読んだ本とか、漫画とか、映画とか、色々

父親が被害者で、母親が加害者——。高級住宅地に住むエリート一家で起きたセンセーショナルな事件。遺されたこどもたちは、どのように生きていくのか。その家族と、向かいに住む家族の視点から、事件の動機と真相が明らかになる。(裏表紙より)
これはいやーな話だなあああ。『白雪姫殺人事件』に通じるような、他人の暴走みたいなものも感じるし、もっと当事者に近いことからいやらしい野次馬根性も見える。なのに他人事のようで、劇的に変わる人たちはいない。
「何がきっかけで家族が家族を殺すかわからない」というリアリティが怖い。何かがひとつ違うことで、人は簡単に家族を殺してしまうのかもしれない。真実と自分の心を知っているのは本人だけ。他人に語る資格はない。
殺人が起きた高橋家。その向かいの壊れ始めた遠藤家。スピーカー的な小島さと子という大まかな三つの視点なのですが、もうそれぞれが本当にいや! 理想的に見えて歪んでいる息苦しい高橋家も、全然ばらばらな方向を向いて喚き散らしているような感じの遠藤家も、他人の不幸は蜜の味みたいな小島さと子も、本当に全部いやだ……。それを強調するような小道具がいやな感じを増してすごい(褒め言葉)
いやだいやだと思いながら一気に読んでしまった。すごかった。

十七歳の少女・蓮華は、大切な人たちを奪った『鬼』に復讐する旅に出る。それこそが、残された蓮華にとって唯一の、生きる意味だからだ。だが、鬼の行方を捜す道中、同じ目的を持った青年・出雲と出会う。軽薄で軟派。しかも、蓮華が忘れようとした過去の記憶を刺激してくる嫌な男——そう思っていたのに、彼と接するうち、閉じていた蓮華の心はかき乱されて!? 宿命が織りなす和風幻想譚!(裏表紙より)
和風ファンタジーはめずらしいなあという気持ちで読む。鬼を退治する真実の一族の出身で、鬼糸という糸状の武器を用いる蓮華。一族の里が滅ぼされ、生き残りである籐二とともに仇の情報を集めていたが、道中出会った別の里の青年・出雲と鳥羽から、一族の里が次々に滅ぼされていることを聞き。
少女とおっさんと美青年と少年のチームが、鬼を退治するお話。全体的にこざっぱりとしていて一冊で解決するんですが、恋愛要素が薄くてもうちょっと! もうちょっと蓮華と出雲のかわいいところを見たかった!
本当の敵が誰なのかという真実は悲しかったですが、真実の一族であることを貫き通した彼女たちがかっこよかったです。

魔性の麗人(でも女王陛下!)から熱いおもてなしを受けるミレーユは、持ち前のやる気で公務に努める。しかし観劇の途中、ミレーユの父親・エドゥアルトの隠し子として現れたグレンに攫われ、大ピンチ!! しかもその騒動にはミレーユの後輩で、リヒャルトの従兄のフィデリオが見え隠れし——!?「……俺にも、あなたみたいな人がいてほしかった」シアランを揺るがす史上最大の事件の幕が上がる、緊迫の最終章、第2弾!!(裏表紙より)
隠し子騒動決着、と同時に身代わり伯爵の最後の事件の前哨戦。
メアリー妃が狂気に走る展開でなくてよかった……! って言ってもめちゃくちゃ悲しい人だったので胸が痛いです……。思いつめたフィデリオも、ああ、ああー、あああああー!!
一方で微笑ましいシーンもあり。セルシウス殿下の挿絵が見たいなーっていうくらい、リゼランド女王の王配の殿下が親しみやすいすごくいい人でした。このふたりのロマンスを想像するとにやけてしまう。
将来の家庭について話すミレーユとリヒャルトもいいなあと思いました。結婚でおしまい、めでたしめでたしじゃなくて、その先を考えられるようになってきたんですよね。ふたりの家庭は楽しそうで、これからが楽しみです。

「死ぬ気で頑張るから! 討ち死にする覚悟はできてるし」盗まれた国宝をミレーユが発見した事が発端で、リゼランド宮殿に招待されたミレーユ達。一庶民であった自分がシアラン大公の婚約者として女王陛下に対面する事に、ミレーユはテンパリまくり。しかも女王は口説き文句を連発する男装の麗人だつた!! パパの隠し子疑惑までが浮上し大混乱の中、水面下では国を揺るがす事件が動きはじめ——!? ついに禁断の最終章、開幕!!(裏表紙より)
最終章の一冊目。リゼランド王宮で謎の少女に襲われるミレーユ。聞けば少女でなく少年だった彼は、ベルンハルト公爵の隠し子だという。一方でフィデリオが不審な動き。
こういう作品で、夢の世界で生きている人の狂気が一番怖いんですが、ああなんかやばそう……。
書き下ろし短編の「しばしのお別れ」と「君の涙を拭うのは」が収録されているんですが、順番を入れ替えてもよかったのではないかなあ、と思ったり。「しばしのお別れ」はアルテマリスを出発する直前のお話なのですが、ここでリヒャルトにいちゃらぶ解禁のお知らせが! 酒癖が悪い、甘え癖が出るというリヒャルトがかわいくてにやにやしてしまった。

脱走した米兵の惨殺死体が日本海岸で発見された。それがすべての発端だった……。同じ頃、米国防総省の下請け情報機関に所属するアナリスト・葉山は調査中にある情報を入手する。北朝鮮の権力中枢で、何かが起きている——。鍵を握る謎の言葉「プラチナ・ビーズ」とは? 米朝の謀報戦を鮮烈に描く、本格スパイ小説の新鋭、入魂のデビュー作。文庫版のための特別描き下ろし短編も収録。(裏表紙より)
おお……おおおお……! すごかったー! こういう社会派な作品はちょっと苦手意識があってなかなか読めないんですけれども、読み始めたらぐいぐい引き込まれてあっという間に読んでしまった。そしてプロローグに戻ってしまった。
下請け情報機関に所属する葉山は、脱走米兵の死をきっかけに北朝鮮で追われたはずの幹部が再び中枢に復帰しているらしいことを突き止める。情報源となった女優志望の町田洋子とふとしたことで再会した葉山だったが、その後、尾行や襲撃に遭い、しかも町田洋子が死んだという知らせが入る。何がどこで繋がっているのか、相手の目的は何か。
行き場のない人間が何かを得ようと必死に足掻く。あるいは煮えたぎる怒りを隠して自らの望みのために行動する。静かな熱意というのか、出てくる人たちそれぞれの持つ何かが息苦しくて、この人たちがどこに行き着くんだろうとページをめくる手が止まらなかった。
主犯者と思われる謎の美貌の男が、ほとんど出てこないのに妖しい魅力に溢れててかっこいいんだよなあ……。終盤登場したときのやりとりにはぐうっと胸を掴まれた。「プラチナ・ビーズ」の意味を知ると、泣きたくなる。
おすすめされた小説でした。おすすめありがとうございました!

結婚したら、花粉症とはおさらばよっ!!! 奨励賞受賞作!
『花冠の王国』と称される大国エスカ・トロネアの王女フローレンスは、重度の花アレルギー! 常にくしゃみ鼻水が止まらず、淑女にあるまじき鼻の下(以下略)。そんな彼女に、人生の転機が!! 北の辺境国ラハ・ラドマ、イスカ王子との婚約話だ。アレルギーが出ない不毛の地こそ我が楽園と浮かれるフローレンスだが、イスカにとっては、なぜ大国の姫がと不審でしかなく!?(裏表紙より)
異世界ファンタジーでもし花の咲き乱れる大国の王女が花粉症だったら、というラブコメ、に見せかけて結構政治のお話もする、可憐ながらも賢く前向きなフローレンスのお話。
本当にかわいいなあ! 素敵なヒロインだ。アレルギー性鼻炎って本当につらくて、本人も見ている人もしんどいんですよね。「汚い」って言われて傷つくのが身近すぎてフローレンスの気持ちがよくわかる。
顔はいいけれど外交には向かない素直な気質のイスカは少々影が薄めですが、彼の誠実な態度はなんの裏もないとわかるので、口説き文句がもだもだしてたまらない笑
フローレンスとミリア、ジゼルの関係がなんだか好きです。主人と侍女の関係で、ミリアとジゼルでは仕えている期間が違うからもちろんやりとりも違うんだけれども、仲良くなれそうでよかったなあ(にこにこ)と思いました。

おじさんの仕草や言葉には、長年社会を歩いてきた人生が詰まっています。それはくだらなかったり、おもしろかったり、為になったり…と千差万別。その隠れた素晴らしさ、若者にはまだ備わっていない味わいを伝えるべく、取材し、観察して図鑑としてまとめました。今まで気にしていなかった「おじさん」を楽しむガイド。これからの人生を歩むヒントが見つかるかもしれません。(カバー折り返しより)
街中にいる「おじさん」たちを、「普通のスーツのおじさん」「休憩中のおじさん」「ぽっこりおなかのおじさん」などに分けてスケッチし、一言添えた図鑑。いるいるこういう人いるー! っていうおじさんたちが収録されていてふふっと笑ってしまった。こうして集めてみると「おじさん」って面白いなあ。