読んだ本とか、漫画とか、映画とか、色々
その沼へ落ちることを、浪費ではなく、人は愛と呼ぶ。
12本の告白寄稿から、ここでしか読めないインタビュー、恒例の雌猫座談会まで…共感と希望の涙が詰まった1冊!(帯より)
安室透、セーラームーン、ハイロー、スケート、ヅカ、野球、パンダなどなど、それぞれの沼とそれへの愛についていろんな人が語る一冊。パンダ沼とAV女優沼がたいへん興味深かったです。好きなものって人それぞれなんだなあという思いを強くして勇気をもらえる。
何かを好きでいる、そのためにお金を使うっていうことが人生を豊かにするんだよなあ。お金をかけた方が勝ちっていうマウントについてもちらっと触れられていますが、人と比べてしまうのは仕方のないことだし、難しいよなあ。好きっていう気持ちだけではどうしようもないところもあるし……。
いやしかしみんな淡々とお金を使っていて面白かった。人それぞれ!
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『想像力が結晶して、アニメーションができあがる。そこから世界を覗けば、見えないものが見えてくる。あなたの人生を変えるアニメが、きっとあなたを待っている。』(カバー折り返しより)
「14歳の世渡り術」シリーズ。珍しくて思わず手に取ったんですが、ブックガイドならぬアニメガイドです。声優、アニメ監督、漫画家、編集者、学者などなど、そうした人たちがおすすめ(というよりかは思い入れのある)アニメを挙げて、少し語ってくれる。
最新とも言えるような「君の名は。」、SideMから、「アパッチ野球軍」「銀河鉄道999」。ニッチなところでいうと「灰羽連盟」や「電脳コイル」なんかも。巻末にも少しだけ作品紹介があって「白蛇伝」を取り上げたり「ふたりはプリキュア」の名前があったりと、幅広いところから厳選してるんだなあと思って嬉しくなりました。
フランチェスカ王国を統べる女王の服を仕立てる者は国最高位“王宮裁縫師”の称号を与えられる——幼い頃に両親と生き別れるも天才的な刺繍の腕を持つレリン。女学校に通う中、全校生徒が“王子様”と憧れる騎士フォルスと出逢い、彼の支えで王宮裁縫師に挑むことに。そんな時、王女編入の噂が流れ事件が…!? 「あなたには、夢がありますか」少女は縫い裁つ力で運命を切り開く。第15回小説大賞、優秀賞&読者賞W受賞作!!(裏表紙より)
児童文学のような可愛らしいお話。不幸な境遇の女の子が自らの持つ才能で運命を切り開く、可愛らしくもドラマチックで、とても少女小説という感じの作品だったように思います。
学校に王女様が編入してきて友達になるとか、平民ながらも貴族も参加する審査会に挑むとか、胸糞悪すぎる養父母をヒーローたちがぎゃふんと言わせるとか、王道も王道で楽しい。フェドーレ一家がものすごいひどい人たちで、しかも毒を盛ったこともあるとかやばすぎる養母だったのでフォルスたちが踏み込んできたときは「きたきたきたぁああ!」って叫んでしまいました笑 ざまあみろ!笑
レリンは「王家の裁縫師」への大きな一歩を踏み出したので、これからルディアたちとともに歩んでいくのかな。彼女たちの未来を応援したくなる素敵なファンタジーでした。
ひ弱で力のない少年だったチポロは、ある日彼を哀れんだツルの神が自ら矢に当たったことにより少しずつ生きるための力を蓄えていく。チポロの日々が変わり始めた頃、幼馴染の少女イレシュが魔物たちによって連れ去られてしまう。それから三年後。自らの無力を悔いたチポロは自身を鍛え上げ、弓矢の良き使い手になっていた。そんなときイレシュらしき「氷の魔女」の噂を聞き……。
アイヌ民族を描く児童文学。無力な少年がめきめきと力をつけて、幼馴染を助け出すべく旅立つ。そして彼には神様であるオキクルミにまつわるとある秘密が。
力強くて優しいお話で、神様と人間の違いを描きつつも、人はそれでも強く、善性を信じて生きていてほしいと願いが込められているように感じました。結構オキクルミもその部下であるヤイレスーホも勝手なんですが、それがまた人間臭くて面白い笑
ヤイレスーホとイレシュは異種族恋愛か!? とわくわくしてしまったんですが特にそういうことはなく。ヤイレスーホがかわいそうな終わり方でちょっと残念……ロマンスがあっても楽しかっただろうなと思う少女小説脳です。
「女子校っぽいよね」——同性にはすぐにピンとくるらしい。モテることより先に笑いをとりにいく、基本は他人に関心がない、余計なことをつい言ってしまう……一見すると、好き放題。
そんな女子校出身者は社会に出て、冷たい視線にさらされる。異性もいる職場での女子どうしの監視。男性上司のメンツがわからない。
「世間知らず」。誇りとコンプレックスの狭間で悩む彼女たち。でも空気を読まずに自分を主張できることこそ、新しい時代を生き抜く力では。ここにきて一部で人気が上昇! なぜいま女子校なのか? 78名の取材から見えてきた、いまどきの女子校育ちの強さと存在感のヒミツ。(裏表紙より)
学校のことは全然詳しくないので、女子学校に「名門」「進学校」なんてジャンルがあるとは思わなかった。がっつりお嬢様系の学校もあれば勉強を主体としてキャリア育成する学校もあるのね。面白い。
女子校出身ならではの功罪というのか、女子校はだいたいのものが受け入れられる楽園で、けれど大人になるとコミュニケーション能力に問題があるように自覚されて……という成長の仕方には、そういうこともあるのかあと興味深く読みました。女子校にはいじめがあるともないとも聞きますが、いまはまたどうなんだろうな(この本は2013年の本)。やっぱりスクールカーストが存在してるんだろうか。存在していたとしても緩いんだろうか。
女子校の話をしながら最終的に成人した女性たちが社会でどのように生きているか、何を感じているかという話も軽くまとめてあって、最終的に女性の社会進出の話に結論したのはへえーと思いました。知らない世界で面白かった。
美術館に保管されていたオーメダルの封印が解かれたために、800年の眠りから目覚めた怪人グリードたちが街へ逃亡した。警備員として雇用されていた火野映司は、偶然落ちていたメダルを給料と思い、それを拾って持ち帰る。だがそこへ腕だけの怪物アンクが現れ「俺のメダルを返せ」と言ってきた。
メダルで変身する仮面ライダー。世界中を放浪する独特の包容力を持つ主人公・火野映司と、欲望に執着し人間のあり方を理解できない怪人のアンクのコンビが、人や自身の欲望と向き合うストーリー。
この映司とアンクの関係が、ラストに向けてもうはらはらどきどき、最後には涙で……。欲望=夢や願いなんですが、望みを自覚できておらず常に自己犠牲的な映司と欲望を手放せないアンクという二人が、ラストに向けて持っていなかったものを手に入れるという素晴らしい展開。人でないものが人のようにありたいと願い、周りに感化され、自らの行動に満足して消えることを決めるなんて、涙なくしては見られない最終回……。リアタイ勢の阿鼻叫喚が想像されてたまりませんでした。
最後まで見るとアンクが愛おしくてたまらなくなる。映画ではちょろっと出たりしているんですよね。見に行ったときはぴんときていなかったけれどもう一度見て「アンクー!」って叫びたい。
2007年、とある青年が手に入れた大量のネガ。その古い写真を現像してネット上にアップすると素晴らしい作品だと賞賛の声が上がった。彼はそのネガから「ヴィヴィアン・マイヤー」という人物名を見つけ、彼女を探す。するとその訃報が検索で引っかかった。謎の写真家ヴィヴィアン・マイヤーとは……?
ドキュメンタリー。不思議な力強さと魅力を秘めた多数の写真を見つけたジョン・マルーフは、ヴィヴィアン・マイヤーが撮影したと思われる写真で作品展を行う。彼女は死後に脚光を浴びたが、それゆえに謎の満ちていた。マルーフは彼女の足跡を追って、家政婦をしていた家、乳母をしていた家などを訪ねてインタビューしていく。
そこから浮き上がってくるのは、発表することはなくても淡々と自分の作品を作っていく、職人のような表現者だったということ。何か悲しい過去があったのか天涯孤独で、新聞を乱読し、溜め込み癖的な収集癖がある変わり者だったということ。
すごくドラマティックなように思えるけれど、なんだろう、すごく物寂しいような……。世界から弾かれていたわけではないだろうけれど、自分と向き合い続けるあまり閉じられた世界に生きて、外側にある世界を撮影している女性の姿が浮かんで、なんだか胸がきゅっとする。
写真を見たいという声は、あなたが何を見ていたのか知りたいという気持ちなんじゃないかなあと思う。謎めいた人だったけれど、そのことを知らない人たちも写真から彼女の複雑な、人間的な内面を感じ取ったんじゃないかなあ。
この注目を本人が喜んだどうかは永遠の謎だけれど、作品が世に出て、誰かの心に響くなら素晴らしいことだと思う。面白いドキュメンタリーでした。
「女の子だけがかかる呪い」の噂が囁かれている全寮制女学園の生徒であるミチは友人のアヤを案じていた。外に出てこなくなったのだ。だがそれから生徒が次々と失踪する事件が起き、その背後にはアヤそっくりの少女の写真があった。アヤの幻に「私の呪いを解いて」と告げられたミチは、アヤとともに謎を解こうとする。
どこが「零」なんだろうという魔改造感がありますが、美少女たちの全寮制学園というのは大変美味しい。
写真にキスをすれば呪いがかかるという都市伝説的な噂が囁かれる閉じられた学園。学校一の美少女。その親友。いまは落ちぶれてしまった自称卒業生が語る「呪いの話」など、学園と呪いと女の子のエッセンスがホラー仕立てで詰まっていますが、なんというか「このシーン(画)が撮りたかったんだろうなあ」というものの連続で、お話としては複雑なものはなく、ひたすら画面がホラーとして綺麗だと思いました。
役者さんの顔ぶれを見るに十代女子向けの作品だったのかな。美少女ばかりで眼福でした。