読んだ本とか、漫画とか、映画とか、色々

リヒャルトと婚約したミレーユは、男装で第五師団員として働きながら、ラウールの下でスパルタ妃教育を受けるという二重生活を送ることに!! そんなミレーユに太后殿下は妃修業の第一試験として、ミレーユと大公の消えた結婚契約書の行方を捜すように命じる!! 一方リヒャルトは娘命の舅・エドゥアルトに結婚の許しをもらいに行くが——!?「命を狙われるのも花嫁修業のひとつですわよ」ラブ増量!! 波乱の新章スタート!!(裏表紙より)
前巻の『〜誓約』を読んだのがほぼ五年前でひいって叫びました。積みすぎィッ!
書き付けた感想を読むと、とにかくおめでとうって感じだったらしいので、さて「花嫁修行」というからにはどんな甘いラブコメなのかと思ったら、糖分増量、爆笑成分も増えているようで、たいへん楽しく読みました。
やっぱり花嫁としての「お試し」は王道だよねー! っていう感じで、けれどミレーユも少しずつ大人になったのか暴走っぷりは控えめに、うまく立ち回ろうと頑張っているのが見えてかわいいなあと思いました。でもリヒャルトの「早く結婚したい」には噴きました。したいよなー結婚なー!
そしてやっぱり王道、相手の婚約者(候補?)の存在! 続きが楽しみだ。
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代々暗殺業を営み、「災いを呼ぶ魔女」と忌み嫌われる少女・アリシアは、突如舞い込んだ暗殺の仕事を引き受けた。——実は暗殺など、一度もしたことがないのに。
しかもアリシアが狙うべき相手とは、「幸いの王」と呼ばれ、不死と名高い王太子・ディカイユで……!?
暗殺少女×不死の王太子——
不幸と運命が奏でるラブファンタジー(裏表紙より)
暗殺なんてしたことないけどお仕事果たしてみせます! 系かと思ったら全然違った。ちゃんと河上さんの書く、苦労人で頑張り屋な女の子が、小さな幸せを見つける話だった。
魔女の存在が薄れつつある国で、薬師であり暗殺者である魔女の家系に生まれたアリシア。祖母が亡くなり一人きりで暮らしていたところ、魔女に暗殺の依頼が。自分の片割れのように感じている存在「イリア」に会うためにアリシアは山を降りて暗殺に手を染めることに。
この、「イリア」に会いたくてというのがいじらしい。稀に見る不幸体質のアリシアは、稀に見る幸運体質(?)のディカイユを暗殺するのですが、このディカイユの幸運体質も実は……という。
アリシアとディカイユが、長く生き別れていた片割れを見つけたかのように幸せそうにしているひと時が本当に泣けて泣けて仕方がない……。
ディカイユの周りの人たち、ソリスとエネシアもいいキャラクターで、エネシアのことがすごく気になります。っていうか好きです。彼女はどうやら本当に超幸運体質というか、何をしてもうまくいく感じのようなので。エネシアとアリシアの牢のシーンもうるっときたなあ。

双子公子のどちらか選んで結婚する事になったリーゼロッテ。腹黒だけど紳士的なコンラート? 無愛想だけどワイルドなヴァルター? 二人を知るうち両公子と恋が芽生えて……。本気で好き。片方なんて選べない! 彼女の悩みを知った双子は「三人で恋人になろう」と提案!? 口づけ、胸、そして……。次々と二か所同時に責められて感じる目眩く快感……。刺激的なErotic宮廷ロマンス!(裏表紙より)
あらすじから想像されるエロさから6割くらい引いて、ラブコメっぽさを3割くらい足し、図太くたくましいヒロインの清々しさを3割足す、みたいな話です。あらすじちょっと詐欺だぞ!笑
双子の公子は並いる公妃候補を追い返しまくる性悪と評判。しかしどちらかが公妃を選んで結婚しなければ次の大公として即位できない。次々と候補者に逃げられて打つ手がなくなった大公は、信頼する部下(下級貴族)の娘リーゼロッテになんとか二人のうちのどちらかと結婚して次期大公を決めてもらいたい……というとんでもな結婚話を押し付けられたところからスタート。
主人公のリーゼロッテは、結婚しなければならないという教育を受けてこなかったせいで、結婚うんぬんに関する興味が乏しく、どちらかというと亡くなった母の代わりに実家のいろいろを回したり帳簿をつけることが好き。なので追い返されてきた姫君たちとはまったく違うタイプである、ということから、双子公子の興味を惹いてしまう。
このリーゼロッテの、啖呵やら、どっちかしか選べないなら逃げてしまえ! っていう行動的なところが非常に楽しい。それに協力してくれる使用人のエーリクもいい感じに有能で、TLものというよりかはラブコメとして面白かったです。
双子もそれぞれ優しく、深く突っ込むとやばいのですが最終的に三人で幸せになりましょうというエンド。楽しく読みました。

尋問官――関係者が秘する事実を暴き、難解なる事件を解決へと導く存在。
少年時代、稀代の尋問官にして最悪の犯罪者となった男に“壊され”、長じて尋問官となった青年・サイモン。天才にして規格外の尋問官として名を馳せる彼は、ある日“惑乱の民”と呼ばれる美貌と魅力を備えた二人の少女・アイカとテリネの尋問を担当することになる。彼女たちは愛玩奴隷として様々な主人の下を渡り歩いており、その主人たちがことごとく領民を虐殺するという奇怪な事件が連続しているのだが……
ねえ、これを外して? たくさん尽くしてあげるよ
仰ることには何でも従います。お望みとあらば、何でもいたします……
鉄鎖に縛られし二人の誘惑を受けるサイモンは、即座に束縛を解除してしまい――?(カバーより)
話し方、癖、視線の動きなどを観察して、真実を引き出す尋問を行う尋問官。かつて稀代の尋問官でありながら最悪の犯罪者となったサウルによって、父親を殺されたサイモン。やがてサイモンは尋問官となって、サウルを追っていた。
というところで、貴族出身であり初の女性尋問官になったヘイゼル・リーヴナイトがサイモンの元へ派遣され、『惑乱の民』と呼ばれる特殊な一族であるテリネとアイカがきっかけになったらしい、彼女たちの主人が起こした虐殺事件の真相を尋問する、という話。
常に影が付きまとったような話なのは、誰かの心を暴く必要があるからなのかなあ。きっと息苦しく感じたのはこの世界の闇が深いからなんだろう。『惑乱の民』の存在や、この事件の真相に当たるむにゃむにゃがあるくらいなので……。
そういう心理的駆け引きが多いので、テリネとアイカの挑発する台詞にはわかってやってるとわかるからこそはらはらどきどきしました。だからサイモンの動じなさはすごくかっこいい。彼の心が大きく動く瞬間はこれからやってくるのかな。

工業廃液や合成洗剤で河川は汚濁し、化学肥料と除草剤で土壌は死に、有害物質は食物を通じて人体に蓄積され、生まれてくる子供たちまで蝕まれていく……。毒性物質の複合がもたらす汚染の実態は、現代科学をもってしても解明できない。おそるべき環境汚染を食い止めることは出来るのか? 小説家の直感と広汎な調査により、自然と生命の危機を訴え、世間を震撼させた衝撃の問題作!(裏表紙より)
昭和50年に発行された本の文庫版を読みました。
きっかけは選挙戦において、協力した候補者が環境汚染を訴えたことから。水質、土壌、大気の汚染が進み、今私たちが口にしているものは……と考え始めてその実態を明らかにしていく内容。この当時そうした化学物質による環境汚染は、警鐘を鳴らさざるを得ないほど深刻なものとして受け止め始められたのだなあと思う。出てくる人たちの「この物質は人体にどのような影響を及ぼすのか?」と問われた時のはっきりとした回答のなさに、うーんと唸る。はっきりと回答できないのはわかるけれど、あまりにも無知すぎるのでは。でも現代を生きる自分もあまり考えずに保存料がばりばり入っているものを食べているのを思うとなあ。うーん。
![[シェイクスピア没後400周年記念]アニメ「ロミオ×ジュリエット」memorial DVD-BOX](https://images-fe.ssl-images-amazon.com/images/I/51fm%2BFlnF4L._SL160_.jpg)
モンタギューの反乱によって滅ぼされたキャピュレット家。ネオ・ヴェローナの覇権はモンタギューに移ったが、恐怖政治を敷く大公の所業に街の市民は一部の者が富を得るだけの貧しい暮らしを強いられていた。密かに逃がされ育てられたキャピュレットの娘ジュリエットは、革命の気運が高まる中旗頭として押し上げられながら、同時にモンタギューの息子ロミオと出会い、恋に落ちる。
シェイクスピアの「ロミオとジュリエット」を下敷きにして、翼を持つ馬が存在する空中浮遊大陸を舞台に革命と恋を描く。本放送時にOPのロマンティックさに胸をときめかせたものですが、最初から最後まで通して見たのは今回が初めてです。
ただの貴族の少年少女の恋物語ではなく、一つの街(と言っていいのかな)の革命を絡めてあって、ジュリエットは当初男装しておりいつロミオにばれるかどうかどきどきさせるところから始まって「叶わぬ恋」を強化しています。また幼い恋をそれぞれの成長に合わせて育てて、最終的には「世界を守るために命を捧げる」という、なんだその美味しいの、という話になっており。ああーでも幸せになってもよかったんじゃないかなあああ(ごろごろごろ)
登場人物、特に脇役が結構べたべたで面白く、頭かちこちのお目付役かつ元護衛隊長だったコンラッドや、モンタギューに恨みを抱くイケメンのディボルト、ロミオの婚約者ハーマイオニ、なり上がろうとして自滅するマキューシオなど、魅力的な人たちがいっぱいいましたが、私が好きなのはロミオの母親で、モンタギューのやり方に賛同できずに修道院に入ったポーシアさん。そしてネタバレですが、ロミオの腹違いの兄ティボルトです。
ティボルトは一歩引いた立ち位置で、苦労人で剣が強く、覚悟のないジュリエットに辛く当たる役どころで(!)、なのに大事な時に助けてくれて(!!)、ジュリエットから自分が命を捨てなければならないことを唯一聞かされてしまう(!!!)かっこいいのに不憫という素晴らしい役なのです。はっきり言わなかったけれどジュリエットのことが好きで、母親違いの兄弟でジュリエットを思い合うという……素晴らしい……。
ほのかにみんなジュリエットが好き、という実は逆ハーレムなところもにやにやしていました。そしてそのジュリエットは、最初の頃は迷う女の子だったけれども、モンタギューと戦うと決意した時には男前少女に変貌していて素晴らしい。そりゃみんな惚れるわー(ごろごろごろ)ロミオと戦うシーンはとてもいい……鎧姿同士でのキスはときめきます。
愛した人のために命を失い、残された一方は世界に身を捧げるという悲しい結末ではあるけれども、好きな作品だと思いました。どうして大陸が空に浮いてたのかなあ。まったく語られなかったそういう部分を想像してみるのも含めて楽しかった。

「俺とキスしない?」
赤い頭巾がトレードマークの少女、アチカ。彼女が幼なじみから押し付けられたのは、寮生の願いを叶えないといけないという不思議な『子羊寮』の世話係だった。
けれど、たった一人の寮生・オズマリアは、顔はいいのに出会い頭にキスを求めてくる変態男! なんとか寮母をやめたいアチカは、彼に嫌われようとするけれど、オズマリアには不思議な秘密があって…?(裏表紙より)
僧兵として、聖教府から重要人物認定されている人物たちが集う子羊寮の寮母になったアチカ。現在の寮生はただひとり、片目が赤いオズマリア。その彼に出会い頭に「キスしない?」と言われたアチカだったがもちろん受け入れられるはずがなく。
「心を満たされる」ことがキーワードになっていて、心が満たされた瞬間、オズマリアには死が訪れるということが明らかになると、逃げ回っていたアチカが彼を満たしてはいけないと心配して距離を置いたりなどするのがかわいい。過保護すぎる兄と義弟(というのか幼馴染というのか)もいて、義弟のルキアンが入寮したのにはおおっと思いました。意外と火薔薇持ちが多いのかもしれないなあと思うと、世界観が面白いなあと思ったり。

元士族・橋本家のおてんば娘、有栖は怒っていた。ある日突然、縁談を決められてしまったからだ! 相手は年上の従兄、春日要——。富豪の両親のもと、何不自由なく育った要は、知的で優しい美貌とは裏腹に、悪戯好きでキザ、おまけに素人探偵気取り…と大変な問題児! どうやら、彼との(強引な)縁談には、ある人形の紛失事件が絡んでいるらしく…!? レトロモダンなロマンティックミステリー(裏表紙より)
大正もの。短編連作です。おてんば娘な主人公以上に曲者な、口が上手くて有栖を口説いてばかりいるけれど冗談なのか本気なのかわからない、従兄のお兄様がお相手。女学校のシーンは少なかったのが残念だったのですが(大正の女学生大好き)、さらりと登場する当時の風俗が面白くて楽しかった。
口説いてくるお兄様のずるさがなんとも言えずにやにや。義堂氏とのやりとりは結構焦っていたし本気で張り合ってたんだろうなあ、なんて思うとふふっとなる。
最後のお話「おうちに帰るまでが誘拐です」のラストの清々しさ、かっこよさ、センスのよさにはにやにやにやにやしてました。こういうハッピーエンド! なラスト大好きだ。

竜田メグムは高校一年生。大学生の姉と、小学生の妹がいる三人姉妹。穏やかな父としっかり者の母の五人家族は、明るく平凡に暮らしている。だが、近頃メグムの心は晴れない。理由は進路に関わることなのだが……。そんな時、長いこと空き家だった近所の洋館に、不思議な人物が引っ越してくる。そしてそれは、思いもかけない形で、メグムの「家族」と関わってきて…!?(裏表紙より)
表紙の感じと家族構成から、姉妹の話かなと思っていたんですが、家族の話でした。しかもかなり込み入っている。普通に生活している、でもちょっとだけ込み入った家族がいる高校生の女の子の日常を、ちょっとだけ切り取ってみたという話でした。
主人公は高校一年生、美大受験をしたいと言えないでいるメグム。今野さんの文章って柔らかくってふんわりしていて読み心地が好きなんですよね。一人称の感じがすごくいい。

当然、僕の動きも読み込まれているのだろうな——二つの事件は京極堂をしてかく言わしめた。房総の富豪、織作家創設の女学校に拠る美貌の堕天使と、血塗られた鑿をふるう目潰し魔。連続殺人は八方に張り巡らされた蜘蛛の巣となって刑事・木場らを眩惑し、搦め捕る。中心に陣取るのは誰か? シリーズ第五弾。(裏表紙より)
そばに置いていた小型版の国語辞書よりも分厚く、漢語辞典よりも分厚い文庫版。
目潰し魔の事件に、ミッション系女子校での黒ミサと少女売春の事件が重なっていき、棚機つ女の話や夜這いの話などからぐるぐると回って中心(真相)にたどり着くという構成だなあなんて思いながら読み終わりました。最後まで読んで最初に戻って読みたくなってしまったのもお見事としか言いようがない。そしてこのシリーズに出てくるうんちくは無駄なものが一つもないのがすごいなあと思う。
真相が意外というか、なるほどー! というものだったり、かと思ったらちょっとオカルティックだったり、それは生きづらい……と思うものだったりして、雰囲気とか共感部分の塩梅がとても面白いなあ。面白く読みましたが、いかんせん長いし分厚いのでなかなか読めないんだ……。