読んだ本とか、漫画とか、映画とか、色々
14歳で作家デビューした過去があり、今もなお文学少女気取りの栞子は、世間知らずな真実子の憧れの先輩。二人の関係にやたらイラついてしまう美人で頑張り屋の美里は、栞子の恋人である大学教授に一目惚れされてしまう――。名門女子大を舞台に、プライドを持て余した女性たちの嫉妬心と優越感が行き着く先を描いた、胸に突き刺さる成長小説。(裏表紙より)
未だ文学少女気取りで自分が特別であるというようにしか振る舞えない栞子。入院生活が長かったため世間知らずで己の立ち位置を知らないでいる真実子。上手く立ち回るために努力を重ね、目標に向かって突き進む美里。女子大生という、少女のような大人のような曖昧な年齢の彼女たち。それぞれの視点でものを考えると、見える世界が全然違うことに気付かされて、うわあ……と思う。なのに、めちゃくちゃ面白い。
特に嫌な役としての栞子の描き方がすごい。少しでも努力して、他人より優位に立とうなんて考えなければ、きっと美里のように自立できたはずなのに。だから二人は反発し合うんだろうなあ。結局、彼女は男にちやほやされたいという思いだけでゆっくり転落していく。
そんな彼女をアウトローに感じて憧れていた真実子は、一気にスターダムを駆け上がる。病弱という点はあれど、生まれも育ちも恵まれ、素直な性格から才能すら秘めていた彼女に嫉妬する人も多そうだけれど、そうならないのは人徳なのかなあ。けれど最後、彼女もだいぶと業界に揉まれて、しっかり意見を伝えられるようになっていたのは、爽快でもあり、ちょっと怖くもありました。彼女は自分が強者であると知っているんだな……という。
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