読んだ本とか、漫画とか、映画とか、色々

些細なことから上司・岸本の執拗な嫌がらせを受けるようになった玲美。疲弊しきった玲美は、彼を殺したいと夢想するようになる。こいつの頭をぐしゃりと潰してやれたら——。業績を掠め取る係長、若い女子を目の敵にするお局、会社に寄生する豚野郎。こんな最低なヤツらが迎える結末とは!? 会社で頑張るすべての人々に捧げる、ちょっとブラックなお仕事小説!
イヤなのは”仕事”じゃないんです!(裏表紙より)
ブラックなお仕事小説ではなく、ブラック会社で働く人たちがパワハラ上司に報復するホラー小説だった。いやでもめちゃめちゃ面白かった。
些細なことからパワハラを受けるようになった玲美が、近くにある縁切り神社にお参りしたことで上司を撲殺する夢を見るようになる表題作。
正社員の主任からパワハラを受け、仕事を取られた麻里子は、主任のデスクの上にある天井の梁で首をくくって、報復を妄想するようになる「天井の梁」。
妊娠をきっかけにブラック部署に飛ばされるというパワハラを受けた菜々。その部署にいるディレクターは、大声で恫喝する上に、部下を搾取し、仕事をしない豚野郎。もれなく病むというその部署では、部下たちが共有ファイルに恨みつらみを書き連ねる「引き継がれ書」があるという「引き継がれ書」、以上の三編。
なんとも後味が悪い表題作なんですが、残り二編はそれなりにすっきりできたかな。いやでも「引き継がれ書」のホラー感はやばい。怖さが飛び抜けてた。そりゃ恨みつらみを込めていたら、いくら電子データでも呪詛と化すよね……。
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王都では、人の言葉を話すことができる『有言種』というペットが、貴族の間で人気を集めている。有言種は魔術によって生みだされるが、多大な量のマナと特殊な教育が必要なため、希少価値がかなり高い。――そんなトレンドを知らない田舎の男爵令嬢アメリは、婚約者探しのため王都にやってきた。動物が大好きな彼女は田舎では両親に隠れて獣医の見習いをしていたが、王都には気軽に触れ合える動物がいない。毎日の婚活に疲れ、もふもふ不足に耐え切れなくなったアメリは、下町の古ぼけた動物病院にたどり着く。そこで獣医の手伝いを始めたアメリは、怪我をした有言種の猫を保護することになるが、『彼』はなんだか訳ありのようで……?(Amazonより)
動物に好かれる動物好きの男爵令嬢が、言葉を喋る有言種の猫とその事件に巻き込まれる。短めなので、ちょっと尺が足りない気がする。そのせいか、いろんな問題があるのに糸口は見つかるものの解決に至らないのが物足りなかったです。
ヒロインとヒーローの交流は、微笑ましく、かつラストは甘くて可愛らしかったので、好きになっていく過程をゆっくり見ていたかったなあ。

乙女ゲームの悪役令嬢カタリナに転生した私。魔法学園で待ち受けるバッドエンドを全力回避した結果、素敵な仲間が増えました! 最大の危機が去り、はじめて迎える学園祭で大はしゃぎしていた私は、調子にのった挙句、誘拐されてしまって——!? 破滅フラグを折った先で悪役令嬢を待っていたのは、新たな破滅フラグと恋愛イベントだった? 大人気☆破滅回避ラブコメディ第3弾は、新キャラ登場&オール書き下ろし!!(裏表紙より)
丸々一冊学園祭と誘拐事件の話。面白いんだけど、同じ話を別の人物視点で繰り返し読まなくちゃいけないのがストレスだな……。カタリナの視点から、このキャラがこう考えているんだろうなって思うことがそのまま書かれているせいで飽きてしまう。
「おもしれー女」という、逆ハーヒロインへ投げかけられる定番の台詞的なやつがあって笑いました。
ところでカタリナはジオルドとカップリング確定なのかな。それとももう少し波乱があるんだろうか。

天才錠前師のトマス・ウルスに育てられたマージは、鍵や機械が大好きな、いっぷう変わった女の子。トマス亡きあと、錠前店をひとりで切り盛りしていたマージの元にある日、鉄道王としても成功しているアンブローズ伯爵家の若き当主・アレックスが訪れる。「ある金庫を開けてほしいから、身ひとつで伯爵家に来てくれ」という依頼を断ろうとしたマージに、アレックスは破格の報酬を約束し…!?
錠前少女のスチームパンク・ミステリ!(裏表紙より)
天涯孤独となった錠前師の少女と、富豪で貴族の青年の出会いから始まる、お家騒動と開かない箱のお話。飛行機や車といったものが登場する世界観の中に、神秘と呼ばれるようなファンタジー要素が入っているの、めちゃくちゃ好きです。
マージのしなやかさと、子どもっぽさと大人な面の両方を備え持つアレックスが、なんだか見ていて可愛らしくて清々しくてよかったなあ。マージに惚れるのわかるよっていう言動が多くて、素敵なヒロインでした。

皇族である琮尚書の引退が決まった。新たに皇族の官吏をということで十数年前に引退した茹王が復帰。あわせて彼の長女も後宮に入ることになった。
しかし、病弱な長女は後宮に入る前に亡くなり、代わりに腹違いの妹・仙娥が妃嬪としてやってくる。
親身に姉の看病をしていたという姉妹愛溢れる逸話を持ち、後宮でもそつなくこなす仙娥に、頼もしさを覚える真桂らだが……。
新たな妃嬪登場で思惑入り乱れる後宮。新たな妃嬪は小玉の敵? それとも味方——?(裏表紙より)
第二部が始まって味方が増えるわけがなかった! という第十巻。こういうきちんとした(?)序列とか立場とかをわきまえている人が敵かあという気持ち。小玉が型破りすぎるのであって彼女は普通なんだよな……。
これから色々なことが起こるであろう伏線がばらばらしている感じのある巻で、大丈夫かなと心配になります。いや多分大丈夫じゃない。絶対誰か死ぬ。そう覚悟しながら続きを待ちます。

愛と恐怖のレクイエム
おばあちゃん、まるで後を追うみたいだったね。病院で、返事をしないおばあちゃんにむかって、話しかけてたよね。「ねえ、音楽は聞こえてる?」おかあさんは、そう聞いたんだ。しわくちゃの手を握りしめて。(「死者のための音楽」より)民話の世界に足を踏み入れたかのごとく、美しく切ない光景が眼前に広がってゆく。子どもたちへの愛と死を描いた、妖しく哀しく懐かしい山白怪談の世界。
教えたこともない経を唱え、行ったこともない土地を語る息子。
古い井戸の底に住む謎の美女。すべてを黄金に変える廃液をたれ流す工場。
身元不明の少女に弟子入りされた仏師。山に住む鬼におびえて暮らす人々。
父を亡くした少女と、人が頭に思い浮かべた物を持ってくる奇妙な巨鳥。
生まれつき耳の悪い母が魅せられた、死の間際に聞こえる美しい音楽。
親と子の絆を描いた、懐かしくも幽幻な山白朝子の怪談7篇。
(裏表紙より)
面白いってこういうことを言うんだよなあ! という気持ちで読む。いい短編って心が潤うわ……。
ホラーだったり幻想的だったりといういろんな要素があって、後味がいいわけではないんだけれども、お話としてやっぱりすごく面白くて、ぞわっとしたり息を飲みくだしたり、すごく楽しかった。
どれもそれぞれすごく好きなんだけれども、読み始めて「めっちゃくちゃいいなこの本……」と思った教えたこともない教を唱える子どもの「長い旅のはじまり」が一番好きかもしれない。

“仮花嫁”の人気キャラクターたちのその後を描いたスペシャル短編集! フェルとクロウの記念すべき出会い……あの殺伐初夜をやり直し!? だけど勘違いフェルがとんでもない騒動を巻き起こす!! さらに、クロウの兄ジルフォード帝【崩御】の裏に隠された真相が明らかに!? 貧乏ド庶民はやがて皇妃となり、夫婦の絆は永遠に続く——涙と笑いのファン必読の1冊です♪
応援多謝!長らくのご愛顧に応えてアンコール登場!(裏表紙より)
フェルとクロウの初夜話「すべては恋のから騒ぎ」
ユアンとパールの約束の話「南の洋に陽は沈み」
クロウがとある庭師との過去を述懐する「花の庭」
ジルフォードとミゼルカの恋の行方を描く「春の祈り」
未来へ進むフェルたちの小さなお話「冬の証」
以上その後の話ばかりを集めた短編集。
もう初夜の話がおかしくておかしくて。巻き込まれた人たちはたまったものじゃないなあと思いながらめっちゃ笑いました。セタンタ陛下が意外と可愛い笑 ジルフォードと一緒になるとこの人もギャグキャラになるなあ。
クロウがでれでれの子煩悩になったのが楽しかったですし、ジルフォードとミゼルカもなんかすごくきつい展開がありつつもちゃんと一緒になれてよかった。
最後まで楽しかった! ありがとうございました!

無事クロウと離婚したフェルは、孤児院に戻っていた。変わったことといえば、商路建設に関わる職に就き、お給金が(だいぶ)上がったこと。彼とはド庶民と皇子様。二度と会うこともない……と思ってたのに、出張先の異国でまさかの再会——!?「残念。逃げる獲物は追いかけて押さえ込むのが趣味なんだ」鬼畜皇子が我慢の限界!? 離婚ラブコメ、涙と笑いの最終巻!
ド庶民と皇子様が、ついに結婚——!! 注・今度は(仮)じゃありません。(裏表紙より)
本編最終巻! 結婚おめでとう!
第1巻のどたばたラブコメ的展開に戻ってきた最終巻、とても楽しかったです。フェルがフェルとして毎日を生きていて、そこへクロウが迎えに来るっていう展開が胸熱すぎて震えました。本当に「国をどうした」ってシーンなんですけど、ハッピーすぎる展開にもうどうでもよくなりました。これは伝説になるわ。
最後の最後でジルフォードがどうした!? っていう一文があるのですがそれは最後の短編集で明らかになるのかな。

頭髪は寂しくなったけれど、無事に夫クロウと再会できたフェル。束の間の甘〜い休息に心は休まるやら乱れるやら。そんななか、ようやく妖精王とクロウの弟パールの魂を引き離す方法が見つかった! 妖精王の悲願が叶う【ワルプルギスの夜】までに救い出そうとするが、それはフェルの身を危険に曝す賭けで…!? 離婚の期限を前に(仮)夫婦、天下分け目の大一番!!
ファイナルバトルでまさかの離婚成立!? 第11弾!(裏表紙より)
結構緊迫した状況下での最終決戦。意外とすんなり終わったのでおお……? と思いつつも、最後の最後でリグレイン妃がかっさらっていったなあという印象でした。冒頭から怒涛のように明かされる裏事情に、すごい込み入ってるな!? と思いつつ読む。
パールが解放されたところはぐっときました。いびつだった兄弟たちがひとつにまとまったのはほっとします。ウーベル帝は哀れな人でしたが、幸せな父と子の光景を思い描いたのかもしれないと思うと、最後にちょっと憎みきれず……。
次の巻ではファンタジー感が薄れてラブコメ的にフェルとクロウの結末が書かれてあるのかな? 読むぞー!