読んだ本とか、漫画とか、映画とか、色々
どこにでもいる、ごく普通の女子高生だった。昨日までは——異世界で、緋宮と呼ばれる女神的な存在に祭り上げられた知夏。だけど身元不明で威厳ゼロの知夏を神巫たちは認めない。緋宮を護る緋剣たち、慇懃無礼な冷徹青年・朝火と、癒し系美女・佐基の力を借りて神事を行おうとするが、知夏を待っていたのは汚された無人の斎道だった!?「俺の『緋宮』がただ泣きわめくだけの無能など、許せるか」スパルタ緋剣登場の第二の試練!!(裏表紙より)
まだまだ登場人物も増えるし、謎もたくさんあるけれど、とりあえず女神として認めてもらおうとする第二巻。前巻を読んだのがだいぶと前で話を忘れている……。
「神様」がその世界でどのような重みを持つのか、現代人で日本人である知夏には到底理解しづらいよなあ……なんて思う。さらに身分制まであると価値観まで違っていて、「どうしてみんなわかってくれないんだろう」と困惑するしどうしていいかわからないよね……。
知夏がこれからどんな女神として立つのか、楽しみでいて怖いなあ。価値観を壊す、覆すってすごく恐ろしいことのような気がして。
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絶対、貴方に求婚させてみせる!! 悪戯好きで魔女と忌み嫌われ、ルブラン王国を追放された王女・エミリエンヌは残忍な氷狼公と悪名高い辺境伯ラファエルに花嫁として召し出されるがすげなく拒絶される。ラファエルを屈服させるため、エミリエンヌは意地でも彼に求婚させると決心し…!?タイムリミットは一ヵ月。求婚したら負け! 極悪公爵VS性悪王女、激辛×激甘ラブバトルのはじまり。
求婚か、死か。からくてあまい恋愛攻防戦!!(裏表紙より)
魔女が忌み嫌われ、直近では同じ赤い髪と緑の目をしていた叔母が火刑に処されたルブラン王国の第三王女エミリエンヌ。最果ての地で永久的に幽閉されるところを、魔法が生きる国ドライデンの女王により、氷狼公の妻となれと言われて。
読み込もうとするとすごく深い話だなあ。人はみんな、常に自分ともう一人の自分を持っていて、それとどう付き合うのか、生きていくのか考えている、というような。魔女として幽閉されて育ったエミリエンヌのたくましさ、その裏にあるいたずら好きという「私を見て・私にかまって」というメッセージや、「嫌われたい」=「好かれるのが怖い」という一つの事柄にはいつも別の側面があるというのを、とても面白く読みました。
あとがきを読むと、エミリエンヌは嫌われ者だけれどとびきりかわいい女の子、ということで作ったようで、すごいなあ! いたずら好きかつたくましくてかわいくて、素敵なヒロインだと思いました。
「賭でもするか? 私が生き延びたら、私のために生きて私のために死ね」
高校生のときに召還されて、生きるために異世界で魔術師となった遥。戦場で自ら死を望んだ騎士をしかり飛ばし、自分の命を削って治癒魔法を施し倒れる。目覚めた遥を訪れたのは、戦場で助けた美貌の騎士だった。騎士は遥が賭に勝利した証と言い、強引に主従の契約を結んでくるが……!?(裏表紙より)
甘さなんてないのよ、という感じの、生きるためには男に徹して戦い続けていなければならなかったハルカと、美貌の騎士の戦いのお話……という印象でした。
女子高生のときに召喚されて六年。23歳のハルカは、ほぼ完全に男として立ち居振る舞いつつも、生来のまっすぐさや礼儀正しさを失わない。その様子からさらに騎士リカルドから心酔されることに。しかし「英雄」と呼ばれるようになってしまったハルカは、自身の身を守るために立ち上がることに……という序章的な一冊。
ハルカやリカルド、アルフ、セラフィの会話が、頭がいい人たちの会話だなーなんて思いました。ずっと思考を巡らせて自身の立場を守っている人たちならではの会話というか。ぎすぎすしているわけではないんですが、ずっと薄氷や刃の上を渡っているような緊張感があって、これからどうなるんだろうとどきどきしました。
地元じゃ筋金入りのヤンキーだったあたし=穂倉梓は、今はド田舎の村で巫女をやらされてる。今日も心は穏やかに、神事のイロハは丁寧に……ってマジウゼエ! しかもそこに“自称神サマ”のクラスメイト・染井良信が現れて、「僕の父親を探してください!」ときたもんだ。退屈もウンザリだがな、面倒に巻き込まれるのは御免なんだよ!!——はぐれ巫女&チェリーな神様コンビが、閉ざされた村の闇をぶっ潰す(釘バットで)!審査員絶賛!第11回えんため大賞ガールズ部門奨励賞に輝いた青春活劇が大・降・臨!(裏表紙より)
天涯孤独になってしまったヤンキー娘が、引き取られた先の祖母により巫女をやらされ、しかも半神半人のクラスメート、良信に「一緒に父親を探してください!」と頼み込まれ、嫌々ながら巫女業をしながら村の秘密を知り、事件解決することに。
ものすごいコメディに振りきったパワフルな作品で、すごいなあ……と思いながら読み終えました。登場人物が個性豊かすぎて飽和している……。
人知の外のものに対してめちゃくちゃ現実のもので応戦するのかっこいい。
「大きい穴」と書いてダイアナ。競馬好きの父が世界一ラッキーな子になるようにつけた名前だというそれが、ダイアナは大嫌いだった。しかし、『赤毛のアン』に出てくるアンの親友の名前だと言ってくれた、神崎彩子と出会い、読書を共通の趣味として親しくなっていく。両親のこと、家、生まれ育った環境も違う二人は、やがて大人になり……。
ダイアナの話、だったなあ。住んでいるところも立場も全然違う人たちがいても、一冊の本がみんなを結びつけているのだな、と感じられる物語だった。以前読んだエッセイにそういうことが書いてあったのを思い出しました。
ダイアナと彩子の成長とともに、彼女たちの人生のどこかに本があるのをすごく嬉しく思う。幸せなときも苦しいときも、読んできたものがきっと彼女たちの状況を救っている。
彩子の大学からの状況は苦しかったなあ……。自分を守る術を知らない女の子ってこうなってしまうのかと、すごく胸が痛かった。本当に賢くて強いってどういうことかを考えさせられた。
最後はちゃんと「本屋さんのダイアナ」だったのが本当によかった。二人の友情が続きますように。
異界——【魔法の国】で起きた【女王のための統合戦争】に巻き込まれた、鍛冶目山市の少女たち。魔女となった彼女らが身の裡に宿すのは、殺し合いの螺旋を紡ぐ奇跡と罪の力——魔法。
魔女のひとりである咲森水奈は、行方不明となった親友の少女、早良坂人魚を捜していた。その傍らに立ち彼女を支える少年、早良坂蓮は【魔法の国】の住人であり、そして……。
【魔法の国】と【魔法】。【体現者】と【魔女】。【女王のための統合戦争】と【器の欠片】。【少年】と【少女】。そしてこれは——【罪】と【奇跡】の織りなす幻想夜話。藤原祐×椋本夏夜が贈る新シリーズ、始動!(裏表紙より)
ぼくとけいやくしてまほうしょうじょになってよ、がバトルロワイヤル化する一歩手前? 戦いすぎて休戦中? のような状態で、戦わず自分たちの身と仲間を守るコミュニティに属する少女たちの魔法と戦い。咲森水奈を中心にしたお話。
水奈が強くしなやかで優しく、それでいて主人公らしくかなり強い。しかしそれよりも強大な敵が待っているという感じがわくわくする。彼女のちょっと物分かりのいいところとか、強さゆえに冷静でいるところがちょっと傲慢にも見えて、いいなあ少女もの素敵だなあと思いました。
ひとつの街で少女たちが誰にも見られずにひそかに戦っているというところ、燃えますね……。そこは少女たちの世界で、そこで負けるとこの世界から忽然と姿を消すんですよ。とてもいい。
モトゥヌイ島の長の娘モアナは、幼い頃から禁じられた珊瑚礁の向こうの海を思ってきた。ある日島では魚が取れなくなり果物が収穫できなくなってしまったこと、そして祖母の死から、祖母から聞かされてきた女神テ・フィティと半神マウイの物語が真実であること、女神テ・フィティの心を返す「選ばれし者」だと知り、珊瑚礁の向こうの海へ旅立つことを決意する。
めっちゃ涙腺にきたわなんでだろう……。
才能豊かで次の長として有望、けれどさらなる高みへ(外の世界へ)行きたいという上昇志向や、慣習や掟や歴史といったものとどう付き合っていくかという部分を描いていることもそうなんですが、これが神話だということが一番胸にきたかなあ。海の向こうで何が起こったのか、世界が変わった理由を知っているのは、神話の登場人物であるテ・フィティとマウイ、そしてモアナしか知らないんですよね。その女神テ・フィティの古い世界とモアナの新しい世界が出会い、融合したであろうあの額を合わせるシーンにぼろっぼろ泣いてしまった。
テーマソングをすごく効果的に使ってくれるところも胸熱でした。テーマソングのリプライズ、めちゃくちゃ好きなので……。
夜の海でおばあちゃんと過去の人々が現れるシーンはもうすごく美しくて素敵で、たまりませんでした。
ゾンビが跋扈する19世紀イングランド。エリザベスたちベネット家の姉妹たちは「結婚するよりも生き残ることが大事」という父親の方針により中国で学んだ武術でゾンビと戦っている。だがそのせいで適齢期にも関わらず結婚からは縁遠く、母親は娘たちを裕福な男性と娶せることを夢見ていた。そんなときその条件に当てはまるビングリーとその友人ダーシーがやってくる。
『高慢と偏見』を題材に、ゾンビものと絡めた作品。B級かと思いきや……結構面白いぞこれ! かつてこんなにトランペットと壮大な音楽が似合う「高慢と偏見」があっただろうか。音楽だけ聞いているとファンタジックな派手映画だぞ。
日本で武術を学ぶことが高貴な人々のたしなみ、という設定や、賢く勇敢な性格のエリザベスに戦闘能力を付与することによってさらに彼女の勝気さや強さや「普通の女性とは違うけれどちゃんと女性」を強固にしている部分など、すごく面白いなあと思うところがたくさんあり。ダーシーと喧嘩するシーン、めちゃくちゃかっこよくて痺れました。
あとドレス姿に戦闘装備するの最強。惚れる。かっこよすぎ。
わかりやすく設定し直してある部分もあって恋愛について結構はっきりした印象だったので、ラブ要素も大変満足でした。めちゃくちゃ好きな作品だと思いました。
19世紀、英国——。マーチ伯爵家の跡継ぎであるクレアは、ロンドンに骨董店を開く決意をする。令嬢が店を構えるなど前代未聞だが、骨董品の声が聞こえるクレアは、伯爵家に伝わる『レディ・アン・ジュエルの呪い』を解く鍵を探しているのだ。そんなある日、宝石商のオーナーだという青年が、伝説的なジュエリーの鑑定をしてほしいと訪ねてきて……!? 宝石がみちびく英国ラブストーリー、開幕!(裏表紙より)
タイトルの字面からして少女小説! って感じでとても素敵。また宝石にまつわる謎と魔法が絡まって、これぞ、という雰囲気をびしびし感じました。とても可愛らしくてちょっと悲しみと毒を含んでもいる素敵なお話。
呪われた伯爵家と噂されるマーチ伯爵家の跡継ぎ、クレア。家の事情と、宝石の声が聞こえる特殊能力と、陽を浴びた雪のように輝く白い髪を持つために華やかな場所からは離れて暮らしてきた。そんな彼女が出会ったのは、口を開けば女性を褒める美貌の青年である実業家のジェレミー。腹違いの兄セドリックも加わって、呪われていると噂されるラプンツェル・ダイヤモンドの真贋を見極めることに。
この三人揃っているところがまた可愛いんだよなあ! 満たされているように見えるジェレミーにも埋められない欠落があり、クレアもセドリックもそうで、そんな三人が一緒にいることでそれを補い合う、という関係性が愛おしい。
魔術師という存在も絡まって、果たしてマーチ伯爵家の呪いは解けるのか。ちゃんとみんな幸せになってほしいなあ。
「本当に嫌なら、私を突き飛ばして逃げてみよ」王宮に刺繍師として勤める没落貴族令嬢のアメリアは、寝室に忍んできたと勘違いされて国王アウロに襲われる。誤解は解け、王の婚礼衣装を刺繍することに。何度も呼び出されては執拗に求められ、拒めず初めての快楽に蕩けてしまうアメリア。身分違いで婚約者もいるアウロへの想いに苦しむが……。(裏表紙より)
原作はキム・ローレンスの『冷たい求婚者』とのことですが、原作があるってどういうことなんだろう。ヴァニラ文庫さんはこういう、原作をアレンジしたものを出しておられるのかな?
あらすじがほぼ本文です。かなりこざっぱりとしたお話で、没落貴族のご令嬢が王様に見初められて王妃に、という定番から大きく外れることもなくど真ん中ストレートを突き抜けていきました。とても王道で安心して読んでました。
王宮の刺繍師たちが最後にちらっと出てきたのがよかったなあ。カレンさんも何かロマンスを秘めていそうな匂いを感じ取った。