読んだ本とか、漫画とか、映画とか、色々
IPCA(国際パラノーマル抑止機構)に所属する16歳のエヴィは、人間界にまぎれこむヴァンパイア、人狼、フェアリーたち——いわゆる“パラノーマル”を見分ける能力を使って、彼らの正体を暴き、捕獲するという任務についていた。普通の女の子として過ごしてみたい、そう思い続けるエヴィの前に、ある日謎の少年が現れ、不思議な詩の一節をささやきかける。それは彼女の未来を大きく変える事件のはじまりだった……。(裏表紙より)
異種族(パラノーマル)を見分ける目を持つ少女イヴリン(エヴィ)が、国際機構の捜査員として、機構の目から逃れようとするパラノーマルたちにタグをつけて回っている、というところからはじまります。パラノーマルたちは、あくまでグラマーと呼ばれる、偽装のための幻影の姿形をまとっている。エヴィはこれを見抜いて、本体を視認することができるので、人混みの中でグラマーをまとっているパラノーマルを見分けられる。なので、特殊捜査官ものなのかな、と思ったら、中盤になるにつれてそんな話ではなくなっていってしまい、ちょっと残念な気持ちもしつつ……。
IPCAの施設に潜入した、ドッペルゲンガーのパラノーマルの青年レンドとの出会いによって、人間たちが知らない、またエヴィ自身も知らない、パラノーマルの世界の事情が明らかになっていく。このレンドとのやりとりが、いかにも普通の恋に憧れる女の子と、心優しい思いやりのある青年の交流なんですが、いかんせん長い! 敵との遭遇が470ページあるうちの半分くらいでやっとくる。遅い!
けれど、情報が少しずつ開示されてくると、独特の世界が構築されているのがわかって、面白い。シリーズらしいけれど訳されていないので、続きは読めなさそう。残念。
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《裏切りの勇者》。——それが、ルカの師であるエスベルトの呼び名だった。
魔物を引き連れ世界へ侵攻する厄災《魔女》。それを討ち倒し世界を救う《勇者》。
勇者が魔女を討伐する——何度も繰り返されてきたその歴史は唐突に終わりを迎える。
世界を救うはずだった勇者は、世界を脅かす魔女に下り、人類の敵となった——。
人々は次なる勇者を求めた。魔女を——そして裏切りの勇者を殺せる《英雄》を。
ルカは剣を振るい続ける。師匠を追い、真実を知り、師を奪った魔女を殺すために。
これは決して語られざる物語。魔女と勇者と英雄の紡ぐ、この世界最後の英雄譚。(裏表紙より)
白竜の花嫁シリーズ、アヴェントの娘など、少女向け小説で書かれている永野水貴さんが、MF文庫Jで刊行されたもの。少女の人が少年向けで出したんですから、読まないわけにはいかんでしょうよ!(鼻息荒く)
周期的に姿を現し、世界に災厄をもたらす《魔女》。それを倒す《勇者》を選ぶ機関がある世界で、魔女に寝返り人類の敵となった元勇者をかつて師と呼んでいた、勇者候補生ルカが主人公です。
勇者候補生として、神々の血筋を戴く都に作られた、養成所で訓練を受ける若者たちのなか、裏切りの勇者の弟子だったというルカは、異端であり、揶揄やいじめの対象になっている。けれど、ルカの力は彼らをも凌ぐ。それはただ、魔女のいる《黒の荒野》にいる師匠エスベルトを迎えに行くために。
ルカの必死さがいじらしいというか、そこまで頑張らなくていいんだよというか……。優しさよりも、小さな身体に厳しさと不屈さをめいっぱい詰め込んだルカは、見ていて痛々しいし、傷ついて歩けなくなったらとはらはらしました。そう、もうこれは傷つくんだろうな、というのが読んでいてありありと分かるんですよね……!
物語の結末は、ああ、このいびつで悲しい勇者の物語にふさわしい終わり方だな、と思えて、一巻完結ものとして、とても好きな余韻でした。これ、少女向けだったらルカの恋模様とかもあったと思うんですけど、それは想像で楽しめということか!
いつもと色が違っていて、また違った面白さのある物語でした。糖度、糖度、とか、楽しい話を、などと、少女向けでは言われるかもしれないけれど、こういう乾いている、悲しい、必死な子の物語も少女向けで出してもいいのではないかなー、と思ったりなどしました。
面白かったー!!
「だから——ルビーウルフ様もお花を飾りましょう!」
にこにこと笑いながら、キャスはルビーウルフの手をがっちりと掴む。
城中がお祭り気分に浮かれていた。
花飴選び。それは未婚の男女を結びつけるための行事だった。この日になると、独り身の女は各々の好きな花を胸元に飾り、その花を目当ての男性に取ってもらえたら、めでたく恋人成立。
「そういえば、ジェイド様のまわりにも、この日になると用もないのに近寄りたがる人が増えますね」
関係ないよと言いながら、やっぱり気になるルビーウルフ。しかも彼女が儀式のルールを知らなかったために……。
グラディウス城は今日も大騒ぎ! 狼王女の冒険譚、これが本当の大団円!(カバー折り返しより)
短編集2。ああー! 短編集の1に気づかなかったばっかりに、悔しい思いをしています。これから本屋さんに探しに行こう……。
本編ではしっかりした足取りで、自分自身の気持ちを確認し、それを伝えあった二人でしたが、この巻での二人は、そういうことを前提とした、ちょっと甘めの優しい短編が多くて、にやにやするところがたくさんありました。
いやしかし、それにしてもジェイドはなかなか理性の人だな……。
1巻だと、結構すれた感じのきつい人物かと思えたんですが、巻を重ねるごとに、しっかりとルビーを支える、穏やかで優しい、気苦労性の青年になっていましたね。懐広いわー。かつ理性の人って、おいしいわー……笑 だから「君に捧げる永遠の花」はたいへんごちそうさまでした。
シリーズ、短編集1は読めてませんが、すっごく面白かったです! ありがとうございました!
陸路を使い帰国の途についたルビーウルフたち。神具は失われたまま、見えない敵にいつ襲われるかという危険と隣り合わせの旅路であった。しかも——
「ねえ、暑いのよ。扇いでちょうだい」
温室育ちのコロナード王国の姫君・エミリエンヌは、お荷物以外のなにものでもない。イライラを募らせながらたどり着いた砂漠の国境で、一行は何者かの魔法攻撃で離れ離れになってしまったのだ。
お荷物エミリエンヌと二人きりという貧乏くじを引いたルビーウルフ。そんな彼女に、さらなる試練が降りかかる。
追い込まれた極限状態の中で、ルビーは己の奥底に眠っていた感情に気づく。
狼王女の冒険譚、最大クライマックス!(カバー折り返しより)
最終巻だとは思わずぼーっと読んでたら、本編の最後の話だとあとがきに書いてあってびっくりしました。いつまでもルビーの物語が続いていくように感じていたから。
いやあ、淡路さんの作品は、『花守の竜の叙情詩』が最初に読んだものだったので、すごくしっとりしたリリカルな話を書かれる方かと思ってたんですけど、違った。淡路さんって、すごくすごく丁寧で、無駄のない、綺麗な話を書かれる方なんだ!
ルビーウルフは、古き良き、というのか、元盗賊の女王と伝説にまつわる王道ファンタジーで、登場人物の配置、その世界観を表現するにふさわしい道具、設定がきっちり整頓されていて、とても読みやすくて入り込みやすい、美しい構造の話だと感じました。読んでいて、すっと入ってくる。ささいな台詞まで気を配られているし、決め台詞もかっこいいし。
あくまでルビーたちは自分たちの手の届く範囲で、できることをしながら、ついでに世界も守ろうという感じで、その距離感もなんだか心地よかったなあ。
奪われた牙、神具〈導きの剣〉を求め、ルビーウルフがやって来たローラティーオーと呼ばれる島。そこは二つの部族が暮らす、外界から断絶された世界だった。
二つの部族アウローラとクレプスムルクは、かつて第五の神具〈全知の書〉を所有していた。〈導きの剣〉を奪ったのは、クレプスムルクの神官イグニス。その手引きをしたのは、ジェイドの師匠・白き魔女エリカ——。
次々とルビーウルフに襲いくる厳しい現実と裏切りの中、トライアンの王女ミレリーナも神具〈裁きの天秤〉と共にイグニスに連れ去られてしまった。
神具奪還のため、クレプスムルクの村に向かうルビーだったが、ついにイグニスの魔の手が彼女にも伸び……。
盗賊王女冒険譚、最大の試練が始まる。驚愕の第5弾!
4巻からの続き。第五の神具〈全知の書〉を守る二つの部族が暮らす隔絶された島、ローラーティオーでの、最後の戦いの前段階といった感じの第5巻。
ルビーは自覚おめでとう! 次くらいでくっつくかなー。
過去の後悔を、消えない憎しみや喪失感を抱えながら、それでも許すし、私は生きていくよ、とはっきり口にして言えるルビーが本当にかっこいい! それでこそルビーウルフ。
ルビーウルフの甘い悪夢を打ち消したのは彼女自身の力もあるけれど、ヴィアンカが出てくるとは思わず、ぐっとこみ上げた。やっぱりお母さんは、そうだよね……! 彼女は慈愛の女性だったんだなあ。
〈導きの剣〉——それは、創造神ロゥヴァースのちぎれた四肢が変化したと言われる神具。グラディウス王国の王族のみが手にすることを許された、神の右腕。盗賊王女ルビーウルフの牙。
その牙が奪われた!
ルビーウルフの女王即位1年を祝う式典での出来事。突然足元の空間が裂け、そこから現れた生白い二本の手に襲われたルビー。必死に抵抗し逃れたものの、〈導きの剣〉は謎の腕と共に空間に消えてしまう。そして同じ頃、隣国トライアン王国でも——。
神具を巡る大いなる陰謀が動き出している事を悟ったルビーウルフは、ジェイドたちと旅立つ。奪われた牙を取り戻すために!
盗賊王女の冒険譚、緊迫の第4弾!(カバー折り返しより)
女王としてすべきことをやって、それなりに女王様業も慣れてきたルビーウルフ。女王即位から一年が経ったその日、事件が。
次の第5巻にもまたがる、神具と〈全治の書〉をめぐる陰謀の話のようです。
ルビーの本当の胸のうちも吐き出されたり、ジェイドの態度が変わってきていたり、特にジェイドは次巻でブッ込んでくるのか!? という期待が高まる。
裏切り者が出ましたが、気にしてません。理由があるに決まってる!
神国グラディウスに必要なのは女王ルビーウルフの血筋だ。彼女に直接それを言う者はいないけれど、誰もが急かす気持ちを抱いている。ルビーウルフにはそれが匂いでわかる。だが、ジェイドは違った。いつだってルビーウルフの意志と自由を尊重してくれている。
今になって気づいた。自分はジェイドに甘えていたんだと……。
——ジェイドが失踪した。
国の建て直しをかけた大工事の視察で、ルビーウルフ一行が訪れた西域の地。そこの領主ハリスの娘クラリッサとともに女王の魔導騎士が姿を消した。
駆け落ちかっ——!?
そんな事はない! と否定しながらも、激しく動揺するルビーウルフ。果たしてその真相は?
狼王女を襲う、愛の嵐!——の予感?(カバー折り返しより)
コルコット派が粛清されていく過程で、西域の地に追いやられたハリスのもとを訪れたことによって始まる、悲しい陰謀の話。大きな企みでなく、人一人の悲しみがこんな大それた、それでいて愚かな事件を起こしたかと思うと、やるせない。
ルビーウルフとジェイドの関係にも、かなり変化が出てきました。もともと勘のいいルビーなだけに、自身の変化はきちんと認識しているんだけど、それがどういうことなのか、というのを知らない、狼少女っぷりがかわいいなあ。
「何? この小動物」
今にも泣き出しそうな少女の顔を、不思議そうにのぞき込み、ルビーウルフは思わず口にした。
5つめの神具、〈全知の書〉が見つかった。ミレリーナからのその知らせを受け、隣国トライアルに赴いたルビーウルフとジェイド。彼らを待っていたのは、美しい銀髪を持つ少女、キアラ・フォレスターだった。自分の名前のほかは多くを語らず、常に何かに怯えたようなキアラに、違和感を感じるルビーウルフ。
キアラの持つ神具は本物なのか? そして彼女の隠す真実とは?——何もわからないまま数日が過ぎた夜、ルビーウルフの寝所を何者かが襲撃してきた!
狼王女ルビーウルフの冒険譚、第2弾が幕を開ける!(カバー折り返しより)
気っぷの良すぎる唯一のグラディウス王位継承者ルビーウルフの物語第2巻。こちらもただものではない隣国の姫ミレリーナの知らせを受けて、謎の少女と神具〈全治の書〉を確かめに来たけれど。
儚い美少女(悲しい過去持ち)と心優しい王様の交流もありつつ、ルビーが水戸黄門みたいになってるのが楽しい。
京阪学院大学スライド研究会の、OB会。歴代の部長が四人集まり、四代目の部長は、自分の後輩が入部しなかったこと、校舎が取り壊しとなって部室がなくなること、そして部長たちが宝物にしてきたスライドを紛失したことを知らせる。彼らはそれぞれの事情を合間に話しながら、スライド作品を上映する。それは、最後の集まりになった。
お話としては前半がどういう方向なのか、ちょっとだらっとしたというかぼやっとしているというか、という、目的不明な部活ノリだったので、ドタバタなコメディかと思ったら、どーんとシリアスに落とされるという。しかもその展開シャレにならんわー!!
しかしエンディングがとてもいい余韻でした。切ない。大人ってつらい。