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女中譚 (朝日文庫)
90歳を超えるばあさんは「アキバ」のメイド喫茶に通い、かつて女中をしていた若かりし頃の思い出にふける。いつの世にもいるダメ男、わがままお嬢様、変人文士先生につかえる、奥深い女中人生……。直木賞受賞作『小さいおうち』の姉妹小説。《解説・江南亜美子》

女中として働いた思い出が、90歳のおばあさんが語る。その時代の様々な事情が感じられて、それでもごく普通に生きていた人がいて……。実際の文豪作品などを引きつつ、戦前などの風景や社会、人間関係を描く。
喋り方フェチなので、「なさらないの」「お上がんなさい」「よしますわ」なんて台詞がある「文士のはなし」ににやにやしました。
同じ女中さんが出てくる「小さいおうち」とは違って、ここに出てくる女中の物語は、どこにも記録されないし、聞いてくれる人もきっと世間話のひとつとしていずれ忘れてしまうものだろう、という寂しさがある……。
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