読んだ本とか、漫画とか、映画とか、色々

ロンドンから出帆し、波高き北海を三日も進んだあたりに浮かぶソロン諸島。その領主を父に持つアミーナはある日、放浪の旅を続ける騎士ファルク・フィッツジョンと、その従士の少年ニコラに出会う。ファルクはアミーナの父に、御身は恐るべき魔術の使い手である暗殺騎士に命を狙われている、と告げた……。
自然の要塞であったはずの島で暗殺騎士の魔術に斃れた父、〈走狗(ミニオン)〉候補の八人の容疑者、いずれ劣らぬ怪しげな傭兵たち、沈められた封印の鐘、鍵のかかった塔上の牢から忽然と消えた不死の青年――そして、甦った「呪われたデーン人」の襲来はいつ? 魔術や呪いが跋扈する世界の中で、「推理」の力は果たして真相に辿り着くことができるのか?
現在最も注目を集める俊英が新境地に挑んだ、魔術と剣と謎解きの巨編登場!(カバー折り返しより)
中世ヨーロッパ、魔術が息づく世界で、とある島で起こった殺人事件とその顛末。
ファンタジーとミステリーの融合、すごくいいですね! 思っていたより堅実な世界設定だったので便利な魔術の存在がどうトリックに繋がるのかどきどきしていたんですが、最後の最後に積み上げたものの形を見たとき、ああこの設定じゃなきゃ書かれなかった作品だな、と思いました。
アミーナとニコラの交流がとても微笑ましい。最後に独り立ちすることになったニコラは、まさしくこれから続く物語の「主人公」という感じ。アミーナも冷静で賢い娘で、この時代においては名もなき女でしかない彼女が語り手であるのは大きな意味があったと思います。つまりものすごく好みでした。
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仙娥の罠にはまり、皇后の地位を剥奪された小玉。綵とともに後宮最下層の冷宮に送られ、誰もが小玉の過酷な未来を予想した。
しかし意外にも、小玉は生き生きと下働きに励みはじめる。さらに冷宮での生活で、小玉は走り続けていた自分を見つめ直す、凪のような時間を得ていた。
その一方、珍しく文林が真桂のもとを訪れる。文林が真桂に持ちかけたのは、小玉救出のための悪あがきのような一手だった。
本人ですら死を覚悟した環境の中、小玉が助かる道は果たしてあるのか——。(裏表紙より)
皇后の位を剥奪された小玉。したがって文林とは離縁し、二人の部下たちとともに最下層の冷宮に送られる。
あらすじほど生き生きしているわけではないですが、生来の強さと、味方たちが手を回してくれたおかげで、難なく切り抜ける。小玉自身はほとんど動いておらず、過去へと思いが向いてしまうのは、やっぱり彼女も歳をとったということなのかもしれません。
一方、後宮の状況はめまぐるしい。仙娥の結末があれって、すごく中華風後宮の闇を感じました。この状況で、小玉は今後どうするんだろうな。ラストシーン、読んでいた私もちょっと衝撃でした。

14歳で作家デビューした過去があり、今もなお文学少女気取りの栞子は、世間知らずな真実子の憧れの先輩。二人の関係にやたらイラついてしまう美人で頑張り屋の美里は、栞子の恋人である大学教授に一目惚れされてしまう――。名門女子大を舞台に、プライドを持て余した女性たちの嫉妬心と優越感が行き着く先を描いた、胸に突き刺さる成長小説。(裏表紙より)
未だ文学少女気取りで自分が特別であるというようにしか振る舞えない栞子。入院生活が長かったため世間知らずで己の立ち位置を知らないでいる真実子。上手く立ち回るために努力を重ね、目標に向かって突き進む美里。女子大生という、少女のような大人のような曖昧な年齢の彼女たち。それぞれの視点でものを考えると、見える世界が全然違うことに気付かされて、うわあ……と思う。なのに、めちゃくちゃ面白い。
特に嫌な役としての栞子の描き方がすごい。少しでも努力して、他人より優位に立とうなんて考えなければ、きっと美里のように自立できたはずなのに。だから二人は反発し合うんだろうなあ。結局、彼女は男にちやほやされたいという思いだけでゆっくり転落していく。
そんな彼女をアウトローに感じて憧れていた真実子は、一気にスターダムを駆け上がる。病弱という点はあれど、生まれも育ちも恵まれ、素直な性格から才能すら秘めていた彼女に嫉妬する人も多そうだけれど、そうならないのは人徳なのかなあ。けれど最後、彼女もだいぶと業界に揉まれて、しっかり意見を伝えられるようになっていたのは、爽快でもあり、ちょっと怖くもありました。彼女は自分が強者であると知っているんだな……という。

かつて木挽町という町があって、そこに曾祖父が営む鮨屋があった。一代で消えた幻の店を探すうち、日常と虚構、過去と現在がゆらゆらと絡み合いひとつになってゆく。少年時代のこと、出会った本や音楽のこと、東京という町のことなど、日々の暮らしによぎる記憶と希望を綴った、魅惑の吉田ワールド。新たな書き下ろしを加えて、待望の文庫化。解説 坪内祐三(裏表紙より)
半分くらいまでは何故か読みづらくてなかなか進まなかったんですが、後半からだいぶと現実の世界の話に近付いてきたからか読みやすくなった気がします。そんな感想が出てしまうほど、エッセイなのに、どことなく虚構の日記のような、とりとめのない話や空想、思索といったものが繰り返されていて、エッセイ? ノンフィクション? とちょっとジャンル分けに困るような一冊でした。

女児誕生の喜びに沸く大丸家の別荘。だが母親は出産の疲労から急逝し、赤児は、同じ日に娘が生まれた漁師の家に預けられた。数日後、娘を迎えに来る大丸氏。しかし、その手に戻されたのは実は漁師の娘だった。取り替えられて富豪の娘となった千鶴子、漁師の娘として育つしのぶ、二人を待ち受ける運命とは?(裏表紙より)
同じ日に生まれた赤ん坊。かたや資産家の娘、一方は貧しい漁師の娘。預けられた先で火傷を負ったために、褒美の取り分を気にした漁師によって入れ替えられた赤子たちは、数奇な運命のもとに成長するが。
入れ替わった先で、漁師の娘はご令嬢として高飛車な性格に、資産家の娘は心優しく賢い娘に育った。果たして正しい居場所に戻れるのか、という話で、時代柄もあると思うんですが、みんな信心深く、清らかな心根を持つことを美徳とするのでものすごい理不尽や意地悪に過剰に怒りを示すこともない、という。こういう一つの完成された世界なんだなあ、と興味深く読みました。

誰にも愛されない悪役王妃、前世の記憶で反撃開始!!
OLの理世は、ある日歩道橋から落ち読んでいた小説の中に転生してしまう。しかもよりによって生まれ変わったのは悪役王妃のアリーセで!? 平和に暮らしたいのに、このままではあらぬ罪を被せられ処刑まっしぐら。ならばシナリオをぶっ壊し、華麗に破滅エンドを回避してみせましょう! 虐げられたドン底悪役王妃の快進撃が始まる!(裏表紙より)
転生じゃなくて入れ替わりですね。最後のシーンを伏せるためにあえて転生にしてるのかな。
日本人の女性でOLだった理世は、気付いたら読んでた小説の中の登場人物であるアリーセになっていた。このまま持っている記憶でチート……と思いきや、小説は読んでいた途中で誰がアリーセを陥れたかわからない。けれどとにかく何もしなければ破滅する現状を回避するために動くと決めた。
虐げられていたアリーセではなく、現代日本人としてのスルースキルというか立ち回りというかで、絶妙に逃げつつ、誰が企みを持っているかを探る主人公。王妃のままでいるのがなんというか、肝がすわってるなあ。
結局悪党たちは逃げてしまったし、頼みの王太子も好きな女性の尻に敷かれている感じだしで、このままアリーセがなんとかして国を守る展開になるのかな。