忍者ブログ
読んだ本とか、漫画とか、映画とか、色々
[1]  [2]  [3]  [4]  [5]  [6]  [7]  [8
4344422880
14歳で作家デビューした過去があり、今もなお文学少女気取りの栞子は、世間知らずな真実子の憧れの先輩。二人の関係にやたらイラついてしまう美人で頑張り屋の美里は、栞子の恋人である大学教授に一目惚れされてしまう――。名門女子大を舞台に、プライドを持て余した女性たちの嫉妬心と優越感が行き着く先を描いた、胸に突き刺さる成長小説。(裏表紙より)

未だ文学少女気取りで自分が特別であるというようにしか振る舞えない栞子。入院生活が長かったため世間知らずで己の立ち位置を知らないでいる真実子。上手く立ち回るために努力を重ね、目標に向かって突き進む美里。女子大生という、少女のような大人のような曖昧な年齢の彼女たち。それぞれの視点でものを考えると、見える世界が全然違うことに気付かされて、うわあ……と思う。なのに、めちゃくちゃ面白い。
特に嫌な役としての栞子の描き方がすごい。少しでも努力して、他人より優位に立とうなんて考えなければ、きっと美里のように自立できたはずなのに。だから二人は反発し合うんだろうなあ。結局、彼女は男にちやほやされたいという思いだけでゆっくり転落していく。
そんな彼女をアウトローに感じて憧れていた真実子は、一気にスターダムを駆け上がる。病弱という点はあれど、生まれも育ちも恵まれ、素直な性格から才能すら秘めていた彼女に嫉妬する人も多そうだけれど、そうならないのは人徳なのかなあ。けれど最後、彼女もだいぶと業界に揉まれて、しっかり意見を伝えられるようになっていたのは、爽快でもあり、ちょっと怖くもありました。彼女は自分が強者であると知っているんだな……という。
PR
4480432914
かつて木挽町という町があって、そこに曾祖父が営む鮨屋があった。一代で消えた幻の店を探すうち、日常と虚構、過去と現在がゆらゆらと絡み合いひとつになってゆく。少年時代のこと、出会った本や音楽のこと、東京という町のことなど、日々の暮らしによぎる記憶と希望を綴った、魅惑の吉田ワールド。新たな書き下ろしを加えて、待望の文庫化。解説 坪内祐三(裏表紙より)

半分くらいまでは何故か読みづらくてなかなか進まなかったんですが、後半からだいぶと現実の世界の話に近付いてきたからか読みやすくなった気がします。そんな感想が出てしまうほど、エッセイなのに、どことなく虚構の日記のような、とりとめのない話や空想、思索といったものが繰り返されていて、エッセイ? ノンフィクション? とちょっとジャンル分けに困るような一冊でした。
4103512113
お笑いコンビ・カラテカの矢部太郎が引っ越した家には、一階に恒例の大家さんが住んでいる。二人の交流を描くコミックエッセイ。

話題になっていた本、いまさらながら読みました。
この不思議な関係ってどういうんだろう、としばらく考えたんですが、推薦文を読んで、友情かあ! となりました。友情は友情でも、家族に近しい友に感じる、愛情を伴った友情ですね。
大家さんのマイペースさとチャーミングなところがとても可愛い。それに振り回されている矢部さんは本当に気持ちの優しい人なんだなあ。普通の人としてちょっとずるいところも含めて、漫画に描かれているところが正直だなあと思いました。
4167679361
女児誕生の喜びに沸く大丸家の別荘。だが母親は出産の疲労から急逝し、赤児は、同じ日に娘が生まれた漁師の家に預けられた。数日後、娘を迎えに来る大丸氏。しかし、その手に戻されたのは実は漁師の娘だった。取り替えられて富豪の娘となった千鶴子、漁師の娘として育つしのぶ、二人を待ち受ける運命とは?(裏表紙より)

同じ日に生まれた赤ん坊。かたや資産家の娘、一方は貧しい漁師の娘。預けられた先で火傷を負ったために、褒美の取り分を気にした漁師によって入れ替えられた赤子たちは、数奇な運命のもとに成長するが。
入れ替わった先で、漁師の娘はご令嬢として高飛車な性格に、資産家の娘は心優しく賢い娘に育った。果たして正しい居場所に戻れるのか、という話で、時代柄もあると思うんですが、みんな信心深く、清らかな心根を持つことを美徳とするのでものすごい理不尽や意地悪に過剰に怒りを示すこともない、という。こういう一つの完成された世界なんだなあ、と興味深く読みました。
4813709532
誰にも愛されない悪役王妃、前世の記憶で反撃開始!!
OLの理世は、ある日歩道橋から落ち読んでいた小説の中に転生してしまう。しかもよりによって生まれ変わったのは悪役王妃のアリーセで!? 平和に暮らしたいのに、このままではあらぬ罪を被せられ処刑まっしぐら。ならばシナリオをぶっ壊し、華麗に破滅エンドを回避してみせましょう! 虐げられたドン底悪役王妃の快進撃が始まる!(裏表紙より)

転生じゃなくて入れ替わりですね。最後のシーンを伏せるためにあえて転生にしてるのかな。
日本人の女性でOLだった理世は、気付いたら読んでた小説の中の登場人物であるアリーセになっていた。このまま持っている記憶でチート……と思いきや、小説は読んでいた途中で誰がアリーセを陥れたかわからない。けれどとにかく何もしなければ破滅する現状を回避するために動くと決めた。
虐げられていたアリーセではなく、現代日本人としてのスルースキルというか立ち回りというかで、絶妙に逃げつつ、誰が企みを持っているかを探る主人公。王妃のままでいるのがなんというか、肝がすわってるなあ。
結局悪党たちは逃げてしまったし、頼みの王太子も好きな女性の尻に敷かれている感じだしで、このままアリーセがなんとかして国を守る展開になるのかな。
B00HSECC66
世界に冠たる「かわいい」大国ニッポン。キティちゃん、ポケモン、セーラームーンなどなど、日本製のキャラクター商品が世界中を席巻している。では、なぜ、日本の「かわいい」は、これほどまでに眩しげな光を放つのか? 「かわいい」を21世紀の美学として位置づけ、その構造を通時的かつ共時的に分析する。(Amazonより)

2006年の本なので「かわいい」という言葉の持つ意味、認識、捉え方がまったく違うものになってきているだろうけれど、当時はこんな風に見ている人がいたんだなと思って興味深かった。特に雑誌における「かわいい」の伝え方は、なるほどなーと思いました。
しかし、セーラームーンに関する記述が、アニメ本編のみのそれも曖昧な知識で書かれていて、原作にも当たっていないところに思いっきり不信感を抱いてしまいました。セーラームーンこそ「かわいい」を描きながら「かわいい」に対局するものを描こうとしているように思うんだけどなあ。
4106108097
イタリアに暮らし始めて三十五年。断言しよう。パスタよりもっと美味しいものが世界にはある! フィレンツェの絶品「貧乏料理」、シチリア島で頬張った餃子、死ぬ間際に食べたいポルチーニ茸、狂うほど愛しい日本食、忘れ難いおにぎりの温もり、北海道やリスボンの名物料理……。いわゆるグルメじゃないけれど、食への渇望と味覚の記憶こそが、私の創造の原点——。胃袋で世界とつながった経験を美味しく綴る食文化エッセイ。(カバー折り返しより)

ヤマザキマリさんのエッセイを最近続けて読んでいるので、話のつながりがわかって面白いな。これは留学時代や結婚後に住んだところ、実家や義実家の食べ物の話。
どんなのだろう、食べてみたいなあと思わせるものもあれば、ヤマザキさんも苦しんだという地域性や食材の強烈さにうっとなったりと、楽しい。特に病人食の話が面白かったなあ。
4040736796
 仙娥の懐妊が分かり、後宮は慌ただしい雰囲気に包まれる。その間「茹昭儀には手を出さない」と言っていたはずの文林から小玉への弁明はなかった。
 そんな中、紅霞宮では小玉と女官たちを謎の体調不良が襲っていた。療養のため都を出た小玉たちと入れ替わりに、徐麗丹が紅霞宮に泊まり込み原因究明に乗り出していた。犯人かと思われた仙娥だったが、確実な証拠は何もなく、歯がゆい時間だけが流れていく。
 しかし距離が離れている間、確実に小玉と文林の間の溝は深まっていき、ついには——。(裏表紙より)

おおー……と感嘆してしまった、妃嬪の懐妊と小玉と文林の溝の顛末の一端。いや多分弁明しないあたりそういうことなんだろうと思ってはいたんですが、最後の方で告白があってやっぱり色々と衝撃だった。これまで文林に抱いていたもやもやが同情に変わるくらいには。
世代交代の波、各国の動き、小玉の今後など続きもめちゃくちゃ気になる。いやでも小玉は多分上がってくると思うんだ。じゃないと伝説にはならないでしょう。
4167832011
プロテスタント系女子高の入学式。内部進学の希代子は、高校から入学した奥沢朱里に声をかけられた。海外暮らしが長い彼女の父は有名なカメラマン。風変わりな彼女が気になって仕方がないが、一緒にお昼を食べる仲になった矢先、希代子にある変化が。繊細な描写が各紙誌で絶賛されたオール讀物新人賞受賞作含む四篇。解説・瀧井朝世(裏表紙より)

何者にもなれない少女、いいよね……。
思わず万感の呟きが漏れてしまうんですけれども、「特別」になりたい女子高生たちが、「特別感」のある人やものに憧れ、近付こうとし、結局何にもなれずに大人にならなければならないという残酷さは、読んでいてすごく胸にくるし、ぎゅっとなる。
特に「甘夏」の、誰よりも抜きん出る方法が男性と付き合うことという、愚かしいほどの世界の狭さが、痛々しくて愛おしい。そんなことをしても特別にはなれないと知っているだけに、もどかしい思いもする。
最後の「オイスターベイビー」はよかったな。大人になれたという感じがあった。
4098253240
経験した仕事は、チリ紙交換のアルバイトに始まり、絵描き、大学教師、料理講師、テレビレポーター、オフィスワーカー等、数知れず。時にはダブルワークならぬ「10足のわらじ」で奮闘。『テルマエ・ロマエ』ヒット時には、漫画家を辞めたくなるほどのトラブルも。貧乏や挫折を経験するも、そのたびに立ち上がり、働き方を変えてきた著者が語る、体験的な「仕事やお金とのつきあい方」。(カバー折り返しより)

波乱万丈なヤマザキマリさんの「仕事」と「お金」の話。『国境のない生き方』よりもかなり深くこれまでの生活について書かれており、なんと意志が強くてたくましい人だろうとため息が出てしまう。
若いときの苦労話もすごかったですが、その後『テルマエ・ロマエ』に関する思い入れの話や当時の「原稿料100万円」についても書かれていて、なるほどなあと思いました。悪い慣習やみんなそれに習う雰囲気については思うところがあるので、よい方向に変えられたらと思うけれど、難しいな……。
Profile
Author:月子
読んだものやら見たものやらの記録
Search
Calender
04 2024/05 06
S M T W T F S
1 2 3 4
5 6 7 8 9 10 11
12 13 14 15 16 17 18
19 20 21 22 23 24 25
26 27 28 29 30 31
Archive
Shopping
Analyzer
Counter
忍者ブログ [PR]