読んだ本とか、漫画とか、映画とか、色々
小林多喜二の母、セキが語る、彼女の一生。
人に読みなさいと勧められた本。
独白の形式で、セキの生まれから、結婚、出産、引越し、そして次男多喜二の事件などが語られる。この、方言で書かれた文体が非常に心地よくて、すごく味わい深いし、情にあふれている。
貧農に生まれ、学校にも行けず、字も読めないまま、若くして嫁に行って。もちろん、多喜二のしていることもよくわからないけれど、この子がすることだからと全幅の信頼を置いているところが、母という生き物なんだなあ……と思う。息子を失った悲しみも、一人の母親としての悲しみと怒りとしてある。
教訓めいたことは最後の方にしかないように感じたんだけれど、でも全編通して、情に溢れた、質量のある一冊でした。
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