール……。明日をも知れぬ毎日ですが、それでもみな、一日一日を懸命に生きています。(帯より)
2011年の本。戦争、地雷、ゲリラ、難民などを取り上げつつ、そうした状況にいる子どもたちのことがまとめられています。子ども向けの本だと思うのですが、もしこれを読む人が小学生や中学生で、自分と同じ歳くらい(八歳〜十二、三歳)くらいの子どもたちが、親がいなくなって同じような子と一緒に廃墟のような街に暮らしていたり、地雷で両足を失ったり、逃げている途中で親とはぐれたり、誘拐されてゲリラ少年兵になったり……というのを読んだら、たぶんすごく衝撃なのでは、と想像しました。
子どもたちの未来が守られる世界であってほしい。