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her/世界でひとつの彼女 ブルーレイ&DVDセット(初回限定生産/2枚組) [Blu-ray]
それは、今よりもほんの少しテクノロジーが進化した現代社会。声による指示によってOSが操作でき、各個人がそれぞれに応答できるシステムを持っている、そんなところで、代筆ライターをしているセオドアは、ある日人工知能型のOS・サマンサと出会う。肉体を持たず、学習する特別なOSであるというサマンサに、セオドアは恋をするが……。

オススメされて観ました。すごく好みの作品でした。結末も、悲しくて、でも……という。
情報型端末がイヤホンと折りたたみ型モニターに変わっていて、電車の中に乗っているとみんなOSに向かって、まるで独り言をいうように声で指示をしている、そういう社会になっている。パソコンも、声で指示が出せて、「削除」と言うと削除され、「印刷」と言うと印刷される。そういう、決して派手ではないんだけど確実に進化している文明がある世界は、すごく身近なものに見える。
OSとの恋、というと異種族恋愛が好物な自分としてはすごくわくわくだったんですが、ファンタジー的な要素は全然なくて、本当にごく普通の男女の恋、でした。相手と一緒にいるのが楽しくて、夜も抱き合って(声でだけですが)、相手との関係に疑問を持って。人工知能との恋は、この時点ではほとんど理解がないし、おかしいことかもしれないけれど、それがごく当たり前になっていくかもしれない(=価値観が変わるかもしれない)という希望が見えていたように思います。
ネタバレを書くと、結局彼女は去ってしまうわけですが、どうしてここで去ってしまわなければならなかったのだろう、と考えると、ひとつは相手と自分のレベル(考え方、価値観、持っている世界)が異なってしまったこと。ふたつめは、二人ともそれを乗り越えるだけの力がなかったこと。みっつめは、心がすでに離れていたこと、というのが挙げられるかな、と思うんですが、私は、なんとなくサマンサは天啓だったような気がしてならない。
天啓って書き方が正しいのか分からないんですが、霊感の方が近いのかな。そういうものって、一人の人間に何かをさせると、去っていってしまうものだと私は思っていて。最後、とても抽象的な、現世と電子のはざまに仲間たちとともに消えていったサマンサは、そういうある種霊的なものだったのかもしれない、と思いました。セオドアに人生とはみたいなものを教えて、消えていった。
それから、名前。サマンサという名前には諸説あって、どうやら古い言葉で「聞く者」という意味があるようですから、名づけ辞典を確認して命名したといった彼女がその意味を知らないわけがないし、自身にその役割は必要ない、もしくはもうその役割にはない(OSとして個人がある、発信するものである)と感じるようになったのなら、去っていったことに納得がいくように思いました。
いや、すごく余韻がある映画でした。ハッピーってわけじゃないんですけど、細かなところに気が利いていてうまいというか。普通じゃないカップルなのに、すごく普通の男女だったりとか。面白かった。
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