読んだ本とか、漫画とか、映画とか、色々
1980年の旧東ドイツ。田舎町に赴任してきたバルバラは、西側への移住を拒否されこの町にやってきた。秘密警察に監視されながらも、恋人と密会を重ね、西への密入国を進めようとするバルバラだが、同僚の医師アンドレとの交流に少しずつ心を温められていく。ついに逃亡の日がやってくるが、バルバラの選択は……。
音楽がほぼない静かな作品で、映像から感じ取れる雰囲気が、常に息苦しく張り詰めている。田舎町の閉鎖的な感じもそうなんだけれども、都会はもっと荒んでいて凄まじいのではないかと思わせるものが、目つきが鋭くほとんど笑わないバルバラから感じられる。
物語としては、西ドイツへ移住を試みながらも失敗し、田舎へ送られてきた女性医師が、秘密警察の監視の目をかいくぐって西ドイツへ行くことができるのかというもので、同僚のアンドレや患者たちと関わっていく中で、果たしてバルバラは移住することを選択できるのかというものになっていきます。
責任、というわけではないけれども、どこでどのように自分らしく生きるのかということでもあるのかな……。バルバラの選択は、ここではどうしても生きられないという人に生きる場所を譲ることだったのかな。少なくともバルバラは強い人でそれを選べたけれど、アンドレの存在があれば心穏やかに暮らしていけるとも限らないわけだよなあ。
バルバラの目や雰囲気に飲まれるような印象の作品でした。
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