読んだ本とか、漫画とか、映画とか、色々
2012年。アフガン帰りの軍医ジョー・ワトソンは、困窮の挙げ句、ルームシェアの相手に変わった女性を紹介される。美しく、乗馬服に身を包み、人口心臓を抱えた薬付けの身体に、家はコンピューターの家政婦が管理している。彼女の名はシャーリー・ホームズ。世界唯一の顧問探偵だった。
感想書いたと思ったのに書いてなかった……というわけで、八月の読書だったと思いますが、九月に突っ込みます。高殿さんが同人誌で百合ホームズを書くと聞いて、すっごく読みたかったのに同人誌を手に入れる機会を逸したので、単行本化はすごく嬉しい! そして、高殿さんらしい、女子のどろっとした感じもありつつの、ライトミステリーで楽しかったー!!
出てくる女性陣の影の、みにくいところよ。そしてそれを感じてなお、ジョーとシャーリーの友情のきらめきが! ちらっと出てくるそれぞれの裏事情の、ただものではない感も楽しく、続きが読みたい! と思いました。
でもこれ、事件の結末がちょっとデリケートなところに触れているので、だめな人はだめかもしれない。私は高殿さんらしくてすごく好きです! 百合やるんだったら、ここも触れないとだめだと思う。
あと装丁がすごく好きです! 綺麗な赤で、手触りもよくて、金が綺麗で、帯も可愛い。女子のためのホームズ・パスティーシュという感じでした。
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日本が戦争へと突き進んでいる時代。演劇は規制され、事前に台本の検閲を受けなければならない中、検閲官・向坂は、劇団笑の大学の座付き作家・椿の台本を検閲する。向坂のチェックに、椿は台本を書き直して持ってきた。それが何度も続く中で、二人の関係に変化が……。
三谷幸喜原作・脚本。舞台向きな、検閲室の二人のやり取りが続く作品でした。くすくすと笑うし、最後はじわじわくるし、本当に三谷幸喜さんの話はいい……。
一度も笑ったことがない男である向坂が、椿とのやり取りによって、段々と変わっていくのがいい! ちょっと坊ちゃん風味でとぼけた感じの椿は、純粋で無邪気というのかで、もう子犬のようでした。この固い男と坊ちゃん系男子のやり取りが、本当にブロマンス! などと思って本当に申し訳ありませんでした。
喜劇の笑いどころを解説するという、笑いをやる人には拷問のようなやり取りが続くのですが笑 これが面白いし、次に繋がるのが楽しい! こんなに少ない登場人物なのに、やっぱりうまいなあ……。切なくていい話になるのが、いい。感動した。
そして最後におじさんと青年の仲良しにときめく映画でもあるな、と思いました。面白かった。
茅野しおりの日課は、憧れのいとこ、美弥子さんが司書をしている雲峰市立図書館へ通うこと。そこでは、日々、本にまつわるちょっと変わった事件が起きている。六十年前に貸し出された本を返しにきた少年、次々と行方不明になる本に隠された秘密……本と図書館を愛するすべての人に贈る、とっておきの“日常の謎”。
知る人ぞ知るミステリーの名作が、書き下ろし短編を加えて待望の文庫化。(裏表紙より)
小学五年生のしおりは、いとこの美弥子さんが勤めている図書館で本を借りて読むのが好き。
両親が離婚しており、母親と暮らすしおりは、周りから見ればとても大人びた女の子。本を読むせいもあって、かしこい。すごくよく出来た子で、周りの子たちのことを思いながら友達付き合いしていくところが、なんだかいいなあと思います。
図書館あるあるな話が出てくるのですが、こうはうまくいかないよなあと遠い目をしてしまうところもあり。フィクションだからこそ優しいしほっこりするんですけれども、内実を知っていると、こんなことにならないよ! と机を叩いてしまう。
西暦二一九九年、ガミラスの遊星爆弾攻撃により、地球の放射能汚染は極限に達していた。そんなときイスカンダルのスターシャから、放射能除去装置を取りにくるようにとのメッセージが……人類滅亡まで往復二十九万六千光年の旅に、ヤマトは単身旅立っていく。ガミラスとの非情な戦いに耐える、古代進はじめヤマト乗組員たち! その勇姿をえがく待望の第一部!!(カバー折り返しより)
ヤマト、だいたいの話は知っているし再アニメ化もしてましたが、コバルトで小説なんて出てたのか……と手に取ってみました。1978年刊でノベライズ(メディアミックス?)している本でも、今とほとんど変わらない文章の印象でした。余計なこと書かない、人が持っているアニメの印象のまましか書かない、みたいな。
若干時代を感じる表現がありつつも、ヤマトの物語ってやっぱり面白いなー!! と思いました。
小説家は小説をどう読み、また書くのか。近代日本文学の大家たちの作品を丹念に読み解きながら、「小説の書き方」ではない「小説家の書き方」を、小説家の視点から考える斬新な試み。読むことは書くことに近づき、読者の数だけ小説は書かれる。こんなふうに読めば、まだまだ小説だっておもしろい。小説の魅力が倍増するユニークな文章読本。(カバー折り返しより)
川端康成や志賀直哉や芥川龍之介といった文豪の作品を取り上げて、読んでみるという連載。この作家はこういうところでこういう風に書いている、というのが分かって、すごく勉強になりました。文章フェチというのか、ここまで書いて読むのがやっぱり小説家なんだな……と尊敬。
佐藤さんの文章も、リズムがあって面白くて、文豪作品が苦手でも楽しく読みました。無頼派の作家はみんな結婚している。とか、いきなりどうした!笑 な始まり方をしたり、雅俗折衷体なんて言葉、耳慣れない、意味が分からないと正直書いたり。
恋人のサラと平和に暮らすフランク。だが、最近サラとはマンネリ状態。相棒のマーヴィンには「そろそろ人を殺したいだろ?」と言われる始末。そのマーヴィンが殺されたことで、自分たちが世界中の諜報機関から狙われていることを知る。フランクたちは逃亡しながら、ある兵器の存在を知るが……。
険悪な恋人たちを見るのがしんどいわ!笑 スパイとしての知識、危機感がなくて、ただひたすらスリルを楽しもうとするサラが前作では好きだったのですが、今作ではフランクとの仲のこともあって、足を引っ張る引っ張る。そこが話を動かしてくれるんですが、ちょっとばかすぎやしないか! そして彼女を連れ回すなよフランク……。しかし、それがだんだんと癖になってくるから不思議。
そんな感じですが、ヴィクトリアが好き! なんてセクシーで上品でかっこいい女性……! 素敵すぎます。
そしてハンがかっこいい! アジア人の腕利き殺し屋。REDはおじさまおばさまのかっこよさを楽しめますが、見た目がイケメンで若いというハンはとっても美味しいと思いました。誰も彼もイケメンやら美女やらよりも、演技とキャラクターに会わせた上でイケメン、というのが美味しい……。
死んだはずの僕は、「抽選に当たりました!」と天使プラプラに告げられる。輪廻に戻るため、地上で試練を受けることになるが、それは自殺した少年・小林真となって生活するというものだった。
原作がものすごく好きなので、アニメ映画化も嬉しかったのですが、如何せん、予告の時点で声優さんがとてもアレな感じだというのがネックになって、なかなか見ていなかったのですがこの夏、ようやく見ました。慣れると、まあ、いいか……? ととりあえず受け入れることができたかな……。
原作と比べると細かいところが違うのですが、全体的にあっさりめでしょうか。カラフルは、思春期に読むともう気持ち悪いくらい現実や人の秘密というのがどろどろしているように思えて苦手(でも好き)だったのですが、この映画はちょっと他人事のような印象。真として宿った「僕」が、その辛さをあまり我がことのように感じていないというのか、小説を読むようにして見ている私が自分のこととして感じられなかったのもあるかもしれません。
やっぱり原作が好きだな! と思いました。
軍が強大な力を誇るウェスハバート王国。史上初の女性医師を目指すケイトは、最難関の王立大学に入ろうと猛勉強中。だが突如、先の大戦で「英雄」と名高いイーノット少佐率いる部隊に、身柄を押さえられてしまう。彼らに、親友イライザが軍内部の機密を記した“棺の手帳”と共に行方不明だと知らされ、最後の目撃者ケイトは、大嫌いな軍人達と手を組むことに…!?
読者審査員の圧倒的支持獲得! 第10回小説大賞、読者賞受賞作!!(裏表紙より)
大戦後、軍が権力を持つウェスハバート王国で、ケイトは、失踪した親友イライザと彼女が持ち去ったという『棺の手帳』のために、狙われることになってしまった。ケイトを保護したのは先の大戦で英雄と名高いイーノット少佐と彼の率いる士官たち。イライザを探すため、ケイトは嫌悪する軍人たちと行動を共にする。
軍人さんたちが最初の方でたくさん出てくるので、アットホーム(?)な仲良しが見られるかと思ったら、後半は登場する人の数が少なくなって、ちょっと話の色が変わったような気がしたのが印象的でした。
しかし、ケイトは巻き込まれ型の正統派ヒロインだなあ。そこはじっとしていなさいよ! というところで動いてしまうという笑 正義感が強いというか、少女小説のヒロインらしいというか……。
少佐の台詞が甘ーい! でもこの人が軍人として有能なのかどうかが分からなかったので、もっと男前なところを見せてください! 軍人さんはもうちょっとストイックでもいいと思うのですよ!(私の好みです)
クリアするまで脱出不可能、ゲームオーバーは本当の“死”を意味する——。謎の次世代MMO『ソードアート・オンライン(SAO)』の“真実”を知らずにログインした約一万人のユーザーと共に、その苛酷なデスバトルは幕を開けた。
SAOに参加した一人である主人公・キリトは、いち早くこのMMOの“真実”を受け入れる。そして、ゲームの舞台となる巨大浮遊城『アインクラッド』で、パーティーを組まないソロプレイヤーとして頭角をあらわしていった。
クリア条件である最上階層到達を目指し、熾烈な冒険を単独で続けるキリトだったが、レイピアの名手・女流剣士アスナの強引な誘いによって彼女とコンビを組むことに。その出会いは、キリトに運命とも呼べる契機をもたらし——。
個人サイト上で閲覧数650万PVオーバーを記録した伝説の小説が登場!(カバー折り返しより)
『アクセル・ワールド』はアニメを見ましたが、SAOは初めて。あらすじを読む限り、もっと王道のRPG展開かと思っていたのですが、主人公は強いし、ヒロインとの恋愛も想像とちがってた。もう夫婦じゃん! 一巻目から夫婦かよ! ごちそうさまでした!
ステータスや、スキルという概念がある小説って、こういう風に書くのかーと勉強になりました。ここでの死は現実世界の死を意味しますが、けれどまだまだ仮想世界という印象があって、悲惨さとか残酷さが強くはないのがちょっと残念だったかもしれません。もっと絶望してみたかったかも。
長いシリーズなので、機会があったら続きも読んでいきたい所存。
伝説の天才アニメ監督王子千晴が、9年ぶりに挑む『運命戦線リデルライト』。プロデューサー有科香屋子が渾身の願いを込めて口説いた作品だ。同じクールには、期待の新人監督・斎藤瞳と人気プロデューサー行城理が組む『サウンドバック 奏の石』もオンエアされる。
ネットで話題のアニメーター、舞台探訪で観光の活性化を期待する公務員……。誰かの熱意が、各人の思惑が、次から次へと謎を呼び、新たな事件を起こす!
ああ、だから物語(アニメ)はやめられない!
anan連載小説、待望の書籍化。(帯より)
辻村節炸裂! な、ものづくりをする人たちの話。『スロウハイツの神様』は羨望し、妬み、足掻く人たちの共同生活でしたが、『ハケンアニメ!』は各々すでに仕事を持ってある程度成功も失敗も経験した人たちなので、うまく噛み合ない人間関係に加えて、仕事がうまく回らない胃のきりきりした感じが加わって、大人の仕事小説になっていたな、と思いました。
というわけで、この話は『スロウハイツの神様』の関連でもあります。でも読んでなくても大丈夫です。読んでいたら「ぎゃー」と叫びながらにやにやするだけですから!
アニメ制作に関わる立場も場所も異なる三人の女性をメインにした物語です。一個一個が震えるくらい面白いのはもちろん、「軍隊アリと公務員」での、すべての人たちが集まってくるのが、もう涙が出てくるほど嬉しかった。ものをつくる、人たちの熱さ、愛情は、やっぱり強くて、辻村さんはそのことを信じているのかな、と思ったりした。
すごく面白かったです。