読んだ本とか、漫画とか、映画とか、色々

世界にゾンビウイルスが蔓延し、多大な犠牲を出してから七年。いまではゾンビはすっかり少なくなり、とある島に隔離され、安全な場所からハントされる獲物となっていた。父親をゾンビに殺されたメラニーは、そのトラウマを克服するため、カウンセラーの勧めでその島に向かう。だがその島のセキリュティシステムがダウンし、脱出しなければ空爆を受けるという状況になってしまい……。
ゾンビを狩るリゾートなんて悪いことしか起きないじゃないか。
というタイトルとあらすじからお馬鹿映画を想像していたんですが、思ったよりもちゃんとしていて面白く見てました。ゾンビというものを「作る」のと、それを消費して、補充して……という地球に末期感を覚えましたし、生き残る人間が(リゾートでも地球においても)最低な人間ばかりという印象で、けれどラストはちゃんとその呆れの気持ちも回収していってくれたのがよかった。海を渡るのは新しいな!
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地獄に落としたい相手を、午前零時になるとアクセスできる地獄通信に書き込む、すると地獄へ落とすことができる、という都市伝説があった。女子高生の美保は、話が合わないクラスメートたちと過ごすのに疲れつつ、自分の好きなアーティスト・魔鬼のライブへ行く。そこで痴漢にあったところ助けてくれた遥の奔放さと魅力に惹かれていく美保。やがて美保は遥のために地獄通信に書き込むが……。
アニメは視聴済み。地獄少女の扱い方がちょっとアニメと違う気がしますが、これはこれで面白かった気もします。
ちゃんと少女漫画雑誌のホラー作品の映像化っていう印象なのは、地に足ついた設定と突飛な設定が上手く組み合わさっているからかなあ。クラスや友達に馴染めないというリアリティと、ライブに行った先で知り合った子と友達になって、彼女がアーティストと接近して、そのアーティストが実は悪人かつ狂信者でというもりもり設定。地獄通信によって人が死ぬものの、本当に怖いのは人を呪う人間であるという描き方も面白いと思いました。閻魔あいちゃんは求められるままに地獄に落としているだけなのでね!

高度な科学力を有する帝国。魔女の国と呼ばれる能力者の国ネビュリス皇庁。長く戦い続ける二国にそれぞれ所属する少年兵イスカと王女アリスは出会った。中立都市での交流を経て、お互いを好敵手とみなしながら、自分自身が望む世界平和のために行動していく。
原作は一巻を読了済。「ロミオとジュリエット」的な境遇の二人ですが、イスカは強さと優しさを備えた素直な少年、アリスは王女ながら感情豊かで情にもろい少女。二人と周囲の濃いキャラクターの関係性と、世界観と、各国が隠す建国あるいは世界の秘密が魅力的なファンタジーですね。原作が未完結なのでアニメも途中まで。
やっぱり一巻に当たるエピソードが絶妙に楽しい。反目し合う国に生まれついた二人が、中立都市で、友人未満ながらもデートのようなものを楽しみ、お互いを知って認め合い、ついには共闘する。なんて素晴らしい展開なのか。

左遷された軍人ウリセスは、嫁レーア、家出してきた妹ジャンナとともに、ゆっくりと田舎の生活に馴染み始めていた。そこへ舞い込んだ、部下エルメーテとジャンナを巡る騒動。静かな日々が、にわかに騒がしくなっていく——(帯より)
強面の最強軍人ウリセスと、生まれも育ちも田舎で純朴ながら芯に強さを秘めたヴァレーリア、ぎこちないながらも夫婦になっていく二人の物語、第二巻。
これを読むと、家族になるって難しいなあと思うと同時に、微笑ましいなあという気持ちになります。お互いの大事なものを理解し、心を尊重し、一緒に生きるってとてもとても難しい。血の繋がりがあるからうまくいくわけでもないけれど、いろんな縁が繋がっていって主役夫妻以外の人たちの世界も広がるのが読んでいてすごく楽しい。
今回は以前敵対した相手と再び剣を交える展開があり、そう遠くないうちにウリセスが都のごたごたに巻き込まれそうな気配を感じました。でも乗り越えられるって信じてるよ!

塩の霧で立ち枯れした木々と、狂暴化した動植物に囲まれた地、キヌーヌ。創造主パナードの手で最強の異形へと変えられ、殺人を強制されていた青年・金目は、彼を騎士と呼び慕う少女シエラと出会ったことで自我を取り戻す。主への復讐のため、異形のものたちに戦いを挑む金目。しかしシエラに内在する、進化に繋がる世界の秘密が、二人を想像もし得ない運命に導こうとしていた。(裏表紙より)
ファンタジーSF作品。どこかの世界で、不思議な力を持つ者たちと支配される人々がいて、という世界観に、「小さな生き物」と呼ばれる進化の本能、あるいはナノマシン的な特殊な生命体。あっという間に成長する不可思議な少女と、洗脳から目覚めて自我を取り戻し守るものとしての誇りを得る男。善良だが無力ゆえに迷える村娘、放浪の身ながらも洗練された立ち居振る舞いをする謎めいた青年。
これらの組み合わせが美味しくないわけがない! 特にラチータとロウゼルが! 正義を貫きたいと願いつつも迷ってしまう村娘に、身分を隠した青年が手を差し伸べる展開、とてもいい。また金目とシエラの関係性も素晴らしくいい。恐ろしさすら感じる特異な少女が成長して女神的になるのが神秘的。おぞましい面を持ち合わせているというのもきっちり描写されているのがいいなあ。SFらしくグロテスクなものも描かれているのもよかった。

定番の氷室冴子や折原みと、みんな大好き小野不由美・須賀しのぶ、直木賞作家の知られざる傑作からマニアックな逸品まで…目利きが選んだ珠玉の名作が勢揃い!(帯より)
「少女小説」あるいは少女を主人公とした成長や冒険、恋などの物語を紹介するブックガイド。どちらかというと多くの人に知られている作品や、いま手に入りやすい作品の紹介が多かった気がします。私でも読んだことのある作品がすごく多かった。
いやあ、自分が「面白い」と思って手元に残している本が紹介されているとすごく嬉しいですね! こんなマイナーどころに来たか! みたいな。
で、ですね……このブックガイドの何がすごいかというと、冒頭の津原泰水先生や若木未生先生のインタビューだと思うんですよね……。特に若木先生の話、怖くて辛くて震えました。なんというか、そういうランクの作家、作品として考えられていたってことかなって……。

ワケあり王太子殿下と結婚した貧乏伯爵令嬢リネット。彼女が新米王太子妃として四苦八苦していたある日、隣国の王女ソニアが立太子するという知らせが届き、喜んでいたのだけれど……。新婚旅行も兼ねて向かった先で、王女が開催する大お見合い会に審査員として参加することになってしまって!? お見合いなのに特技の披露って、どういうこと? でもこうなったら、新婚旅行を全うするためにお見合い会を乗り切ります! ワケあり王太子殿下と貧乏令嬢の王宮ラブコメディ第7弾!(裏表紙より)
新米王太子妃として頑張るリネットが、アイザックと庭を散歩するシーンにぐっときました。ほら、一巻だと令嬢教育の最中でがちがちだったし、アイザックは無自覚だったし! 二人並んで自然と歩けるくらいの時間が流れて、想いが育ったんだなあと思うと感慨深かった。
今回は他国への公務。普段着で城下町デートする二人の可愛いこと可愛いこと。ピンナップの料理美味しそう!
そしてそんな仲のいい二人だからこそのすれ違い。こういう、守られるだけじゃないと怒るシーンはいまの作品じゃないとなかなか見られない気がします。相談しろやー! と怒る対象はヒロインだけじゃないんですよね。
今回はエルヴェシウスから新キャラ登場。次は魔法大国がらみかな。個人的にレナルドおにいさまの結婚のあれやこれやが読みたいです!

突如として謎めいた出口のない部屋に閉じ込められた人々。警官のクエンティンは、同じ状況にある人々をまとめ、時に反目し合いつつ出口を探す。しかしこの建物は移動する部屋を間違えると命を落とす罠が仕掛けられていた。正解の部屋を導き出すための法則とは? 果たして外に出られるのか。
すべてが謎のまま、閉じ目られた人間が疑心暗鬼になり、罠ではなく悪意によって脱落していく作品。ラストのうわー! とああ……というアップダウンが最後まで余韻を残すスリラーでした。
何故ここに閉じ込められたのか。この建造物の目的は何か。誰の仕業か。などということはまったく明かされないままなんですが、それはそれで良いと感じました。とにかく人間関係のギスギスっぷりと、謎を解く面白さ、希望を抱いたところで絶望する緩急がよかった。はらはらしつつも、これは絶対メインを張っている人たちは誰も助からないんだろうなあと思っていたら案の定ですよ。出られたのがあの人だったことも暗示的でした。

ルーザーズ・クラブがペニーワイズを追い払ってから27年後。あれが現れたら連絡すると約束し、大人になってそれぞれの場所で暮らしていた彼らだったが、あのときのことは何故かすっかり忘れていた。しかし一人だけ地元ベリーに住み続けていたマイクだけがそれを覚えており、仲間たちに連絡を入れる。
「IT イット “それ”が見えたら、終わり。」の続編。この話、きっと子どもが主人公だったからめちゃくちゃ怖くて、なのにわくわくしたんだよなあ。大人になって戦うことにも大きな意味はあるんだけれど、続編としては別のものになっている感があって違う形で面白いと思いました。
子どもの頃を忘れ、豊かに暮らしながらもどこかで敗北感や空虚を抱えて大人になった彼らが再び集い、少年時代のトラウマや傷と向き合い、乗り越える物語……なんて書くとすごく道徳的な話のように思えますが、実際は何かと襲われるし、誰か死んだり傷ついたりするし、危なかったりもするしとちゃんとホラーしてました。
排水口に呼ばれているの、絶対行っちゃだめだってわかるのに手を伸ばして、やっぱり襲われるからそれ見たことか! ってなってちょっと面白かった笑

無差別連続爆破事件に居合わせた精神科医の鷺谷は、刑事の茶屋が拘束した「鈴木一郎」を名乗る男の精神鑑定を担当する。人間らしい感情を持たず、常に抑制している鈴木の秘密が明らかになる頃、連続爆破事件の真犯人もまた彼女たちに近付きつつあった。
女性精神科医が刑事と協力しつつ、謎めいた男に振り回されて事件を解決する話、だけにはとどまらなかった。ダークヒーローの誕生と旅立ちを見届ける作品だったなあと思いました。
すごく堅実な話運びなのに、事件や仕掛け、個々の能力が驚く規模だったり高水準だったりするありえなさというバランスが絶妙という印象です。並外れた知能を持つ子どもを犯罪者専門の殺人ロボットにできる? あんな簡単にたくさんの人が吹っ飛ぶ爆弾を用意できる? 天才的な頭脳の持ち主で、両親を殺害したのに証拠不十分で未逮捕、末期がん、解除したら爆発する爆発物を作るなんて設定もりもりにする? 破綻していないのが本当にすごいんですが、これはやっぱり「脳男」たる鈴木一郎こと入陶大威の存在感が大きいんだろうな。